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「損をしたくない」という心理


週末はランニング、
平日はジム。

朝は運動するようにしています。

太りやすい体質ではなく、
筋肉をつけたいという欲もありません。

シンプルに
「集中力アップ」のため。


運動は
ニューロンという神経細胞を活性化させて、

前頭前野に到達、
記憶を司る海馬を刺激します。

仕事、論文、
趣味の読書の質を高めるため。

一日の始まりに運動を取り入れるようになって、
生産性は高まったと断言できます。


■ところで

ジムにいくと、
いつも目にするポスター。

今月中に入会すると、入会金無料!

なんてキャッチコピーが
目につきます。

何を隠そう私もこの言葉につられて
その日のうちに入会を決めたクチ。

「無料!」

にやたら惹きつけられれる傾向は、
私だけではないかもしれません。

日本ではあまり見かけませんが、

「Buy one Get one Free!」

という標語を
留学先のイングランドで毎日のように目にしていました。

思わず買ってしまった
ムダなもの、

お菓子や衣服(特に下着)は数知れず。

「ひとつ買ったらもうひとつはタダ」

って、けっこうな割合で、
ふたつもいらないんですよね。

事前に考えていた商品、
ひとつのほうが価格は安いはずなのに、

いざ「無料!」の文字が目に入ると
もうお手上げです。

デザインがどうとか
機能性がどうとか、関係ありません。

「これを逃したら損をする」

という心理が強烈に働き、
冷静な思考を破壊してしまいます。

「損失回避」

行動経済学では、

人間は誰でも得をしたいと思うが、それ以上に損をしないことに一生懸命になること

を説明しています。

わたしたちは毎日、
よほどのことがない限り、

食事に事欠くことはありませんが、
太古の昔はつねに飢餓との戦いでした。

獲物がたくさんいる1キロ先
に移動する道中、

子ウサギが一匹走り抜けると、
鬼の形相で確保に奔走します。

今、目の前にあるちょっとの食料のほうが、
この先もっと獲得できる見込みより重要だったんですね。

そのDNAは現代人にも受け継がれ、

後悔回避という
安心を買うことにつながりました。


■失敗の可能性に敏感。

ビジネスをしている私たちは常に、
消費者のこの感覚に寄り添い、

説明責任を
果たし続けなければなりません。

損をしたくない思いは、
それと同額の得をしたい思いの

倍以上強いといわれています。

1000円の得よりも、
1000円の損のほうを重く感じる生き物。

それが私たちです。

一粒1000円の高級チョコレートと
一粒10円のチロルチョコレート。

これを

100円(高級チョコ)
1円(チロルチョコ)

で露店販売したところ
73%が高級チョコを買いましたが

99円(高級チョコ)
タダ(チロルチョコ)

にすると
(どっちも1円安くしたら)

69%のお客さんが
チロルチョコに食いつきました。

お客さんは、無料であることに感動して
格安の高級チョコを手に入れるチャンスを棒に振ります。

人間が失うことを本質的に恐れるから
ですね。

逆に販売サイドにも
同様の心理が働くようで、

お客さんが多い日に
最大の利益をあげるべく余計に働くのではなく、

お客さんが少ない日に
損失を回避しようと余計に働くのは、

大儲けより、損失を出さないこと
をより強く意識しているからです。


■西野亮廣さんは

絵本を全ページ
無料で公開しました。

売上が減るどころか
販売部数は50万部を超える、

絵本業界では異例の
超が何個もつくベストセラーになりました。

いろんな要因があると思われますが、

「無料」で絵本の内容を開示したことで
「失敗の可能性」を削ぎ落した
ことは
(この絵本、悪くないね)

勝因のひとつではないでしょうか。

そして絵本には
「読み聞かせ」需要があることを強調していた西野さん。

絵本がどのように使われるか、
その場面を想像したら、

「寝る前に我が子を寝かしつけるときに読む」

というTPOが
容易に浮かび上がります。

無料公開が
売上を阻害するのではなく、

無料公開したからこそ
現物が必要」になるという理屈。

もちろん作品のクオリティを
極限まで高めなければ

この戦術は功を奏しませんが、

質を担保できれば
これ以上のプロモーションはないでしょう。

そして「こういう需要、あるでしょ?」と
丁寧に、繰り返し説明責任を果たし続けたことによって、

私たちが、
持っていながらにして気づいていなかった

「潜在需要」を掘り起こし、

「そういえばそうだ!」と、
突き動かされるようにAmazonを開いた

お父さん、お母さんは
少なくないはずです。


■かように

「無料」のパワーは侮れません。

ですがシンプルに、
なんでも無料にすればそれでOK

というわけではなく、

緻密な動線がデザインされてなければ
効果は推して知るべし、です。

「無料にする」ということは、

お金を受け取る時間軸をずらすこと
に他なりません。

1週間先、1か月先、1年先、
期間はそれぞれだともいますが、

無料で伏線を敷いて、
その伏線を回収するための

潜在的な理由は、

洞察して、言語化して、
消費者に訴えかけながら

緻密に設計されていなければなりません。


今日も最後まで読んでくれて
ありがとうございました。

それではまた明日。
おつかれっした!




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