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【平成のエラリィ・クイーン】中高生人気必至の注目作家「青崎有吾」のおすすめBEST3!


noteには映画の話を書くつもりだったし、元来ミステリよりも映画の方が断然詳しいのだが、今日も今日とて僕はお勧めのミステリ作家を書くことにしている。

ちなみに僕のポリシーとして投稿時点で出版されている単行本をすべて読破している方でないと紹介しないというものがあるので、決して記事数稼ぎに手あたり次第紹介しているわけではないことを承知してほしい。

青崎有吾とは


今回紹介するのは【平成のエラリィ・クイーン】こと青崎有吾だ。
すでに元号は変わったが、そんなことは関係ない。彼の魅力はエラリィ・クイーンを彷彿とさせるくどいまでの論理的推理だ。
物事を論理的に書くというのは全員が心がけていることだと思うが、これが案外難しい。皆さんも学生時代に抽象的な言葉を多用して何が言いたいのかさっぱり分からない稚拙な学術論文に出会ったことはないだろうか?研究者でさえ難しい、分かりやすく、筋道立てて話すというこの能力が青崎有吾は頭抜けて高い。とにかく、何が起こっているか、どう考えているかが非常にわかりやすいのである。

青崎有吾の魅力はこれだけではない。論理的構成と双璧をなす彼の作風。それはとんでもなく「ポップ」であることだ。
彼の作品では大抵殺人事件やそれに類する重大事件が起こるのだが、そんな不穏な空気は作品内には漂っていない。個性豊かな登場人物たちが繰り出すコミカルな会話が物語全体に明るい雰囲気を漂わせ、次のページをめくる手を加速させていく。
【平成のエラリィ・クイーン】という二つ名もなかなかイカしていると思うが、僕は彼に【キング・オブ・ポップ】というキャッチフレーズもふさわしいと思っている。マイケル・ジャクソンとエラリィ・クイーンってどっちの方が偉大なのかね。異種格闘技戦。


こんな個性にあふれた青崎有吾の小説はコミカライズ以外のメディアミックスをしていない。これほどアニメ化に向いている小説もないと思うのだが。きっと「氷菓」とは違った種類の中高生ミステリファンの心をわしづかみにし、大ヒットすること間違いなしだと思っている。

さて、
今までで青崎有吾の小説に興味を持ってくださったという方にお勧めのベスト3を紹介したいと思う。

3位 「体育館の殺人」

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放課後の旧体育館で、放送部部長が何者かに刺殺された。外は激しい雨が降り、現場の舞台袖は密室状態だった!?現場近くにいた唯一の人物、女子卓球部の部長のみに犯行は可能だと、警察は言うのだが…。死体発見現場にいあわせた卓球部員・柚乃は、嫌疑をかけられた部長のため、学内随一の天才・裏染天馬に真相の解明を頼んだ。なぜか校内で暮らしているという、アニメオタクの駄目人間に―。(BOOK データベースより)

彼のデビュー作にして代表シリーズ「裏染天馬シリーズ」の第1作であるこの作品。
デビュー作ということもあり、成熟していない部分もありますがそれでも抜群のリーダビリティはこの頃から健在。シリーズの第一章と若きミステリ作家のこれからを同時に楽しめる最高の一作です。

2位 早朝始発の殺風景

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青春は気まずさでできた密室だ——。
今、最注目の若手ミステリー作家が贈る珠玉の短編集。
始発の電車で、放課後のファミレスで、観覧車のゴンドラの中で。不器用な高校生たちの関係が、小さな謎と会話を通じて、少しずつ変わってゆく——。
ワンシチュエーション(場面転換なし)&リアルタイム進行でまっすぐあなたにお届けする、五つの“青春密室劇”。(集英社文芸ステーション)

現在出版している中で最新の作品。これまでのポップな作風から一転、落ち着いた文体の作品が続くのだがその柔らかな雰囲気もこの短編集によくマッチしていて面白い。いわゆる「日常の謎」を解き明かす物語だが、どの作品も陳腐には感じさせない。ちなみにタイトルの殺風景、作品内ではどういう意味だと思います?

1位 図書館の殺人

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期末テスト中の慌ただしい9月、風ヶ丘図書館で死体が発見された。閉館後に侵入した大学生が、山田風太郎の『人間臨終図巻』で撲殺されたらしい。しかも現場には一冊の本と謎のメッセージが残されていた。警察に頼まれ独自の捜査を始めた裏染天馬は、ダイイングメッセージの意味を解き明かせるのか? (BOOK データベースより)

今回1位に輝いたのは、裏染天馬シリーズの最新作。シリーズごとに深められていくキャラの魅力はもちろん、そのプロットにもさらに磨きがかかっており、エンタメとしてさらなる高みへ上っている。今の若手ミステリ作家でここまで本格とエンタメを両立している人って珍しいんじゃないか。本当にアニメ化してほしい。アニメ映画化が一番良い。「コンテンポラリーな生活」とかに主題歌やってほしい。

終わりに


青崎有吾の小説は時に“軽薄”と感じるほどポップである。しかし、それを単なる軽いエンタメ小説と断じられないでミステリとして評価されているのは、やはりその巧みなプロットだろう。あまりに丁寧なその作風はしっかりと自分の頭で考えれば、犯人がおのずとわかってくるという側面もある。

しかし、犯人が分かってもさらにエピローグ的などんでん返しもあるのでフーダニットが分かっても楽しめる、まるで飽きない作家だ。

今回の記事を読んで興味を持ったという方はぜひ青崎有吾の小説を手に取ってほしい。
そしてアニメ映画化した方がいいよね!って周りに広めてほしい。


他にもおすすめのミステリ作家を紹介しているのでよければ是非


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