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コミュラボ 第25回 オフ会 「オンライン時代とコミュニティ」 ー劇団ノーミーツの作り方 ①ー ゲスト:広屋佑規さん

第25回(オンラインでは第7回)のコミュラボ オフ会。
ゲストは劇団ノーミーツ主宰の広屋佑規さん

この4月に「“NO密で濃密なひとときを” 稽古から上演まで一度も会わずに活動するフルリモート劇団 」である劇団ノーミーツ」を設立。第1作目の全編Zoom演劇「門外不出モラトリアム」に約5000人の観客を集め、話題になりました。

そんな広屋さんと「『オンライン時代とコミュニティ』ー劇団ノーミーツの作り方 ー」をテーマに、お話ししました。ボリュームが多いので、3回に分けてお届けします!今日は第1弾!「いきなり質疑応答で本題!」です。なぜ、「門外不出モラトリアム」は成立したのか?オフラインからオンラインへの挑戦の難しさは?「むこうのくに」のキャストの皆さんのあたたかい雰囲気の作り方は?…などなど、いろいろと伺いました。

広屋佑規さんとは

1991年生まれのイベントプロデューサー。
没入型ライブエンタメカンパニーOut Of Theater代表。

ストリートを歩きながらミュージカルの世界を体験できる「STREET THE MUSICAL」、東京喰種の世界に没入できるイマーシブレストラン「喰種レストラン」、浅草を舞台としたエンタメ観光バスツアー「サムライ&忍者サファリ」、高円寺全体を映画の世界に見立てた体験参加型イベント「ROLE PLAYING CINEMA」など、都市空間を活用したエンターテイメントのプロデュースに従事。

20年4月に劇団ノーミーツを設立し、5月に全編Zoom演劇「門外不出ノーミーツ」、7月に全編オンライン演劇「むこうのくに」を上演し、大成功を収められました。

広屋さんにお声かけした2つの理由

そんな広屋さんにコミュラボ へお声かけした2つの理由があります。

①広屋さんが企画を立て、それを実現できる理由を解明したいから

広屋さんはオフラインでも、いろんな企画を立てて、実現してきました。
例えば、丸の内や横浜のストリートをミュージカルの劇場に変えたり、レストランのウエイトレスの皆さんをミュージカルの出演者にして、お客さんは食事をしながら楽しめたり…。

そんな広屋さんは2020年4月に「Zoomを使って演劇をつくる」ことに挑戦する「劇団ノーミーツ」を、映画と演劇に造詣が深い仲間2人と一緒に立ち上げました。そしてすぐに日常生活(「ダルい上司の打ち合わせ回避する方法考えた。」)を例にしたショートムービーを公開。その後のご活躍はご紹介の通りです。

このように広屋さんは、なかなか思いつかない企画に気づき、実現します。その理由を解明し、より多くの人が企画のたねに気づき、実現できるようになればと考えたためです。

②オンラインでのチームビルディングや、観客の巻き込み方の工夫を語りたいから

先日の「むこうのくに」のオンライン打ち上げを拝見していて感激したのが、出演者同士やとスタッフとの「信頼」関係

それが築かれたのは、オンラインでも稽古の帰り道的な「おしゃべり」の場があったり、画面越しのハイタッチがあったりと、いろんな動きの結果。その空気感が画面越しに伝わり、思わず観客も応援したくなり、チャットやツイートへ。そうした「工夫」は心がけているものの、なかなかできません。オンラインでのチームの作り方や観客の巻き込み方について、共有できればと思います。

「コロナ禍」でオフ・オンを超えたアイディアが求められる中で広屋さんの発想力、行動力、そして、人の巻き込み力はこの時代のコミュニティ運営に必須であると思い、お声かけしました。

いきなり質疑応答

「コミュラボ って、どんな人がいらっしゃるのですか??」

広屋さんのご紹介とお声かけした理由を共有したところで、ご質問いただきました。それに応えるべく、メンバーが自己紹介しがてら、会話の流れから質疑応答に。いきなり本題を伺えました、

○広屋さんの考える「コミュニティ」とは?
同じ関心事に対して、能動的に動く集まり

○門外不出モラトリアムが成立した要因
最終的に、5000人に見て頂いた。これは「状況」を逆手に取れたから。
みんなが家から出られないというタイミングで、どこまでノーミーツでできるかに挑戦した結果である。「現象」となった。

夏までは見えてなかった。今回(むこうのくに )を見て「ノーミーツ」が、現象なのか(継続してファンの方がついてくださるのかが)わかる。

○オフ(リアル)でやっていることで、オンでもやったことと言えば?
オフの本番前の円陣の代わりに、オンラインでハイタッチをした。

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オフだと稽古終わりにご飯を食べに行ったり、合間に話したりできた。
しかし、オンラインでは行けない。なので、演出家の小御門さんが稽古をしている裏で、演者のみなさんが自主的にブレイクアウトルームを作って、前のめりで稽古をしてくださった。この「ブレイクアウトルーム」を使った稽古は、オンラインでしかできない

また、年配のキャストの方がzoom飲みを開催した。始めた頃は若手はなかなか参加しなかったようだが、何度も声をかけているうちに若手も参加するようになり、続けて参加するようになった。

こうしたことの組み合わせで、いいチームワークになっていった。キャスト次第で稽古場の空気は変わる。こうした取り組みを「継続」していたことが奏功した。

○良い雰囲気が作れた理由
メンバーがみな「新しいチャレンジ」を楽しめる人たちだったから未知にみんなで挑戦した正解がわからない中で、前のめりにならざるを得なかった。

「オンライン演劇」なんて、誰もわからない。そうした中で、キャストの皆さんも「Zoomを使って慣れなきゃ」という危機感から、Zoom飲みを含めて触れるようになった。

オンラインだと、コミュニケーションがとりにくい。しかし結果的に、オフ(リアル)より仲良くなった。オンライン演劇は不安、でも、成功させたいということで、コミュニケーションを多く取るようになったから。スタッフもキャストも、みんなで未知の挑戦に取り組んだ。

○オフをオンへ移行する難しさは?
元々オフがあると「粗相ないように」などと考えてしまう。
「劇団ノーミーツ」は、言ってもまだ3ヶ月。なので、失敗はあるもの
「オンライン演劇」という新しいモノを作ろうという気概に溢れる仲間と、今の状況をネガティブに捕えず、生かして、できることは何かという視点で臨んだ。

○「劇団ノーミーツ」を始めたのは危機感から?
それともオンラインで表現したいことがあったから?
危機感から。
コロナで予定されていた公演やイベントが全て飛んだため。
同時に、エンタメに携わるものとして「今だからこそできるエンタメ」を作りたいと思った。

そこで、(演劇関係の)林さんに連絡した。数日後に初めての短編作品をTwitterで発表したところ好評だった。そして、ノーミーツで、長編作品、演劇作品を、有料で作れるか、に挑戦することにした。「今だから」ということで、純粋に取り組んだ。Zoomでの作品作りとしては、限界を超えた、と思う。

こうしたスタンスを示し、それに賛同してくださるキャストとスタッフの方々が集まってくださったことにより、チームになじんだ。

出発は危機感。でも、その後はオンラインだけでできることに挑戦という気持ち。

キャストの皆さんは「コロナで講演もなくなり、閉じこもっていたところに、この取り組みに共感と刺激を受けた」として参加する人が多かった。
リアルでできないからこそ、オーディション受けた、という方もいた。

一緒にできることは、オンライン(での演劇)を突き詰めること。
今、日本でインディペンデントでオンライン演劇を頑張っているところはあまり無い。グローバルで見れば「BTS」が何千万とか、サザンが配信など、オンラインが盛り上がってるので、そうした展開も考えたい

○これからやりたいこと、今後の方向性は?
オンライン×リアルのハイブリッド。

オンラインの良さは「口コミで受け入れられる」こと。そして、キャパに限界がないこと。場所に紐づかない。全国各地から、そして、世界から視聴者がいた。

また、初めて演劇をみたという人もいた。自宅で見れた。
リアルでリッチな体験と、オンラインならではの体験を、一つの企画でも棲み分けて提供することができ、そうした取り組みはここ2年増えると思う。
オンラインに慣れるほど、ハイブリッドは残る。

○チャットのやり取りが長かった。どんな工夫を?
オンライン演劇は、しゃべりながらみられるのがいい。

チャット機能は、オンラインならではであり、いろんな意味で重要。
目の前で、これだけの複数の人と同時に見ていると可視化されること。

リアルだと、見ている時は感想を言ったり、吐露できないオンラインだと、コメントを打ち合って言える共感とか推察とかを、吐露できる。

○コメントの促し方は?
本公演中は、チャットのためのファシリを置いた。チャットのファシリは大切。

幕が開く前に、丁寧にオンライン演劇の見方を説明した。
オンライン演劇なので飲食はダメでないとか、チャットに書き込めるとか、それをキャストやスタッフが見ているなど。それにより、コールアンドレスポンスが生まれた。始まるまでの30分を、とても大切にした。既存の舞台のように、影ナレもつけた。空気づくりのためのアナウンスをした

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