読書感想文『コンテクストデザイン』
キッカケ
『コンテクストデザイン』という題名の本に肖って、この本に辿り着いた文脈を記してみる。
NewsPicks
僕は断続的に NewsPicks の有料会員となり、自分が興味がある動画コンテンツを見ていた。
その中の番組 The UPDATE の中の ”なぜ歴史から学ぶのか?” 的なテーマ会で coten の深井龍之介さんを知った。
コテンラジオ
そんな折で、podcastの COTEN RADIO を聴き始めた。
第1回目が吉田松陰だったということが、自分を COTEN RADIO にハマらせる大きな要因となっていた。なぜなら吉田松陰は大河ドラマ ”花燃ゆ” を見てからのファンだったからだ。
この知的好奇心を満たされる体験をもっとしたい、という欲求がある中で、深井龍之介さんが著者と荒木博之さんと共に発信している podcast 超相対性理論を知った。
超相対性理論
高次の議論がなされていて、知的好奇心をくすぐられる内容が沢山あった。
お互い敬意を示す前提があった上で、否定的な発言も厭わない、それぞれが知の奥底、あるいは高みに向かっている姿が素晴らしいなと感じた。
著者の渡邊康太郎さんは、コンテクストデザイナーということだった。
僕が興味のあるUXデザインの領域では、ユーザーの文脈=コンテクストを掴むことが重要とされる。
それをデザインする、ということがどういうことなのか、と同じくらい、”コンテクストデザイン” というタイトルで著者が記す内容に興味が湧いたので、購入に至った。
気づき
文脈なしでこれを見てもほとんど解釈に困るはず。
また、文脈あり、でも最初どういうことなのか、すぐには理解できなかった。
著書の中では、建物が例に出されていて、その屋根や壁が重要なのではなく、その中で行われる営みこそが重要である、というニュアンスで語られていた。
確かにそう考えるとそうかもしれないと思う。
皿なら料理、料理なら食事こそが真に肝要であると。
服なら着用、ギターなら演奏、スピーカーなら音楽、スマートフォンなら、と、なにか意図をもって創られたものは、必ず虚に存在するものがあって始めてそれの価値が認められる。
そう考えると、メーカーに勤める僕であれば、虚を想像し、それに沿うように実を創ることが求められる。
実のみを見ていると、真に肝要なところを逃すかもしれない。
また、わかる、と、わからないもの、のちょうど中間に位置するものが心地よい思考を促すこと、に気づかされた。
考えてみるとシンプルだが、これを自ら認識することは簡単ではないと思う。
簡単すぎると、思考は働かない。
難しすぎると、思考は諦めてしまう。
問いを投げるときは、受け取った側がちょうど中間で処理できる部分を狙った方が、一緒に考えてくれて、問いが深まるのではと感じた。
自分の感じていたことが、ありのまま言語化されていて、膝を打った。
泣きそうになった。
個人的なメッセージを発信する際、分かって貰えないのではないだろうか、と思案してしまい、メディアで語られているような文脈によせて、済ませようとしてしまうときがある。
しかし、できあがった文章をみてみると、それはスクエアで冷たく色のない感じになってしまうことに気づく。
情報は伝わるが、その先、人が動く姿が見えない。
こういう時、あえて一歩踏み込んだ個人的な感情や体験を込めることで、納得した状態で発信ができることがある。
実際それによって、受け手に具体的な変化があったかどうかはわからない。
もしかしたら、受け手の人が発信者になったときに、体重を乗せて発信するキッカケになるかもしれない。
以前社会心理学の本で読んだ内容で、少数派が変化を起こすための方法として、
・一貫性を保つ
・繰り返し主張する
・少数であっても複数人の意見があることを明らかにする
とあった。
弱い文脈を強い文脈に変化させるために、もしかしたら役に立つのかもしれない。
やること
何かを創るとき、創る対象だけではなく、虚を意識し想像する。
それの価値を発揮するのは、虚と共にあるとき。
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