読書感想文『Reseach Driven Innovation』
きっかけ
UXリサーチャーを目指す上で、”リサーチ” という切り口で参考になるものを読もうと考え見つけたのがこの本。
UXは一度置いておいても良くて、リサーチはどうすればいいのか、リサーチとはそもそもなんなのか、みたいなところを知りたくて、読み始めた。
気づき
この本から得られたことは沢山あって、メモも普段の2倍くらいになっていた。
この本のいいところは、抽象的なことと具体的なこと、その両方が書いてあるということだ。
抽象的なことで、グッと心を掴まれて、それを実際にはどうするの?というあたりまでケアしてある品質の良い本というのは、経験上そこまで多くない。
沢山メモした中から厳選して気づきを記していく。
人間と社会の本質、問いというあたりにグッとくる。
イノベーションというと、割と方法論だったり、~思考、みたいな感じで、すぐに手の届きそうな話題を提供している本や記事も多い。
しかし、著者はかなり遠いところの話しをしている。
いやむしろ、遠いところを視ようとしなければ、遠いところにもいけない、ということなんじゃないかと。
人間とは、社会とは、に関する問いというのは、個人的な関心事と重なる部分があって、自分は ”美、人、心、社会” を大事にしていくと決めたことに近いと感じた。
何かを発明しようと思ったとき、それは結局、誰かの役に立たなければいけない。
その時、その誰かについてどれだけ考えられているだろうか?
また、こんなことも述べている。
誰かについて考えるということは、何も客観的なデータのみを元に判断するというコトではなく、むしろそこから主観的な考察を作り出さないと、ユニークな物は生まれない。
データという足場を信じられるかどうか、は自分が一番知ることになるのだと思う。
それをなんとなく扱っていたら、足場が怖くて踏み出せないだろう。
自分で組立て、何度も仕上がりを確認した足場があれば、結果は違うだろう。
未知の未知という言葉を初めて聞いた。
つまり、問題が問題として現れていないところにチャンスはあるのではないか、とも解釈できるのではないか。
人間というのは、大抵のことは慣れてしまうので、問題を積極的に表現することは実際の問題の数よりも少なくなるのではないかと考える。
そう考えるとやはり、データをそのまま使って解いていくよりも、更に何層も深いところに潜り、誰も疑問に思わなかったポイントを見つけ、それが共有できるものだと確かめるために、またデータを頼る必要があるのではないかと思う。
誰も疑問に思わなかったポイントを見つけるには、勇気がいると思う。
深く潜って、また水面に顔を出すには、頼りになるロープを確実に手繰りよせて冷静に振舞うことが必要だと思う。
自分が自己表現できる環境、状況であることもイノベーションには必要なんじゃないか。
問いをチェックリスト化した例を初めてみた。
特に(3)探究的衝動がかき立てられるか が自分にとっては大事だと感じた。
いくら客観的に価値のあると認められて、賛同者も得られているとしても、自分がその気になっていないのであれば、結果的に良いもの創ることができないのではないかと思う。
というか、リサーチャー=研究者に求められる態度であるともいえるんじゃないかと。
やること
スタート地点が自分なのか外側なのかは関係なく、そこに問いが生まれた場合は、反対側から見てみる。
そして、それを概念的に捉え、実際的な事象でも考えてみる。
そこで生まれた問いに対しチェックリストで確認し、自分が安心できるだけの足場を作ることに労をいとわない。
飛び立てるかどうかは勇気ではなく、準備からくる自信に裏付けされると心に留めておく。
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