いいことばかり並べるのではなく「よくないこともさりげなく」が営業のコツ
今日は
ちょっとだけサッカーの話から。
少しだけお付き合いください。
■日本のプロサッカーリーグ
「Jリーグ」は、
J1、J2、J3という3つのリーグ
があることをご存知でしたでしょうか?
J1はいわゆる1部リーグ。
日本で一番レベルの高いリーグ
という位置づけです。
J2は2部リーグ、
J3は3部リーグで、
サッカーのレベルは
次第に下がっていくという成り行き。
ファンにとってすれば、
下のリーグに落ちる(降格する)
ことはちょっとした事件。
いえ、
ちょっとしたどころではないですね。
奈落の底に突き落とされるような
大事件であり、
落胆や号泣、怒号なしに
その事実を物語ることはできません。
悲哀につつまれた観客席と
ピッチにたたずむ選手との間に交錯する重たい空気は
痛々しい「悲劇」のシーンとして、
メディアの格好のネタになります。
■この前提を踏まえた上で、
成績不振によりJ2降格、
J2で優勝して再びJ1へ昇格、
そしてなんと昇格初年度に
J1でも優勝してしまったクラブが2つある
という事実に
注目してみます。
ジェットコースターさながらの
劇的な物語を演出したのが
2011年の柏レイソルと
2014年のガンバ大阪。
ちなみにガンバ大阪は、
リーグ戦だけではなく、
あと2つ(天皇杯とJリーグカップ)のタイトル
を獲得して
いわゆる「3冠」を達成しています。
まぁとりあえず
ありえないほどすごいこと
をやってのけた、と。
■で、
ここからが本題なのですが、
2クラブのファンが
どれほどの絶叫と歓喜にわいたか、
皆さん想像できますでしょうか?
たとえていうなら、
誕生日に彼氏とデート。
ところが彼が仕事でまさかのドタキャン。
とぼとぼ帰宅してドアを開けたら
急に明かりがついて
彼が「誕生日おめでとー!」
といって
指輪を差し出し
「結婚してください!」
と言われたようなもの!?
人間の知覚には
「コントラストの原理」
というものが働いていて、
先行刺激が基準となって、
後の情報を過剰に判断してしまうそう。
最初に10キロのバーベルを持ちあげて、
次に20キロのバーベルを持ちあげると、
ただ単に20キロのバーベルだけ
を持ちあげた場合より重く感じます。
熱湯、常温水、冷水
がはいったバケツを用意して、
右手を冷水に、
左手を熱湯につけてから、
常温水に両手を同時に入れます。
右手は熱く感じ、
左手は冷たく感じる。
同じものであっても、
その前に起こった出来事次第で、
まったく違ったものに思えてしまうのです。
■Jリーグの事例や
告白の喩えは若干
むりやり感は否めないのですが、
J1にいて、J1で優勝するのと、
J2から昇格して即J1で優勝するのとでは
やはり後者の方が
「同じ優勝」でも格別のものがありそう。
同様に、
レストランを予約して
普通に指輪を渡すのと
一旦、楽しみにしていた約束をキャンセルされて
後からサプライズで指輪を渡されるのとでは、
後者の告白を受けた彼女の興奮は
前者の比ではありません。
(好みの問題もあるかもですが、、)
かように、
「コントラストの原理」は
人の心理をたくみに操作する優れもの。
悪用厳禁ですが、
平然とやってのける人もいて、
たとえば、
セールスマンが
高額商品を「先に」PRして、
あとから安価なアイテムを提案
することで全体の利益を押し上げたり、
住宅の営業マンが
クライアントに対して、
「最初に」古めの物件を
いくつか見せておいて、
最後に「本当に売りたい物件」
を見せると、
それが実物以上に豪華に見えて
購買意欲が促進されるとか。
コントラストの原理は、
うまく機能するどころか、
見破られることがないという点でも
巧妙なのです。
■この原理を
もっとうまく活用できないかと
最近よく考えている。
全国には
50を超えるJリーグクラブと、
Jリーグを目指す無数のサッカークラブ
が点在している。
特に、これからJリーグを目指すクラブから、
夢や希望を語る様子が伝わってくるのと同時に、
さまざまな問題や課題も
浮き彫りに。
そもそも人口が減っている日本。
少子化と超高齢化社会による
マーケットの縮小は、
地方に立脚するサッカークラブに対して
マイナスに語られる。
若者が都市に流れる傾向は
もうしばらく続きそう。
スマホネイティブは地方から流出し、
アナログな告知、PRしか通用しない
というバイアスは根強い。
不景気による広告費の減少、
スタジアム建設は自治体が財政難で非現実的。
クラブハウスや練習場は
各地で借用するジプシー型。
数々のネガティブな要因
を前提にしながらも
なぜかそれらにフタをして、
ポジティブな面ばかりを訴求するセールスシート
に違和感を覚えることがある。
■あえて
名指しして言挙げしてみては?
そう思わなくもない。
サッカークラブによってもたらされる
「いいこと」を並べた後に、
あえて「よくないこと」を添える。
スポーツは
人々をつなげ、
日常から解き放たれた感情は、
非日常の興奮によって開放される。
知らない人とハイタッチしたり、
抱き合ったり。
スタジアムというコミュニティは
社会的装置として、
人々の楽しみとなり、拠りどころとなり、
プライド、街のシンボルとなり、重要な産業となる。
合理的な、地域社会にとってプラス
にしかならない要因を列挙したあと、
不合理な現状、
人口減や資金難による苦労の描写が、
「余白」となり、
人々の「余白を埋める」という動機
を刺激できるのではないか。
お金がないから
PRや告知は訪問営業
という負の要素をさりげなく。
そうすると
その表現がどこか愛らしく、
そのクラブの独自性を
際立たせることにならないか。
■不合理
なものだけでは、
その力は発揮されませんが、
不合理は、
合理性のあとにやてきて、
強いメッセージを放つんだと思う。
いいことばかりを並べるのではなく
よくないことをコントラストに。
そして
周囲に、人々に、企業や行政に
想像してもらうこと。
ことさらにコントラストを
協調するのではなく
声なき声
としてくみ取ってもらう。
いいことも悪いことも
すべてひっくるめて理解を得て
協力者を募っていく。
今日は、これから活動をはじめる
サッカークラブに考えてもらいたい工夫として
コントラストの原理を
取り上げてみました。
今日も最後まで読んでくれて
ありがとうございます。
それではまた明日。
おつかれっした!
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