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無観客配信ライブイベントが変な流行りになったら嫌だな~という備忘録

お久しぶりの更新でございます

最近の無観客配信ライブイベントについて思った事をツイートした文章を、再編集、加筆してまとめておきます。

無観客配信ライブについて よりも、 普段の200人キャパのライブハウスでライブするための心がまえ みたいな内容になってしまいましたが、興味のあるバンドマン諸氏はご一読を。

以下本編

最近の"なし崩し的な無観客配信ライブ"が、変な形で小さいライブハウスのなかでブームになったら嫌だな…と思ってます。

ちょっと備忘録的にまとめておきます。

ちなみに今の配信イベント自体は、状況をかんがみて僕は賛成派。

配信自体に否定的ではないです

さて、緊急避難的に200人キャパの小箱で配信ライブが増えてます。

だけど、あくまで

今回の流れのなかでの特例措置

と思っておかないとダメだと僕は強く思います。

お客さん的には「行けなかったイベントの配信が見れる」嬉しいと思います。

だけど発信する側が、今回の無観客配信に味をしめて、いまさら

「これからは配信だ!」

みたいに言いただしたら、のちのち自分の首をしめることになるんじゃないかな?と思ってます。

以下、僕そう思う理由を書いていきます。

会場キャパの違いによって、ライブの質が違うという前提

そもそも

ライブ会場の広さや
お客さんの数の違い

で、その時々にバンドがやるべきライブの質が変わるというのが前提になります。

●200人キャパの小箱でのライブ
●Zeepみたいな2000人キャパでのライブ

この2つでは、本質的に行うべきライブのやりかたが違うと思ってます。

さらに言えば、小箱でのライブの場合も

●200人満員の時
●自分達に興味なさそうな10人のお客さんの前でやる時

でも、ライブのやりかたは違ってくるはずです。

以上をふまえたうえで、

普段から、お客さんの少ない平日のブッキングライブに出なれているバンド

こういうバンドは、

自分達に興味なさそうなお客さん10人の前でライブをやりきる

という、能力だけが特化して鍛えられてしまいがちです。

これももちろん必要な能力です。

でも、これって言い換えれば

「アウェイの現場でライブ中に心が折れない能力」

です。

これをゲームのステータスで例えたら

「防御力」

なんですよね。

例えば、

お客さん一人しかいなくても手を抜かない!全力でやる!

これは大事。

たぶん、ライブハウスで活動をはじめたバンドが一番最初に手にいれなければいけない能力かもしれません。

これを言い換えたら、

ライブにおける、素人臭さを消していく

という事と同義かもしれません。

MCで内輪ネタを言ったり、オドオドしない…など、いちばん最初にライブを良くしていくために、みんなが考えることだと思います。

これ、最初の一歩としては大事。

大事なんだけど

こればっかりやってても、実は

バンドに攻撃力が身につかない

ことに、あんまり気づいてないバンドが多い。

実際、ライブ終演後の精算時にこういう話をバンドさんにしてもあんまりピンときてないっぽい。

では、どうしたらいいのか?

引き続きゲームのステータスに例えて話を続けてみます。

200人キャパのライブハウスを根城に活動するうえで

頭ひとつ、他のバンドよりもぬけだしたいなら

攻撃力の高さ

を、絶対に身につけるべきです。

そうか!攻撃力が必要か。
よし。ではバンドの攻撃力を上げるために、レベルをあげよう!
レベルをあげるために、ライブをいっぱいやろう!

で、ライブの本数がふえる。

ここで生まれる矛盾。

ライブの本数を増やしたものの

お客さんがあまりいてないライブ
お客さんから反応があまりないライブ

が多い。

そんな環境でライブを続けていると

先に書いた「アウェイの現場でライブ中に心が折れない能力」が、どんどん高くなっていきます。

つまり、防御力だけがどんどん上がっていきます。

レベルを上げるつもりでこなしてる、普段のライブで上がってるのは防御力だけ

これに気づかないままのバンドが多い。

で、この現象によって生まれた

防御力だけ異様に上がった、攻撃力の低いバンド

が、どんなライブをするようになるか?

それは

一見、曲もパフォーマンスもクオリティは高いけど、ステージだけで完結してて、お客さんにまったく向かってないライブ

に、なりがち。


はい。

ライブハウスのブッキングライブによく出ている
かっこいい、曲もいい、演奏もしっかりしてる
バンドマン受けも、ライブハウススタッフ受けもいいけど
ライブでお客さんを持っていききれないから
結局、MVをネットでバズらせてなんとかしようと必死になってるバンド

いっちょあがり。

…て、書き方に悪意があるか。ごめんなさい。

でも、この10年でそんなバンドをくさるほど見てきた。


これね、

お客さんに向かってライブをしていない

ことにバンド自身が気づいてないんです。

この問題はけっこう根深い。

だから、アドバイスをくれと言われて話してても

倉 「そもそも、お客さんに向かってライブしてなくない?」

バンド 「え!そうですかね… (納得のいかなさそうな表情で心の中では”やってますよ!”と思ってる)」

の、無限ループになりがち

例えば、お客さんとのコールアンドレスポンス みたいなパフォーマンスがあったとします。

コールアンドレスポンス

①バンドが客席に呼び掛けて
②お客さんがそれに答える

みたいなやつ。

よくあるのは、お客さんに歌わせる…みたいなヤツですね。

例えば

バンド 「みんなで歌ってください!」
お客さん 「…」
バンド 「セイ!オーオー!!」
お客さん 「…」
バンド 「セイ!」
お客さん 「…」
バンド 「ラスト―!!」
お客さん 「…」
バンド 「ありがとう!!」

このコールアンドレスポンスを

お客さんに向かってライブをしていると考えるか、いなか。

バンド→ お客さんを巻き込むためにコールアンドレスポンスをしている=お客さんに向かってライブをしている

オレ→ まったく客席からの反応もないのに、コールアンドレスポンスをすると決めていたから、予定どおりにその場所でコールアンドレスポンスをこなしただけ=それってお客さんに向かってやっていなくない?

みたいな、思考回路の違いと思います。

僕はね、やっぱりこれをお客さんに向けてライブをしていると思えないんですよ。

お客さんの反応がないなら、ない時なりのやり方って絶対にあるんですよ。

例えば、コールアンドレスポンスをすっとばしてやめてしまう。歌を聴かす方にライブ自体をシフトする

「恥ずかしいですよね?じゃ最初は聞こえないぐらいの小さな声で!」と小声であおってみる(意外に反応が少ない時の "小さい声で~から、だんだん大きな声で!"と歌ってもらう技は、お客さんの緊張がとけていって効果がある時があります。豆知識)

他にも、僕はあんまり好きなやり方じゃないですが、ちょっとでも声がするまでステージから降りてめちゃくちゃしつこく続ける

…と、やり方はなんでもいいんですけど

「目の前のお客さんに向かって、演奏する、パフォーマンスをする」

っていうのは、こういうことだと思うんです。

おまえ…あの反応が何もない環境でコールアンドレスポンスをやりきれるってすごいな!鉄のメンタルやな!?みたいな(笑)

鉄のメンタル=心の防御力

ですよ。

コールアンドレスポンスを例にだしましたが、これに限らず

目の前の人に歌や演奏を届ける

っていうのを意識できていないライブってのは、意外にブッキングイベントでは多い。

これ、200人キャパの小箱のライブって意味では本当に致命的。

お客さんとこんなに近い距離感なのに、ある意味でお客さんを無視したライブ

別の言い方をすると

10人の前でも
100人の前でも

同じライブのやり方しか知らないから、バンドはおんなじことをやっちゃう。

例えば、満員で目の前に100人がいたとして。

それでも、バンドは普段通りにライブをやってしまう。

客さんの盛り上がりが、ライブの良さの掛け算にならない。

僕の思う良いライブって、掛け算でブーストしていくライブ

そうじゃないライブを見てたら

「お客さんの前でやる意味ないやん?」「いやそれはスタジオでやれ」

と思ってしまう。

めちゃくちゃシンプルな話で

人に向けて演奏する→
盛り上がってくれる/感動してくれる→
ありがとうを言葉や演奏で伝える→
もっと盛り上がってくれる

…というループがいっさいないライブ

音楽や演奏、パフォーマンスがお客さんとのコミニケーションとして機能してないライブなんて小箱でやる意味ないやん?

せっかくお客さんと目があう距離感でライブしてるのに。

逆にキャパが大きくなってくると、そういう部分だけで伝わりにくくなるので演出とか他の要素も大事になってくると思うのですが

で、配信ライブの話

ぶっちゃけ無観客ライブでカメラだけ相手にしてても、

みんな、どのバンドもかっこいい、良いパフォーマンスができるんですよね。

でも、それをあまり肯定的に僕は考えていません。

それができる理由は明確で

うん。普段から本当の意味で、お客さんに向けてライブしてないもんな?
そりゃ無観客でも良いライブできるよな?そもそも君たちのライブにお客さんは関係ないもんね?

って、意地悪な見方で申し訳ないですが、そんなふうに思ってしまう。

ああ…ここに100人の盛り上がってるお客さんがいたら、コイツらもっと良いライブするんだろな〜

と想像できないんですよ。

逆に、いま100人お客さんがいてもおんなじライブするんだろうな〜

と思ってしまう。

これの たちの悪いとこは、

その無観客向けのライブ自体のクオリティが別に低いわけではない

ところ

場数もこなして、異様に防御力だけ高くなってるから、

画面越しで見ても、それなりにかっこいいんですよね。

かっこいいだけに、たちが悪い。

でもね、自分のことだったり、周りの友達のバンドのことを思い出してみてください。打ち上げでの会話を思い出してください。

「なんで、こんなに かっこいい のに〇〇は動員がないんだろー!くやしいなー!」とか

「〇〇は、こんなにかっこいいバンドなのに、ライブの反応があんまり良くなかったな…、お客さん見る目がないな…」とか

そんな会話をしたことありませんか?

実際に〇〇は、かっこいいんですよ。

そこまでは合ってる。

自分の音楽は信じてくれて大丈夫。

問題はそこじゃない。

問題は、

かっこいいけど、目の前のお客さんに向けて演奏できてないから、反応がないんですよ。 (これを読んでるのがバンドマンと想定して書いてます)

この部分をすっとばしたまま無観客配信ライブに味をしめられたら、嫌だなーと思いました。

お客さんいなくても配信だけでなんとかなりますよ?

とか、知ったふうな顔で言われたら、僕、めちゃくちゃ機嫌が悪くなるかもしれない(笑)

配信は賛成なんです。

僕もustreamが日本に入ってきた頃から使ってたし。

ただ、活動にいきづまってるライブハウスバンドが、今までとおんなじ考え方で安易に配信にうつると爆死するぞ。と。

配信には配信の戦い方がある。

200人キャパのライブハウスには、200人キャパの戦い方がある

それを混同してしまうと、どっちつかずになってしまいそうな気がします。

自分たちのライブの弱点を把握して、あえて配信ライブをメインにしていこう!

「僕らは 防御力は高いけど、攻撃力は弱いので、配信をメインにして逃げ切ってみせます!」

ぐらい考えての配信ならもう大賛成。全然あり。

例えば

ライブは止めて配信やネットだけでなんとか人気者になってから1000人ぐらいのハコをおさえて演出ありきのライブを単発でやる

…とか。

一番、怖いのが 200人キャパのライブハウスを基盤として活動してるのに

色々なことに無自覚なまま中途半端な形で配信に手をだしてしまうこと。

無観客をあたりまえにしてしまうこと。

自分たちが、"ライブハウスのバンド" というつもりで活動しているのなら、

まずは目の前のお客さんを楽しませるライブをしてからじゃないでしょうか?

という、勝手な持論。

だから

小手先の無観客配信だけでなんとかしようとする前に、しっかり攻撃力あげてこうぜ!

っていうバカみたいなオチ。

攻撃力の高いバンドが狙いをもってライブ配信をするんならまた意味合いは変わってくるし。

いまのご時世でライブハウスに来てくれるお客さんって、本当にバンドやライブハウスが好きな濃いお客さんでしょ?

濃くて好意的な人がちょっとだけいる客席

という、いまだかって町のライブハウスバンドが経験したことのないシチュエーションでライブできるんですよ(笑)

お金のことや風評被害的なことは後で考えるとして、まずはそんなお客さんとライブできるのを楽しんでみようぜ!と思いました。

無観客配信ライブの話じゃなくて、ふだんのライブにおける心構えみたいな話の方がメインになってしまいましたが

もし参考になる部分がありましたら、世のかっこいいのにまだ小さいなライブハウスでくすぶっているバンドマンに向けて。

3/13(金) 南堀江knaveのモーモールルギャバンのヤジマXのライブがめちゃくちゃ良かったんですよね。

この、お客さんに向けてやってる感じ

少なくても小さなライブハウスで活動するなら、やっぱり一番大事だなと思いました。


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