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映画『夏へのトンネル、さよならの出口』

去年の9月9日に公開されてから一年以上経つ映画『夏へのトンネル、さよならの出口』を今更ですが見て参りました。にしても感想をちゃんとした形で文章にしても今更すぎると思ったので、それを短くtwitterを通して呟いたら、夏トン大好きさんから文句が飛んで来たわけでして、こう感想文を書いています。

先ずは作品の紹介ですね。
『夏へのトンネル、さよならの出口』は、主人公の男の子(塔野カオル)と女の子(花城あんず)が出会って始まる、いわゆる「boy meets girl」のロマンスです。主人公の塔野カオルはかなりというか相当不幸な家の子です。妹の死を境に家族は崩壊していて、多分妹が死ぬ前も仲睦まじさとはもう少し離れてる家庭だったと思いますが、妹が死んでそこからはもう取り返しのつかないですね。花城あんずも塔野には比べものになりませんが、まま親とはうまく行かない家庭の子です。親なんて要らない、いない方がいいと思う些細な共通点をきっかけにお互いの距離が縮まって、偶然見つけた何でも欲しいものが手に入る浦島トンネルに入るお話です。

ネタバレを避ける為にあらすじの話はここまでにします。多分もう見てる方しか読まないと思うので、あえて説明する必要もないと思いますし、まだ見てないなら見てほしいので。

この映画の何がいいのかと言いますと、これは小説が原作となった映画でして、その原作の再解析と言いますが再構築を本当に上手く仕上げています。小説はまま一巻ですが映画にするなら色々切るしかないんですよね。その切りが上手くて、辻褄が合うように設定などを上手く変えました。で、原作小説にはかなり気持ち悪くなる描写が次々と出てくるのですが、一応言っておきますと小説としてその気持ち悪さを否定するつもりはありません。むしろそれがあってもっと気持ち悪くなって、主人公たちの行為にリアルさを感じましたので(最後の余計な話は小説としても評価できないし、気持ち悪かっただけですが)それとは別に、映画として上手く情報をまとめていますね。
で、次に良いのが「boy meets girl」のプロットに逆らえてないという事です。20世紀でもう成立されたジャンルなんで、今はそれを無理やり逆らおうとする、下手な作品もあるんですが、これは一切そんな事してません。流れに乗って自分の味を出してるのが上手い。

もちろん悪かったのもあげないといけないんですが、音楽ですね。音楽というか、作中に流れる曲が私にはノイズすぎて作品とスクリーンに集中出来なくて、これはインターミッションかと思いました。そう言ってもこの映画長くないしインターミッションなんて要らないんですよね。なんか曲調は軽いのに、軽いノリで見れる画面じゃないなーと思いました。繋ぎだったのかな。話的に必要だけど、どうするかは微妙ではあったので。

あと、これは自分でもまだ判断しきれてないんですけど、設定が変わり原作に比べて花城の行動から重みが感じられなくなりました。どう考えても原因が軽い。何が気に障ったら、そこまで捻くれるのかな?と思いました。私の記憶が正しければ、厳密に言うと原作と映画で花城が求めてるのは違います。だから、小説は「そうか、あんたイカれてるね(笑)」みたいなノリで読めたんですが、映画はどうしても「あんた、そこまでする理由何でしょ。子供か?子供だったね」としか思えませんでしたね。原因となる理由が弱くなったから、そう行動する事にも説得力が無くなった。なのに逆にですね。そんな子供のわがままみたいな理由だったから、後半、何故そこでその選択をしたか理解出来たんですよ。天秤に乗せた時の重みが変わったから、その選択を理解することが出来た。で、sの結果これは良いのか悪いのか微妙。まだわからないですね。

そんなわけで、総合的に点数をつけると映画『夏へのトンネル、さよならの出口』は良い映画でした。みなさんも見てください。作画もいいし、テンポもいいし、話もいいし、良かったよ。

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