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学びは「楽しい」から始まる #1 こどもの目線

◾️ひとり親でこの子はどんな子になるんだろう

元夫に直接言われた言葉で、記憶に残っていることばのひとつ。
頭の中がぐるぐるするような気分になったのを覚えている。わたしはこの子をちゃんと育てられるのか?
後日、相田みつをさんのことばを新聞の広告欄で見た。

育てたように子は育つ   相田みつを

あぁ、そうやんなーと思った。ひとり親かどうかということより、「育てたように子は育つ」と考えたら、なんとかなりそうな気がした。


◾️親子野遊びで気づいたこと

元夫は車で簡単デイキャンプをするのが趣味の一つだった。小さなバーナーでシェラカップに湯を沸かし、作ってくれたカップ麺は特別な味がした。息子を連れて、近くの河原を探検したり、家族の楽しかった思い出も写真もたくさん残っている。

当初、探検好きの息子の外遊びを、山歩きの好きな父に期待していた。ところが、帰郷1ヶ月後、父は余命3ヶ月を宣告された。母と協力し子連れで父の療養生活を支えた。息子は小学生となり、まもなく父は他界した。四十九日まで終わると、わたしはダウンした。

その頃、息子の不眠症が始まった。環境の変化とわたしが父のことにかかりっきりだったのとで、寂しかったのだと思う。眠れない息子を抱き抱え、泣いた。

息子は、ある日、クラスメイトから野外活動サークルのチラシをもらってきた。楽しそうな話を聞いて、

 👦ぼくも行きたい!

親子で体験参加した。山道を散策し、どんぐりなどで工作をした。息子の目はキラキラしていた。活動に参加するようになり、いつの間にかぐっすり眠れるようになった。

参加している子供達を見ると、親御さん自身も一生懸命作っている。それを見て安心して、自分も作る。“親子で楽しむことって大事“に気づいた。他のこどもたちを見ると、ひとりひとり違う、できることもできないことも、得意なことも不得意なこともみんな違う。違ってていい。“成長は競争じゃない“を知った。

探検大好き



◾️こどもにしか見えないもの

正方形の家電の空き箱を見て、息子が嬉々として叫んだ。
 👦お祭りボックスや!

ほんとに、ただの箱なのに。そして、その箱で“お祭りボックス“とやらをどうしても作りたいと言う。わたしが何がいる?と聞くと
 👦色紙、のり、ハサミ…

最初はハサミを使っていた。そのうち、手でちぎり出した。のりもヘラでつけていた。そのうち、素手で塗り始めた。ちぎっては貼り。貼っては、糊付け。ちぎって、貼っては、糊付け…
時々微笑みながらも、表情は真剣そのもの。
 👦できた!

とりあえず、ちぎり色紙をランダムにぎっしり貼ったカラフルな箱ができた。
息子は箱の中に入れる、お祭りグッズを作り出した。
 👦なんか棒がいる

割り箸とストローを出すと、旗のようなものを作り四隅に立てる。
 👦できた!
  あ〜楽しかった!


つくると言うことに対して、目から鱗が落ちた習慣だった。
何事も大人目線でみてはいけない。大人好みの出来栄えが、こどもにとって楽しいとは限らない。

ボール転がしゲームをつくったよ

◾️おはなし三昧

キッチンで夕飯の支度をしていると、
 👦お母さんあのなぁ…
と息子がやってくる。わたしは、ごめん、後でね。

料理が並んで食卓に着いて、
 👦お母さんあのなぁ…
冷めちゃうから早く食べなさい。

ある日、元夫と近況を電話で話した。
『お話がしたいんじゃない?』
へ?と思った。あぁ〜そう言うことだったか。

その日から、キッチンで夕飯の支度をしていると、
 👦お母さんあのなぁ…
と息子がやってくる。わたしは手を止めて、なんや?と聞く。息子はひとことふたこと話して、満足して行ってしまう。

料理が並んで食卓に着いて、
 👦お母さんあのなぁ…

ん?なんや?息子は学校であった話をする。
わたしがどんな反応をするか気にしている。料理は冷めていく。息子の話は止まらない。楽しそうに満足するまで話す。わたしが理解するまで話す。わたしが笑うまで話す。お皿がカピカピになっても、満足するまで話す。わたしも質問するし意見も言う。焼肉定食みたいなメニューでも、2時間のコース料理ほどの時間がかかるようになった。学校や友達や先生の話、疑問や不思議な話、SFチックなありえない話で盛り上がることなど、楽しい話がたくさんできた。


◾️育てたように子は育つのか?

このことば、いつ頃知ったのか記憶にない。でも、どの子にも同じ育て方をすれば良いと言うことではないと思う。学校や野外活動の場でこどもを観察すると、それぞれ違う。自分のこどもを観察し、自分がこどもだった頃を思い出し、接し方を考える。こどものペースを確認しながら育てていく。我が家は、こどもがひとりだったからできたのかもしれない。でも親は自分のできることを考えて、やるしかないと思う。

つづく

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