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「今日から始まるナラティヴ・セラピー 希望をひらく対人援助」を読んで(読書感想文#50)

ナラティヴ・セラピーはずっと気になっていたのですが、なかなか学んでこなかった分野です。
「語り、ストーリー」というイメージがあって面白そうと思うと同時に、医療分野でよく活用されていそうだけれどなんでだろう?というのが読む前の印象。それと、社会構成主義や家族療法がどう繋がるのかがよく分からないので、少し難しそうだなぁと思っていました。

▼今日から始まるナラティヴ・セラピー 希望をひらく対人援助/坂本真佐哉著

この本では、著者が経験を積んでこられた専門的な内容がメインですが、語りが優しくて読みやすいですし、すぐ実践できそうなところが良かったです。たぶん、何かしら生活にも活かせると思う。

問題を外在化するという考え方

なにか問題が起きたときに、その人の中に問題があると考えるのではなく、問題は問題であると外在化する。マイケル・ホワイトらが創始した考え方です。

問題は、社会や文化と言った背景にも規定されるので、問題とされるものは時代によって変わっていきます。(不登校が時代や地域によっては、農業の人出になって助かるとして問題にはならないかも・・・といった例が記載されていました)

そうか、つい自分が悪いとか、ちゃんと仕事をしないあの人が悪いとか思ってしまったりするけれど、それはその文脈の中で問題になるだけだということですね。確かに。

家族ってシステムなんだなぁ

家族療法は、家族を人間関係の文脈と捉えます。だからシステムズアプローチというと初めて知りました。家族はコミュニケーションによって成り立っているので、流れの中にいると客観的に見ることが難しい。そのため、川の流れを橋の上から眺めるように、メタ・ポジションをセラピストがとります。

ミラノ派家族療法では、問題が家族にとって必要と専門家がまとめ伝えることで、問題が問題でなくなるために、解決に繋がるという話が面白かったです。問題じゃないからそのままでOKだし、もし家族が反発して行動すればそれは解決に向かうからそれもOK。ダブルバインドがこういう使い方もできるとは・・・(ちょっと複雑で、実際にやるのは私には難しそう)

解決志向アプローチとの関連性

ソリューション・フォーカスト・アプローチでは、「例外」について聴いていくことで、問題解決の糸口を掴みます。
そのため、その人のいいところ、本来の状態、前向きな行動のかけらにフォーカスする質問の仕方をすることで、文脈が変わってきます。

あぁ、ソリューション・フォーカスト・アプローチ自体をちゃんと勉強してから読めばよかった。。ナラティブとソリューション・フォーカスト・アプローチの繋がりがいまいちピタッと理解できない。悔しい。

学びとしては、私は「何か心配なことはありますか?」などと、つい聞いてしまうことがあったのだけれど、これはあまり良くないんだなぁと分かりました。「確認しておくと役に立ちそうなことはありますか?」とかでいいのかな。ちょっと試行錯誤してみよう。こんなところから、少しずつ実践していきます。

困り事というのは、人の内ではなく、人と人との間にある。それを社会くらい大きな視点で捉える。そういう考え方かなと思います。面白いですね。
ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。

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