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「娘が、自分が生まれた意味を知りたかった」たけちみりさんが“未完了の完了”の先で見つけたもの

「私や娘が生まれてきた意味って何だろう?」

産婦人科の看護師として、日々さまざまな命と向き合ってきたたけちみりさんには、およそ10年もの間、携えていた問いがありました。

2023年5月に修了した「インテグレーション・コース」は、1年と9ヶ月という短い命で亡くなった娘さんとの日々を思い出し、そしてその出来事を受け入れていく5ヶ月間だったと振り返ります。

現在では医療現場を離れライフコーチの道を選んだみりさん。「インテグレーション・コース」で起きた変化や女性や母子を支えるコーチとしての想いを聞きました。

ライフコーチ・たけち みりさん
命の意味を問うコーチ。第一子が他界したことで看護師となり約2000組の母子のケアに従事。結婚・妊娠・子育てと自己実現の間で悩む女性と関わり『自分らしい人生を歩む女性を応援したい』と願いコーチングを学ぶ。2023年3月に女性向けコーチングBoshitoを開業。自身の喪失体験で得た気付きを活かし、命をどう生きるかを問うライフコーチング『KIGEKI』のサービスも開始。
Twitter:@sumu_stri


医療現場で感じた、お母さんたちの葛藤


——まずは、コーチングを学ぼうと思ったきっかけを教えてください。

私はこれまで産婦人科の看護師として、命が生まれる場面をたくさん見てきました。それと同時に、いくら医療の力を注いでも救えない命をみてきたこともまた事実です。

日々いろんな命が行き交う現場において、悩みや苦しみを抱えているお母さんたちにどう声をかけたらいいのか、わからなかったんです。人によって考え方やたどってきた背景はまったく違うから、同じ言葉をかけるだけでは不十分だろうなとも感じていて。

より一人ひとりに適した母子のサポートができるようになるには何が必要だろうかと、いろいろ調べていくなかでコーチングに出会ったんです。

看護師時代のみりさん

——女性のサポートがしたいと思うようになったのはどうしてですか?

私自身も、第一子を1年9ヶ月という短い命で亡くしているんです。重度の脳性麻痺でした。泣くこともできなかったし、食事を摂ることもできなかった。「自分で考えて選択して行動できる」というのは、当たり前のことではなかったんだと気づかされました。

一方で、医学的には自由に選択し行動できるとしても、自分で自分の生き方を決めることって実はすごく難しいことも産婦人科の現場で気がつきました。私も含めてですが、「社会的にお母さんはこうあるべき」「女性はこうあるべき」という価値観に縛られて、本当は自分がどうありたいのかがわからなくなってしまっているんです。

人生一度きりのせっかくの命があるのだから、自分の人生は自分で決めていいんだよと、そんなことを伝えられる仕事がしたいと思うようになったんです。

「何で生まれてきたんだろう?」娘と自分の命に向き合う


——「インテグレーション・コース」を修了した現在は、看護師の仕事を退職しプロコーチとして活動されています。本業でプロコーチをやろうと思ったのはいつ頃からですか?

「インテグレーション・コース」の終盤のほうですね。もともとは医療現場に関わりながら、副業としてコーチをやろうと思っていたんです。でも、だんだんと「コーチングって、おもしろすぎる!」と思うようになって。1日働ける時間が8時間だとしたら、コーチングに力を注がないともったいないと思ったんです。

インテグレーション・コースの同期たち

——受講中、どんなところにコーチングの魅力を感じるようになったのでしょうか?

魅力は本当にたくさんあるので悩みますが....。でも、とにかく実践を中心とした「インテグレーション・コース」はこれまでの基礎・応用ABとはまったく違う体験で。「本業としてやっていきたい!」とスイッチが入ったのは、受講生同士が本気のテーマでセッションをし合う「ガチコーチング」の存在がすごく大きかったと思います。

私はずっと自分のことをすごく明るい人間だと思い込んでいたんです。でも、ガチコーチングを受けていくと、10年以上の月日が経ったいまでもまだ娘の死を受け入れられていなかった自分に気がつきました。なぜ亡くなったのか、医学的には納得できても、私の心では納得できていなかったんです。

それがやっと、ちゃんと悲しんで、ちゃんと心で受け止めることができた。10年以上かけた一つの物語をやっと完了させることができました。

——まさに「インテグレーション・コース」の大きなテーマである、“未完了の完了”ですね。

看護師になり、その後コーチングを学びはじめたのも、娘が生まれた意味を知りたかったからかもしれません。産声を上げることも食事を摂ることもできなかった娘の命に、どんな意味があったのかなって.......。受講中はそんな問いにたくさんたくさん向き合いました。

もちろんいまでも娘を亡くした悲しみは消えません。でも、娘が生まれた瞬間の何にも耐え難い尊さや一緒に過ごした期間がめちゃくちゃ幸せだったことを思い出したんです。悲しみに紛れて見えなくなってしまっていた娘との大切な思い出が一気に蘇ってきました

そうなって初めて、「娘を亡くした」という出来事を私はやっと受け入れることができたんだなと、実感しました。

娘さんのお写真

——悲しみだけでなく、たしかにあったはずの思い出にも目を向けることができたんですね。受け入れるまでの道のりはどうでしたか?

自分が目を逸らしてきた本当の気持ちに向き合うのは、やっぱりつらいし、怖いですよね。ガチコーチング中に「もう無理」と弱音を吐いたことも正直ありました。でも、同期の仲間たちが私の葛藤を優しく見守ってくれて。弱さを受け入れてくれる人がいると思うと、人は強くなれるんだなあと。本当に感謝でいっぱいですね。

コーチは、自分の愛おしい人生がいきる仕事


——未完了を完了したことで、みりさんにはどんな変化がありましたか?

「いろいろあったけど自分の人生って愛おしいな」という気持ちが一番大きいですね。これまでは、無意識に自分の母が求める“母親像”を目指してしまったり、“コーチ”らしく振る舞おうとしてしまったり、役割という型にはまろうとしてしまうところがありました。

でも、いまは「たけち みり」という一人の人として生を全うしたいという気持ちが強いです。娘を亡くした経験、それを受け入れるまでの葛藤など、人生でたどってきたことのすべてをひっくるめた「たけち みり」だからできることがあるのかなって。

コーチという装いを軽く身につけはするけど、あくまでそのままの自分としてクライアントさんにも向き合っていきたいと思っています。

——母子や女性のサポートとして、医療現場ではなくコーチの道を選んだ理由を改めてお聞かせいただけますか?

看護師という仕事も本当に素敵なお仕事なんです。ただ、医療は命を扱うという慎重さから、サポートの仕方にもきっちりとマニュアルが決められた世界でもあります。

一方、コーチングはあくまでも対等な立場としてクライアントさんに向き合うことができる。そこが結構気に入っているポイントなんですよね。誰一人まったく同じ経験をすることはないにしても、似たような気持ちを味わったことのある一人の人間として対峙できる喜びを感じています。

専門的な知識を持った看護師さんが支えられるところと、医療現場の外にいるからこそ支えられるところ、それぞれに良さがありますが、私が「たけち みり」として力を発揮できるのはコーチの道なのかなと思っています。

人生にはたくさんのメッセージが隠れている


——最後に、「インテグレーション・コース」をどんな人に勧めたいですか?

正直、全員にすすめたいです(笑)。基礎・応用ABで止まっている人は、本当にもったいない! 「インテグレーション・コース」での実践があったからこそ、コーチングの学びを細胞まで染み込ませることができたと感じています。

あとは、強いて言うなら「本当は〇〇したいのに」と感じている人。例えば「本当は夫に優しくしたいのに」「本当はこれがやってみたかったのに」とか、日々過ごす中で何か引っ掛かりを感じている人は、自分ならではの人生が芽生えはじめている証拠だと思うので。

自分の人生やたどってきた経験の中に、たくさんの大切なメッセージがあることに気づかせてくれるところが、「インテグレーション・コース」の大きな魅力だと思います。

執筆:佐藤伶

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