『公演まであと7日』

「観ないとわからない」が多すぎる。

 来週本番らしい。驚愕の新事実だが、受け入れるしかない。
 ところで舞台の配置についてはかなり前から構想が固まっていたのだが、遊び過ぎてしまったため、客席の構造に影響してしまったようである。要するに客席数が少ないので予約するならお早めに、ということだ。
 演劇の、所謂「出来事性」というか、そうしたものを重視しすぎて、作品が外への出口を失っているのはいつものこと。あの決まりきった舞台と観客の物理的位置関係では目指すべきところへ到達できない気がしてしまう。今作では「花道」を採用している。3人いる俳優のうち、2人はほとんど動かない。この、ほとんど動かないがどういうことを意味しているのか、観ていただければわかる…………
 「観ればわかる」というか「観ないとわからない」が多すぎる。「観ないとわからない」というのは宣伝する可能性が絶たれているということを意味する。しかし「観なくてもわかる」のなら、宣伝活動の最終目的である来場へは決して結びつかないことになる。そこで、その中間地点を取ることになる。「観ないとわからない」と「観なくてもわかる」の境界に観客になる前の誰かを立たせる。しかしこれが難しいのである。
 作品の全体像は上演までわからない。演出家は”GOD”ではない。というか、上演においても、つねに部分であるかぎり、すべてを見渡すゼロ・ポジションに立つことは不可能である。しかし歴史家は過去を遠目に眺めて、たかだが一段落程度でムーヴメントを要約してきた。恐らく今、僕らのやっていることも、未来の物好きに顕微鏡で観察されているところかもしれない。もちろん、それはそれでかなり幸福なことである。大半は不純物として捨てられてしまうからである。今回もたぶん、小さな渦しか巻き起こせないかもしれない。しかし何にしてもはじめは小さな渦である。
 我々はいつまで周り続けられるのだろうか。
              (神田真直 稽古日誌より転載・一部改変)

◇公演情報
 Nakayubi.-9「象徴の詩人;My Dad was God.」
【日時】2018年11月23日(金)15:00/20:00
          24日(土)14:00/19:00
          25日(日)13:00
【チケット】前売:1,500円/当日:2,000円/高校生以下無料
    ☆over30割:30歳以上のお客様は前売・当日に関わらず300円引き
    (受付にて身分証をご提示ください)
【ご予約】チケットご予約はこちらから
【会場】人間座スタジオ

宜しければサポートをお願いいたします。いただいたサポートは、今後の劇団運営に充てさせていただきます。