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【#コミュラボ】第48回オフ会 横石崇さんと藤田祐司さんと仲山進也さんと語る「2021年の働き方とコミュニティ」 ーキーワードは「ネコ」ー

あけましておめでとうございます!
2022年も、よろしくお願いいたします!

新年お年玉企画として、横石崇さん、藤田祐司さんに、当日飛び入りで迷い込んでくださった仲山進也さんという豪華な三人と共にお送りした、21年12月のコミュラボ のラボのオフ会「2021年の働き方とコミュニティ」 ーキーワードは「ネコ」ーを、noteに再現します!

ずいぶん編集したのですが、気づけば12,000文字の大作になりました。ご一読いただくと「2022年の働き方」のあり方を考える一助になると思います。お正月休みのお供に、ぜひ!

第48回(オンラインでは第30回)のコミュラボオフ会

今回は、Tokyo Work Desing Week オーガナイザーの横石崇さんと、Peatix取締役CMOの藤田祐司さん、そして本番中にお越しくださった迷い猫(!)の楽天大学学長の「がくちょ」こと仲山進也さんと 「2021年の働き方とコミュニティをテーマにお話ししました。

横石さんが11月の勤労感謝の日の直前1週間にわたって開催された今年のTWDWのテーマは「ネコに学ぶ、これからの働き方」。ちなみにこのお題は、TWDW開催直前に発刊された仲山さんの新著「「組織のネコ」という働き方」にインスパイアされたものです。

TWDW大トリの11月23日(勤労感謝の日)に、藤田さんのモデレーターのもと「ネコとコミュニティ」をテーマに、コミュラボ 主催の辻を含め、3名のパネラーで大いに語り合いました。

今回は、その議論の盛り上がりを受けて、横石さんと藤田さんとおしゃべりする本イベントを企画しました。そこに21時過ぎにがくちょが迷い込んできていただいてからは、さらに盛り上がりました。まさかのスペシャルゲストの登場!まさしく年末特番!ありがとうございました!

普段のコミュラボの「ラボ」のオフ会はクローズドで開催していますが、今回は年末特別企画ということで「コミュラボ」Facebookページと、横石さん・藤田さん・辻の3人で始めたオンライン配信「つながっていいとも」Facebookページで一般公開配信しました。

このnoteでは、その内容をお届けします!
お時間ある方は、ぜひ下記リンクからアーカイブをご覧ください!

横石崇さん、藤田祐司さん、仲山進也さんのご紹介

横石崇さん

&Co.代表取締役。
国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」代表。
鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」支配人。著書に「これからの僕らの働き方 」(早川書房)「自己紹介2.0」(KADOKAWA)。
法政大学キャリアデザイン学部兼任講師、渋谷○○書店発起人・管理人。

藤田祐司さん

慶應義塾大学卒業後、株式会社インテリジェンス(現 パーソルキャリア株式会社)で営業を担当後、2003年アマゾンジャパン株式会社(現 アマゾンジャパン合同会社)に入社。
最年少マネージャー(当時)として、マーケットプレイス事業の営業統括を経て、Peatixの前身となるOrinoco株式会社を創業。国内コミュニティマネージャーチームを統括したのち、営業、マーケティング統括を兼務。2019年6月 CMO(Chief Marketing Officer)に就任。

仲山進也さん

北海道生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。
シャープ株式会社を経て、創業期(社員約20 名)の楽天株式会社に入社。
2000年に楽天市場出店者の学び合いの場「楽天大学」を設立。人にフォーカスした本質的・普遍的な商売のフレームワークを伝えつつ、出店者コミュニティの醸成を手がける。

2004 年には「ヴィッセル神戸」公式ネットショップを立ち上げ、ファンとの交流を促進するスタイルでグッズ売上げを倍増。

2007年に楽天で唯一のフェロー風正社員(兼業自由・勤怠自由の正社員)となり、2008年には自らの会社である仲山考材株式会社を設立、オンラインコミュニティ型の学習プログラムを提供する。2016〜2017年にかけて「横浜F・マリノス」とプロ契約、コーチ向け・ジュニアユース向けの育成プログラムを実施。

20年にわたって数万社の中小・ベンチャー企業を見続け支援しながら、消耗戦に陥らない経営、共創マーケティング、指示命令のない自律自走型の組織文化・チームづくり、長続きするコミュニティづくり、人が育ちやすい環境のつくり方、夢中で仕事を遊ぶような働き方を探求している。

お声かけさせていただいた背景

横石さんと藤田さんは、いろんな機会にいろんなことをご一緒させていただいている同志です。

中でもこのお二人と、といえば、20年5月のオンラインチャリティ24時間生配信「HELLO, NEW NORMAL」。横石さんのご発案を藤田さんとPeatixさんで形にされた一大イベントでした。

その中でグランドフィナーレ直前の16時から、コミュラボ主宰の辻が担当したのが「つながっていいとも」。スピンオフして今も木曜日の12時30分からの18分間の生配信に続いています。

そして、横石さんの手掛ける今年のTWDWは「ネコに学ぶ、これからの働き方」というテーマで、7日間にわたり展開されました。直前に発刊された仲山進也さん著「「組織のネコ」という働き方 」にインスパイアされ、これからの働き方をある動物(ネコ)から学ぶことで、今の社会に必要な行動や思考、習慣に迫りました。

その一つとして、大トリの11月23日(勤労感謝の日)に、藤田さんと河原あずささんのモデレーターのもと「ネコとコミュニティ」をテーマに、「ネコ」的な働き方をするメンバーでその楽しさ、意味、広げ方、「ネコ」ではない働き方をする方々との関わり方、などなどを大いに語り合いました。

今回はその議論の盛り上がりを踏まえ…

・改めて「2021年の働き方」とは
・これまでの「働く場」や「働く人」の変化
・その変化を受けて見えてきた「タイプ別の働き方」
・働く環境が変化する中での「コミュニティ」の役割
…などなど、おしゃべりしたくお越しいただきました。

今日の話の流れ
今日のゴール


【第1話】2021年の働き方

変化する働き方、変化する渋谷

辻:なぜ今年のTWDWのテーマは「ネコに学ぶ、これからの働き方」としたのか。

横石:かねてから世の中に「ネコ」的なものが増えている気がしていたところ、TWDW開催直前に仲山進也さんが「組織のネコ」の本を発刊すると伺い、お声かけし、ゲラを拝読した。

その中に「組織に忠実なイヌ」「組織よりも自分の価値観に忠実なネコ」が登場し、まさしくこれだ!と思った。拝読した翌日に、これをTWDWのテーマにしたい!と仲山さんにお願いした。7日間で「ネコと脳科学」「ネコと都市」などをテーマにしたセッションを行ったので、世の中がネコ化している現象は説明できたかと思う。

仲山進也さんによる「働き方の四象限」

イヌとネコのどちらが上とか下というものはない。でも、ネコのように自分の価値観を表現しやすい世の中になってきた。そうした中で「自分の偏愛」をテーマにした書店「渋谷○○書店」を渋谷ヒカリエにオープンしたところ、100棚が完売した。ここは100人の棚主の偏愛、偏った価値観を発露できる場である。今までは自分の価値観を、と言っても…という感じから、認められる社会になってきたと感じている。面白い世の中になってきた。

また、渋谷で起業を促進する「SSU(シブヤ・スタートアップ・ユニバーシティ)」も開講した。

辻:なぜ、偏愛が示せるようになってきたと思うか。
仮説として「コミュニティブーム」の背景にある「当たり前の崩壊」(今までは生まれてから学校、地域、会社とコミュニティが身近に存在してきたが、今は会社の終身雇用の崩壊やフリーランス化などで、それが当たり前でなくなってきた)と「個の力の台頭」により「自分の偏愛」に頼ってないと自分を保てないから、な気がする。

横石:TWDWの初日に、ひふみ投信の藤野さんが「イヌ的な昭和96年型企業」と「ネコ的な令和3年型企業」が併存し、せめぎあっている状態と評していた。

藤田:今は風の時代が始まったと言われている。今までは土の時代だった。お金、地位、所有に価値があるとされた。まさしく、我々の育ってきた時代だ。今までは、企業の中での出世に価値があるとされてきたが、今は個人の体現が認められるようになった。風の時代が始まり、大きく変化してきた。

辻:横石さんが、渋谷をベースに「○○書店」や「SSU」が始めた理由は?

横石:コロナで皆、ワーケーションなどでローカルに目を向けた。それにより、渋谷から人が離れた。駅前のビルなども、危機感をもった。都市部がコロナをきっかけに、今まで向き合ってこなかった「空洞化」を感じるようになった。

渋谷のライバルは、他のまちではなくゲーム。若い人は渋谷に来てない。大学で聞くと、来ているのは半分程度。残りは、家でゲームをやっている。今のゲームは昔の渋谷のような感じ。「ヒリヒリする」感覚が設計されている。かつての渋谷は緊張感があったが、今は薄らいで来ている。それに惹きつけられていた若者たちが、違うところに目を向けている。その状況に、危機感を持っている。オンラインベースのクリエイターエコノミーとまちをどう接続させるのかを考えている。

Amazonの進化とネコとイヌの関係

横石:藤田さんは、なぜAmazonをやめたのか?

藤田:今でも父にもったいないと言われる(苦笑)。2003年にAmazonに入社した。Amazonは今でも好きな会社だ。入った時は自由で混沌としていた。当時のアマゾンジャパンには、今のようなリーガルもいない、コンプラもしっかりしていない、個人の裁量で動ける会社だった。

入社したのは、社会人2年目になる直前。11ヶ月で前職を辞めた。そんな若い自分にも裁量が与えられ、結果を出さなければならないというプレッシャー、渋谷的ヒリヒリ感がある会社だった。

しかし、方程式が見えてくるとそれに合わせたビジネスになってきた。2007年頃になると、面白くなくなってきた。もともと起業したかったこともあり、同じ感覚の創業メンバーとスタバでお茶をした時に「起業しちゃう?」という話になり、飛び出た。2009年に飛び出て、2011年まで3〜4つほどサービスを潰して、ようやくお客さんに使っていただけるPeatixに辿り着いた。

辻:2003年のAmazonは、ネコとトラの会社だったのか?

藤田:採用担当によれば、普通の人が取れないとのことだった。イヌ型でチャレンジしてくる人がおらず、ネコの人が多かった。しかし、だんだんイヌが必要になってきた。ネコだけでは会社を大きくできないため、イヌに来てもらうべくして増えた。ある程度までは、不安定さをネコの馬力で乗り越えられた。しかし、そこにイヌがきてバランスが取れるようになった。

辻:ネコとイヌを共存させていくには?

藤田:難しい問い。アマゾンで叶ったかというと難しい。外資系の定め。日本でやるすると、イヌやライオンが、ネコやトラの存在をしっかり認識し、奨励すること。ネコが動きやすい職務をアサインすること。ネコが自由に動いていると、なんで?とか大丈夫?という声が上がると思うが「いろんなキャリアがある」と、イヌもネコもどっちにもしっかり認めていることを伝えるのがベースとして必要だろう。会社の経営陣が、働き方には四象限があって、みんないる組織がいい組織と、言語化するまでに至るかどうかがポイント。

辻:多様性の重要性を聞くが、働き方のダイバーシティは聞かない。

横石:勤務時間は9時から5時、働く場所はリモートワーク始まったけど、似たようなところで働くケースが多く、多様性はない。

2021年の働き方とは

辻:実は働く場所も、人も、そんなに変わっていない気がする。リアルもリモートも両方使うが、最近は再び通勤電車は混み始め、街には人が増えた。働く目的は、稼ぐためや生き延びるためもあるが、自己実現もあり。前者はイヌ的、後者はネコ的、な印象だが、足元の働き方はどのように変わってきた?

横石:組織から個の時代になりつつある。いろんな取り組みを行う渋谷区は「違いを力に変える街」。ゆえにSSUも「違いを力に変える学校」。この力をどう捉えるのか、企業も街も社会も個の力をどう捉えるかが大事。

この世界において、どのような態度表明をするか?が問われている。来年が怖い。どんな答えが出てくるだろうか。しかし、怖いのは前向きのきっかけ。会社も個人も、態度や行動を問われると思う。

藤田:2020年における企業は、働き方を強制的に決められた。社員は全員、家でリモートワーク以外、選択肢がなかった。2021年は厳しい時間も長かったけど、選べる1年だった。今後に向けてのトライアルの1年だった。組織にあった働き方を見出した企業は採用力も高まる。

2022年以降に躍進する企業が、「働き方」から生まれるかもしれない。試さずにこれだけ、と働き方を絞った会社はしんどくなるだろう。不確定の中で、カードを持っている企業が強い。試せた会社と試さなかった会社に分かれた1年だった。

辻:たくさんのカードを用意するには、たくさんの個のカードが必要。昭和96年型企業は、個のカードはいらない、全体として他の人と同じことをやることがを求めてきた。日本の社会は、他人と同じことを同じようにやりつつ違う結果を出せ、という「無理ゲー」を強いてきた。その中で違うカードをどう作ればよいのか、という戸惑いがあると思う。また、選択肢を使いこなせる会社と使いこなせない会社があると思う。

横石:ラーメンで大成功し、今もラーメン売っている店を見ると、ラーメンだけを作り続けて怖くないのかな?と思う。ラーメン味のご飯や、麺つながりでパスタなどの展開もできると思うが、ラーメン一筋。新しい組織能力の獲得がないと生き残れないのではないか。ずっとラーメンを作り続ける96年型企業が心配。

辻:「ラーメン屋の本質的な価値は何?」と、問うことが大事だと思う。ラーメンという表現方法にこだわるのではなく、お客様に「うまい!」と言ってもらうには?が大事。

横石:同じラーメンでもECを始めたり、NYに行くなどマーケットを広げたりもできる。マーケットがあるのだから、チャレンジすればよいと思うが、しない。

Peatix の社名の由来、そして、会社の変化

辻:伸びる会社は、社名では何やってるかわからない、という説がある。ソニーはその好例。

藤田:社名は、変化を許容できるものを考えた。社名で「なんだろう」と思われるものにした。なので、元々イベントコミュニティの会社だが、社名に「イベント○○」などを入れるのはやめた。

ある哲学者によると、イベントとはP・T・Xの組み合わせらしい。Property、Time、 Xは可変要素。PEEは 豆という意味もあるので、キャラクターは豆。当初のロゴは、PTXが大文字にしていたが、社員以外の人が大文字で書かないことから今のロゴになった。

辻:働き方を選択できるようになった。リアル、リモートどっちも選べる。働く人は個としてどう働くかが問われる。同時に、働く場に対してなんで変わらないのか、なぜありように強い思い入れがあるのか、などを考えている。創業し、猫時代に苦しみ、ようやく犬になってきた、ベンチャーからエスタブリッシュにようやくなってきた中で、この変化を受け入れたくないのでは?と考えている。

横石:既得権益で守られた業界はなかなか変われない。ヤフコメに載っても、無敵な業界が日本にいくつかある。しかし、結構変わってきていると思う。あぐらをかいているところは少ない。余裕がない。体力あるうちに変わろうとしてる企業の方が多い

辻:社員はネコ的要素を出してるのか?

横石:これだけネコが重宝されているので、要素が出ていると思う。
TWDWの「ネコと脳科学」で、脳科学者の青砥瑞人さんが「人間のモチベーションは2つ」と言っていた。
一つは「前頭葉」でトップダウンの脳。段取りなど、未来のことを考える脳で、イヌ的トレーニングで使える。もう一つの後ろの方にある「VTA」は、ボトムアップ型のやる気スイッチ。砂場遊びで使われる。理由もなくずっと遊び続ける、楽しいから砂場で遊ぶなど、好奇心ファースト、好奇心ドリブンのケース。ネコ型は後ろが強い。
人は前頭葉が脳の30%だが、猫は10分の1と言われている。猫は好奇心ファースト。学校や会社はイヌ型モチベーション。

辻:風の時代、コロナで計画が飛ぶ時代の中で、好奇心を持ってどう生きる?ラーメンではなく、美味しさを、どうすれば追求できるか。

横石:どっちも必要。青砥さん曰く、脳は「use it,  lose it」。 使わないと鍛えられないし、使わないと無くなる。大人にとって、砂場のように計画を立てないで楽しめる場所は、無計画な旅、すなわち寅さんか、無目的に本屋にいくこと。そのため「渋谷○○書店」をやっている。

【第2話】変化がきっかけではっきりした働き方

ここで仲山進也さんが乱入!〜がくちょが本を出版した背景〜

がくちょ(仲山進也さん)の乱入に驚愕する3人

辻:なぜこのタイミングでこの本を出版されたのか。
先程、横石さんから「働き方の世界で、なんでかはわからないがネコ化が進んでいて、ネコが求められていることはわかっていた。」との発言があった。どっちがいい悪いではない、どっちの方が心地よく生きていけるか。

同調圧力が強い日本では、イヌ前提。しかし、計画的な経営がコロナに襲われて難しくなった。そこで「ネコ的要素」が必要となった。がくちょの本は、ネコの人たちに対して「なのでそのままでいいんだよ」と言ってくれた気がしている。

横石:「組織のネコ、組織のイヌ」という概念が、自分の問題意識や感覚とピッタリだった。本にするって簡単なことではないと思う。どういうタイミングで、どういう思いで作ったのか?

仲山:Facebookの思い出を見返していたところ、2015年あたりから自分の働き方を面白がってもらえることが増えたことに気づいた。その変な働き方、変わってるねといった感じ。楽天コミュニティにこもってたが、藤野さんに「トラリーマン」と評されたのが2018年。

そこからBizzineで1年半、10数人と対談してきた。その時点で「新しい働き方」というと早かったし、かつ、トラの働き方は突き抜けていて参考にならず、共感するのはトラだけだった。トラから「周りにはいない仲間見つかった」というリアクションが多かった。そこから、本にするのに2年かかり、たまたまこのコロナがやや落ち着いた時期に出版することなった。

よく聞かれる「トラリーマン」って何?の説明は面倒くさい。藤野さん曰く、3種のトラがいる。マイルドヤンキーで地元に雇用を創出するトラ、ベンチャー、そして、トラリーマン。このように長く話してもピンとこない。

なんとかならないかと思っていたところ、「組織のネコ、組織のイヌ」は慣用句的に「なるほど!」とわかってもらえる。トラはピンとこない、トラ推ししてもトラは読まない。そこでネコ向けに描きたいな、犬の皮を被ったネコに書きたい、からの「ネコ推し」となった。本のタイトル案は、最初は「組織の猫でもいいじゃない」だったが、柔らかすぎると却下された。

辻:ネコの人は、あの本を読んで救われたと思う。「いいんだ!これで」と。「ネコです」と自分からいう人は、大きい組織では、いない。

横石さん曰く、TWDW初日に藤野さんから「昭和96年型イヌ的企業」と「令和3年型ネコ的企業が併存している、という話があった。イヌ的企業経営が難しくなる中で、社員はネコ的要素を出していい、でも出しにくいという状況でこの1冊が出版された。昭和96年の中でも、令和3年でいいという、ネコの意見を代弁してくれた。

ネコとイヌの共存の仕方

横石:がくちょに、このような悩みの相談が多く寄せられているのではないか?

仲山:メールが来る。ネコとトラから。その中で、自分は犬でライオンだ、という友人からメールが届いた。自分がライオンになってから新規事業の立ち上げが難しいと思い、ネコとトラが必要と気づいた。ネコとトラがどうやったら活躍できるか?を考えるようになった。今までを振り返ると、仕事をちゃんとしないネコを噛み殺してた、狂犬だったとのこと。

藤田:ちゃんと認めることが大事。イヌ、ネコの存在を言語化すること。それがわかっている組織は強い。わからないと噛みちぎってしまう。

仲山:最近の読者の声で、このようなものがあった。会社の偉い人との1on1でマネージャーにならないかという面談の席にこの本を携えていき、机の上に置いた。その上で「自分はネコトラ系なので、部下はいらない」と言った他「なるほど、そういうことか」と、話がいい感じに進んだらしい。

辻:この本はイヌの人に、ネコの存在を通訳する役割もある(仲山:表紙しか見てないのに、相互理解できたようだ)。

先程、藤田さんから2003年に入社したアマゾンの話があった。入った当初は、ネコ、トラばかり。しかし、会社がある程度成長すると、イヌが必要となったが、ネコ的につまらなくなり、飛び出したとのこと。ネコとイヌは相容れなくなるタイミングがあるのか。ネコとイヌの生存領域の確保の仕方は、どうしたらうまく行く?

仲山:ネコはイヌ小屋の外側で暮らすこと。お客さんはイヌ小屋の外にしかいない。ネコはお客さんとともに、イヌの見えないところで暮らす。ネコはお客さんと何かしている、という位置づけ。やっていることは変わらない。

会社が小さい時はみんなそれをやっている。会社が大きくなると、お客さんと接しない人が増える。会社を円とすると、その外にお客さんがいる。しかし、自分がいるところは変わらなくても、会社が大きくなり円の位置がズレると、自分の場所がイボというか、出島のポジションとなる。

組織のイヌにしてみると、大陸が移動する感じ。そうすると、自分のように以前は「楽天っぽい」と言われたのに、だんだん「あの人は楽天っぽくない」と言われるようになる。すると、出島から船に乗って出ていく人も生じてくる。自分はその後「ヴィッセル神戸」という離島で暮らす(注:略歴ご参照)。こうしたネコ的生き方、離島、出島ポジションをどう取るかが大事。窓際はラッキーと解釈すること。

辻:なるほど!犬型的働き方では失敗と解釈してしまうような働き方が、令和3年的にはラッキー!犬が滅びていく中で、この離島は楽しい、そっちで稼げよ、言われなくてもやってますと言える状況になり、ますます楽しくなっていくわけだ!

仲山:入社して間も無くは三木谷さんの創業物語の雑誌のコピーが、しょっちゅう回覧されてきた。何回読んだか…。そこにはハーバードのMBAへ行って、優秀な人は起業し、残念な奴が大企業で働く、と書いてあった。なので、これは今に始まった話ではない。

辻:楽天は今では大企業だが、これをどう見る?

仲山:創業から10数年経って、今月の標語に「Back to Venture」と言ったものが見られるようになった。でも、みんなはベンチャーの頃を知らない。だから、バックと言われても…という感じ。

藤田:アマゾンにいた時に、ひたすらベソスが言っていたのは「Still Day 1」。何度も言ったていた。それだけ大事なのだと思った。

辻:先程横石さんが、イヌになった大人がネコ的要素を思い出すのには「目的のない旅」か「本屋に行くこと」と話していた。日常に、常に「人生のDay1」を思い出すようにしておく必要がある。

藤田:コンフォートゾーンを、定期的にかき回す。

辻:ネコ的な人はなんでネコでいられるのか?

仲山:お客さんに価値提供するという軸を外してはいけない。そうしないと遊んでいるだけと思われる。イヌからみるとネコはなんだかよくわからない、言うこと聞かない、でも、お客さんには喜ばれているらしい、それが生命線。

辻:ネコは「ラーメンだけ出し続けることに不安にならないのか」という危機感を共有するために、「本当に大事にすべきことは、お客様に美味しいと仰ってもらうこと」とか「スキルを転用できたり、市場を広げるためにNYに行ったりしよう!」と言い続けたり、やったりすること。

仲山:ネコやトラがラーメンがなくならないうちに、違うものを作ることが大事。

【第3話】コミュニティの役割

横石:ところで、渋谷には(本当の)地域猫を保護する場所がある。組織と個人の間に保護される機能が「コミュニティ」というイメージ。コミュニティのいいところは、自分の振る舞いで動けること。しかし、地域猫は聞くが地域犬は聞かない。犬とコミュニティは合いそうで合わないのか…。

イヌとネコの進化の違いとコミュニティの関係

仲山:TWDWでのネコの心理学者の話が面白かった。
イヌとネコでは、進化の系譜が違ったそうだ。元は1匹の同じ生き物だったが、イヌはいろんな大きさや形がいる。大型犬やダックスフンドなど、いろんな犬種が増えた。犬の仕事は人間の狩りにお供することで、何を狩るかで、違う強みを持った犬が求められるようになった。でかいやつとか、横穴に入って穴熊にはダックスフンドとか、人間の都合で品種改良されたので、いろんな犬が増えた。

ネコは、生きるためにネズミ取ってたら、稲作を始めた人間に見つかり、君、いいねえ、うちの蔵で過ごさないかとスカウトされた。米蔵でネズミを取ってたら「いいねえ」と言われ、指示されずにただ暮らしているだけでウインウインだった。なので、人の手で改良されていない。

仲山:犬好きの人は自分の飼ってる犬種しか興味ない。猫好きは猫ならなんでもいい。地域犬と地域猫の話はつながる。(辻:犬は、人間の用途で発達し、いろんな犬種がいるので、「犬」で一括りにできないということか)。経理犬、営業犬などがいて、エキスパートになりやすい(横石:犬にはその先にライオンというキャリアパスもある)。なんでもやらされるのがネコ。

横石:TWDWはネコ的ユーザー多い。

藤田:犬とコミュニティは成立しないのか。以前はコミュニティ性が高いところにあった気もする。

横石:イヌには会社というコミュニティが、かつてはあった。よそのコミュニティが、必要なかった。犬小屋があればよかった。

仲山:コミュニティは、指示命令が起こりにくい。上下関係なく物事を進める。しかし、イヌはまず上下関係決めてもらわないとやりにくいとか、敬語を使うかどうか決める、などが必要。

猫は1日ほとんど寝てる。狩りモードのパフォーマンスを高めるために寝て、準備して整えている。ネコの人の働き方も同じ。8時間労働といっても、契約を取るのは1時間で、他の7時間はお客さんとだべったりしている。しかし、この「だべりの7時間」がないと「狩りの1時間」のパフォーマンスが出ない。イヌから見ると仕事してないように見える。だから、ネコはお客様へ価値提供するという軸をブラさないようにしないと、7時間の意味を問われる。

辻:ネコと人が求め合っている価値が共通してあったから、ネコは幸せだった。なのでその重なりを、イヌと確認し続けることが大事。

横石:都市化が進み、米蔵がなくなり、ネズミも出なくなり、猫がいらなくなった。しかし、そこで、ネコの生存戦略は「ただ愛でられる」こと「チャーミング」であるとなった。そのために、目が丸くなった(仲山:ベビースキーマ)。犬の目は尖った。すり合わせ、マッチング、価値が変わると、ネコとしてもネズミばっかりとっていてはいかん、となった。

辻:お客様に価値提供しつつ、飼い主からは愛でられるポジションを意識する。イヌの中でネコが生きているポイントは、可愛げ。

藤田:可愛げと共に「1時間で爪痕」を残すことの2つが大事。ただ可愛いだけだと、おじさんの生存戦略は成り立たない。

辻:イヌの中でのネコの生存戦略は「愛でられる力」と「1時間の爪痕残す力」を高めること。

横石:TWDWでネコを7日間やって、盛り上がった。なのでFacebookグループを作って引き続き集まりましょう!…ということとへの反応はシーンという感じ(仲山:ネコは群れたくない)(藤田:時々集まるのでいい)。

仲山:ここに来る前の19時から21時からは「なんで大きな会社で新規事業がうまくいかないのか」をテーマに、イヌとかネコを用いて話をしていた。

新しいことをわちゃわちゃするのは、ネコとトラが好き。しかし、大きい会社の新規事業はイヌとして評価高いエースが投入される。ネコが一生懸命わちゃわちゃしていても、イヌのKPIで評価される。S字カーブで成長期以降で、お客さんはどうやったら喜ぶ?という状況を「何%伸びた?」と言われても、難しい。

その中で登壇者の人からこんな話があった。
Googleの人に「Googleの20%ルール」について「全員やってるの?」と聞いたら「全員やっているわけではない。上司が変わった時の備え」と聞いたとのこと。ネコの人は、20%ルールの有無に関わらず動き続ける。しかし、上司として理解がない人が来た時に、猫を保護するルールとしてあるようだ。

クロージング

横石:藤野さんが「次はタコだ」と仰っていた。TWDWとしては、ネコの次はタコかな、と考えている(一同笑い)。

藤田:この働き方は、3年前だと言語化できてなかった。今は、割と界隈でも聞くようになったところで、がくちょが言語化し、伝えやすくなった。来年以降はよりみんなの中でこういう人がいると話せるようになる、一段階進んで、面白いことになりそう。

仲山:横石さんが話していたように、ネコトラコミュニティのきっかけを作りたいと思いつつ、やりたいような、やりたくないような…。オンラインサロンはハマらなさそうな気がする。その辺のことを頭の中におきながら過ごすと、何か起こるかもと思って2022年は過ごしたい。

辻:「きょうの猫村さん」に書いてあったが、ネコはたまに集会を催すらしい。ネコは工場的に集まる、というよりはふと思い出した時に「集会」的に集まる「キャッツ」的な会を幹事できればと思う。

MC後記

「自分に忠実」…がくちょが示された働き方の四象限の「ネコ」のタグラインです。会社というコミュニティが「当たり前」でなくなりつつある中で、「自分」らしくあっていいという状況になってきた折に、「自分」をどのように定義し、周囲の人に示し、行動するか、が大事になっていくだろうな、と改めて思いました。

2022年は、横石さんが言うように「自分」をどのように態度表明し行動するかが問われるでしょう。その際に、イヌでもネコでも良いのですが、藤田さんが言及していたように、お互いの存在を尊敬し尊重することも大事です。

目指すものは同じでも、目指し方が違うことで、時には「噛み殺す」ことも生じる可能性があります。なので「自分らしく」いることができる「コミュニティ」を、イヌとネコが関わる場(職場)や、個人と職場の間などに持てることも大切です。

こうした考え方や生き方を、2022年もコミュラボ の活動を通じて、共有できればと考えています。改めて、横石さん、藤田さん、がくちょ、そして、リアルタイムやアーカイブでご視聴くださった皆さん、ありがとうございました。そして改めて、2022年もよろしくお願い申し上げます。







【The Community Lab. #コミュラボ】 コミュラボは、コミュニティが生まれる・動く「きっかけ」の場所です。関心の度合いに応じて①ゼミ、②ラボのラボ、③チアの三層構造となっています。その活動をおすそわけします。