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声の積み重ね

誰かにとって必要な店。

こんな事を書けるのも、今まで続けてきたから。

一年目だったらとてもじゃないけど書けなかった。

お客さんの声が積み重なり、重みになる。


「来月出産なんで寄りました。もう当分来れなくなるので。」

そんな状況でもわざわざ寄ってくれた嬉しさ。

どの駅からも遠く、ゆっくり出来るお店じゃないのに。

この人が気軽に立ち寄れるようになるまで続けなきゃな。

あと数年は頑張るか。

店を続ける意味を持たせてくれる人がいる。


「月に一回しか来れないけど、その一回が楽しみなんです。」

遠方からわざわざ足を運んでくれる人がいる。

近所には他に有名なコーヒー屋があるのに。

休まなくて良かった。

人を雇わなくて良かった。

そう思わせてくれる人がいる。


「4年ぶりですかね、元気にしてますか?」。

一緒に働いていた後輩が遊びに来てくれた。

環境が変われば関係は終わる。

そんな考えを見事に吹き飛ばしてくれた後輩。

「お店やってなかったら会えて無かったです。続けてくださいね。」

そうだよな。

ここが無かったら二度と会うことは無かったよな。

気づかせてくれる後輩がいる。


お店を続けられるのは売上があるからではない。

誰かが必要としてくれるから続けられる。

毎日来てくれる人、週に一回来てくれる人。

この人達は「お店があってありがとう」なんて声はかけてくれないけど、分かってる。

嫌だったら来てないですからね。

僕の続ける理由はこれしかない。

必要な時に必要とされる店でありたい。

無くなったら困るような店を作りたい。

「あれ?あそこって何があったっけ。」

街の景色が変わる度に交わされる会話。

そうならないように。

ただ、消費されて終わるようなお店にならないように。

積み重ねていくしかない。

声と信頼を。

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