ビリー・アイリッシュ007テーマ解禁と、過去の主題歌の変遷を振り返る
どうも。
出ましたね!
ビリー・アイリッシュの007最新作主題歌「No Time To Die」の主題歌。聴いてみましょう。
最初、「007らしくないな」と思ってたんですが、だんだんあの映画のテーマの基本フォーマットがしっかり出る(サビでなり始めるギターのフレーズからですね)感じですね。途中からジョン・バリー調のストリングスも入ってね。自然にうまく混ぜた感じがしましたね。
007って、「自分らしさ」と「主題歌の基本フォーマット」を両立させるのがすごく難しいですからね。なにせ、歴史の長いシリーズなので。
「基本フォーマット」と言えば、やはりこのあたりですね。
やはり007と言えばシャーリー・バッシー。この曲と
やはり、このイメージですね。ジャズ、ソウル系の張りのある声で、マイナー調のコード使ったメロディで、ゴージャスなストリングス。やはり多くの人にとって、このイメージこそが重要なので、そこを逸脱した曲というのは、基本人気が出ません。
だから勢い好まれるのは
このあたりなんですよね。グラディスもティナも普段から好きだし、いい曲なことには代わりはないんですけど、あまりに直系過ぎて冒険はないオファーかな、とは思います。
あと、パワー・ヴォーカルではないんですけど、ナンシー・シナトラのこの「007は2度死ぬ」のヴァージョンも、今やバロック・ポップの理想的雛形で非常に愛されてますね。
この曲をサンプリングした、こういうイギリスでのビッグ・ヒットもあるくらいですからね。
ただ、女性で歌がうまかったら良いってわけでもなくて
このあたりは、007のフォーマットから離れ過ぎですね。下の曲はあれですね、「テッド」でマーク・ウォールバーグがステージで歌った曲ですね(笑)。
そこに「自身の独自性」加えて、基本フォーマットとの融合はかったという意味では、やっぱりこのポール・マッカートニー&ウイングスの「死ぬのは奴らだ」ですよね。これはもう彼のライブでも欠かせないものになるくらい、重要なものになってますからね。
実際、1973年にポールのこれが大ヒットしたことで、ロック畑の人にテーマ依頼されることが増えましたからね。
カーリー・サイモンのこれも人気あるんですけどね。ただ、これが出たことによって、007の音楽のテーマ性が逸脱して、さっきのシーナ・イーストンとかリタ・クーリッジみたいなことが起きましたね。
これは名曲でしょう。デュランですから(笑)。さっきのリタ・クーリッジのやつが1983年で、これが85年なので、ここから007、軌道修正して、「ジョン・バリー風のフレーズ、入れなさい」ってことになったと思うんですけど、これ、ニック・ローズのシンセがサンプリング的にそれを入れ込んでで、すごくうまいんですよね。
あとAhaのこれも、まんまデュランのパターン踏襲しましたよね。この曲、ahaをよく知らないと「?」となる人が多いみたいなんですけど、彼らの歴代ヒット曲、聞いてみてください。決して浮いてないので、これ。
このデュラン、ahaの80s後半あたりから007の主題歌のしばり、「必ず決めフレーズを入れるように」のプレッシャーがきっと依頼時の注意事項にあるんだろうな、という曲ばかりになります。そして、それは作る側にも課題として残ってですね、上手くいく例と、極端にうまくいかない例の2つを出してしまうことになります。
うまく行った例はこのあたりですね。
007のファンの間で人気高いのはこれですね。ガービッジの「The World Is Not Enough」。これ、時期も良かったんですよ。90s後半って言ったらオースティン・パワーズとバロック・ポップのリバイバルで、007の60sの雰囲気がクールな時期だったので。だから、まんまそれに合わせてきた感じでしたね。
これは記憶に新しいですけど、アデルのこの曲も、いい例だと思います。というか彼女だと、上にも書いたように、シャーリー・バッシーのイメージの直系なわけですからね。自然と好まれますよね。
ただ、とは言え、007に合わせるのは簡単なことではありません。うまくいかなかった例もあります。
シェリル・クロウのこの曲は、映画のイメージにはあってると思うんですけど、普段のこの人のやってる音楽からあまりにもかけ離れすぎて、違和感が強く残ってしまいましたね。彼女に依頼した意味があまりない曲です。
クリス・コーネルも大好きなシンガーなんですけどね。これに関しては、「いかに普段自分の歌ってる歌に007を合わせるか」を苦労して歌ってみて、その苦しみがわかるように、なんか無理やり入れ込んだ感じで不自然さが濃厚になってしまいました。
これは珍曲だったなあ。ジャックは大好きだし、アリシアも好きなんですけど、これ、ちょっと無理やり切って貼ったみたいになって、あのジョン・バリー風のブラスのとこ、貼ったのはいいんだけど、全体通して聞いたときに全く007っぽくなってない(笑)。これは僕の中でワースト2ですね。
ワーストはやっぱダントツでこれですね(笑)。マドンナ姐さん、もう30年来のファンですけど、これ、明らかに依頼時のルール、無視したと思われる上に、一時期カーリー・サイモンが作ったムーディなイメージでもないし。あまりに自分の作品にしようとしすぎて、全体のホストリーで見た場合に浮き上がりまくってます(笑)。まあ、それが姐さんらしいんですけどね。
前作がこれでしたけどね。依頼時のルールは守られていると思うんですけど、評判よくなかったですね。ちょっと、この前のアデルのイメージの表面をなぞり過ぎたからかな。あと、欧米圏だと、「退屈なシンガー」って批判も実際に聴くから、そこも重なっちゃったかな。僕個人は、そこまで嫌ではないんですけど。デュランのサイモン・ル・ボンにまで「俺らの方が良いよな」と挑発されてましたからね。
これ、いまだに本当だったのか、ネタだったのかわからないんですけど、レディオヘッドがサム・スミスのその曲が出て間もない頃に、「自分たちも作った」と主張して、この曲を解禁したんですけどね。ルールはこれ、しっかり守られてるし、ちょうど同じ時期に作ってた「A Moon Shaped Pool」の中に仮に収録されても違和感ない曲だと思うんですけど、トムのあの声がヌメーって流れる感じが、関係者の受け、悪かったんでしょうかね(笑)。サム・スミスよりはこっちの方が好きなんですけど、「映画として使うには気持ち悪い」という声が・・・もしかしたらあったかもしれません(笑)。
・・でも、皮肉にも、ビリーの今回の曲、聞いたとき、最初に思い浮かべだの、そのレディオヘッドの曲だったんですけどね(笑)。ただ、トムほど気持ち悪く歌わなかったところでオッケーになったかと。
という、流れから考えても、今回のビリー
「自分らしさ」「007らしさもしっかり盛り込む」「目新しさ」
この3つがしっかりアピールできた意味では、歴代でもかなり良い方なんじゃないかなと思いますけどね。最年少でトライさせたことに関して、「何だ、その業界サポートは」と、いぶかしがったり妬んだりする声もあるとは思うんですけど、
結果出してくるものは仕方ないじゃないか
と思いますけどね。
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