読書感想文『デザイン人間工学の基本』

キッカケ

人間に対する興味がジワジワと湧いてきて、いまの自分の仕事にどうにか結び付けられないか、と思い、人間工学の本を幾つか読んでみようと思った。

”デザインに人間工学の知見を活かす <デザイン人間工学> というジャンル” として帯に紹介があったが、少し違和感を覚えた。

それはなぜか。
僕の感覚では人間工学とはむしろ、デザインを構成するための一つの視点だと捉えていたので、そもそも別々に捉えることを前提としているこの文章と自分の感覚にギャップがあったのだ。

僕が思うに、この文章の意図としてはおそらく、デザインをする者に対して、人間工学的側面を取り入れることの重要さを訴えること、だと。




気づき

  1. Human Machine Interface 機器との適合性

  2. 視覚と聴覚の話

  3. 有効視野


  1. Human Machine Interface 機器との適合性

人間と機器の適合性を検討・評価する際、以下の5つの側面を考慮するということ。

(1)身体的側面
(2)頭脳的(情報的)側面
(3)時間的側面
(4)環境的側面
(5)運用的側面

(3)時間的側面に関して、
人間は長時間の作業で疲れたり、ときには休憩が必要であることを考慮してデザインする、ということ。

設計時は、常に人間が万全の状態で作業をするという前提で考えがちであるが、人間は疲労がたまったり、繰り返しの作業に飽きてしまうこともあるため、それらを考慮することで、より人間に寄り添ったアウトプットができるようになると思った。

(4)環境的側面に関して、
温度・照明・振動・騒音など人間が利用する環境には、様々な要素がある。
やはり設計時は、一定の状況で再現性を確認していく作業が多くなるので、これら環境的側面に配慮するのが後手になってしまいがちだが、設計初期の段階からフィードフォワードして検討できると、より実環境で使いやすい製品ができると思う。

これらの要素は定量化されづらいため、再現性を求める工学領域では見逃されがちである。それ故に人間工学を学ぶ意義が浮き彫りになってくると感じる。


2. 視覚と聴覚の話

視覚:複雑あるいは抽象の情報を扱うとき
聴覚:単純な情報

それぞれ情報を受け取るために得意な分野が違う。
人を説得するときや、プレゼンテーションのときに使える知識だと思った。

口から話す内容は限りなくシンプルにし、詳細を伝えるためにビジュアルを使う、当たり前すぎるが人間工学の文脈で語られるとより説得力を持って自分の中に蓄積された。


3. 有効視野

有効視野:瞬時に情報受容が可能な左右15°、上8°、下12°

デザイン人間工学の基本

これから言えることは、画面を設計する際は真ん中よりも少し上に、メインコンテンツを置いた方がいいのではないか、ということ。

メインコンテンツから左右上下に情報を出す場合、上側の情報の方が抜け落ちてしまう可能性があることに注意したい。

おそらくだが、人間が今まで生きながらえてきた歴史を考えると、空からくる外敵や獲物よりも、地上にあるそれの方が圧倒的に多いため、下方向に有利な視野を持つ遺伝子が残ってきたことが、この視野角に影響していると思われる。



やること

・デザインする際、機器との適合性の5つ、特に忘れられがちな時間・環境・運用を意識して検討する。

・情報を伝える際、目で見るモノ、耳で聴くモノを明確に分けて意識して設計する。

・情報を伝える際、上下左右それぞれ優先度を意識して設計する。



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