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少し遠くの、楽しい話をしようと思った話。

the HELLが、2023年4月14日で、4周年を迎えることができました。日頃から多くのお客様、取引先の皆さま、そしてスタッフ、家族に支えられて、この日を迎えることができました。いつも本当にありがとうございます。

これまでの4年間のうち、約3年間は新型コロナの影響で、思うように営業ができませんでした。あの頃やろうと思っていた2軒目は、当時思っていたものとは全く異なる形でスタートしたけれど、順調に営業させていただいています。

やっと終わりが見えてきた

コロナ禍に1周年を迎えた時、noteには、こう記していました。

このような現状を打破すべく、全国の飲食店が色んな動きを見せています。テイクアウトや宅配、未来の食券、クラウドファウンディングを開始したお店や、場合によっては休業や業態変更を選んだお店もあります。こんな時期ですので、正解はありません。これは全て、そのお店を経営する人の美学だと思います。「料理以外の手段でお客様からお金を頂くことに違和感を抱くこと」「どんなカタチでもいいからお店を続ける手段を見つけたい」という姿勢は、飲食店経営者としての美学。それぞれの美学をどこまでも応援していきたいですし、私も自分が信じるものを貫きたい

the HELL note:こんな時期に1周年を迎えましたが、飲食店の経営はやっぱり楽しいですよ。

コロナ禍3年間。自分が正しいと思うものを、貫き続けてこれたと思います。守りには入らずに、常に攻め続け、新しい可能性を模索し続けました。

コロナ禍に取り組んだことを並べると、『オンラインバー、Podcast、Zoom背景販売チャリティー #StayWithBeppu、地元の大学生への間貸し営業、学習室の営業、朝ごはんイベント「Good Morning Beppu」、音楽LIVE企画運営「AKANEKO」、学生向けキャリアの学び舎「湯の町サロン」、the HELL MAGAZINE、リスニングバー「TANNEL」』など。お店の内側のことから、外側のことまで、大なり小なり、様々なことに挑戦してきました。

全てが成功だったわけではありません。失敗に終わったものも多く、途中で諦めてしまった、止めてしまったことも多々ありました。しかし、その一つ一つから、小さな学びを得ることができて、その学びこそが、このコロナ禍3年の大きな成果です。

その成果の中でも、LIVE企画のAKANEKOは2021年のスタートから5回のLIVEの企画運営を経験し、Good Morning Beppuで得た学びから、TANNELでは朝ごはんの営業をすることができるようになりました。

どちらもまだ、理想の状態とは言い切れるものではありませんが、確実な手応えを得ながら、少しずつ前に進むことができています。楽しければ、地味なことを長く続けられることが、意外と得意なのかもしれないと気づけたのも、大きな学びです。

the HELLは、スタッフたち主導へ

なんと言っても大きな変化は、the HELLをスタッフたちに任せられたことです。元気とやる気あるスタッフたちに恵まれ、2022年12月から僕の手を離れ、スタッフたちが主導で営業してくれています。

僕がいなくなったことで、いろんな変化がありました。その変化によって、ご不便をおかけすることもあったかと思います。もちろん、スタッフ一人一人にも、無理をさせたこともあります。完璧な状態での引き継ぎとは、到底言えませんでしたが、そこを全力でカバーしてくれたスタッフたちには心から感謝です。いつも本当にありがとう。

12月の引き継ぎから、週に一度、the HELLのリーダーとは売上の管理をしています。12月は、年末景気で売上が大きく下がることはありませんでしたが、1月2月の売上は、想定の範囲内での赤字。原因はある程度わかっていて、僕が離れたことによる客層の変化と、春休み期間中で、地元の大学生が帰省してしまったこと、コロナ禍での消費行動の変化などでしょう。

そんな月が続くと、毎週のミーティングが、売上を上げるための施策を考える時間になります。「SNSを定期的に更新しよう」「イベントをやろう」「メニューを変えよう」など、お店を営業する中でも、とても細かな仕事のお話です。正直、ワクワクしない、楽しくない話です。

足元を固めるという意味では、もちろん日々の細かな仕事に目を向けることは、とても大事です。ただ、それを「売上を上げるため」という目的のためだけに取り組むことは、本当に楽しくないですし、面白いアイデアも出てきません。これは僕の経験上の話ですが、お金のことだけ考えると、本当に小さくて、つまらないことしか思い付かなくなってしまいます。

日々の仕事に打ち込みながら、たまに遠くを見る

「そもそも彼らは、なんでthe HELLで働いてくれてるのか?」彼らが、面接の時に話してくれたことを思い出しました。「the HELLのコンセプトに共感した」「お客さんとたくさん話して勉強したい」「将来に繋がる経験を得るため」など、いろんな思い、目的を持ってthe HELLで働くことを決めてくれていました。

にもかかわらず、売上だけを追いかける施策の話が中心になってしまっていては、スタッフのモチベーションが上がらないのも当然です。この部分に関しては、深く反省しました。

飲食業は、基本的には「待ち」の営業です。お客さんが来てくれて、はじめてお金になります。物売りの営業でもないので、基本的にはお客さんのご来店を待つしかありません。

正直なところ、日々の仕事は、非常に単調なものばかりです。毎日決まった時間にお店を開ける、掃除をする、氷を削る、カクテルを作る、SNSで発信する、お客さんと話す、など。

何を当たり前のこと言ってるんだと言われるかもしれませんが、本当にそういうものなんです。その結果、仕事に飽きてしまって、店を続けられなくなったという話も耳にします。その気持ちも十分わかります。

そんな中で、この仕事を楽しむコツは、たまに遠くを見ることだと思います。「多店舗展開したい」「いずれは自分もお店を出したい」「このお店から人材を輩出したい」など、少し先の未来へ描く、目的を達成するための手段としての仕事。

そう考えられると、日々の仕事に対する向き合い方も大きく変わりますし、モチベーションにも影響が出てくるはず。

大分県のファンを増やすために、レコードを磨く

僕が「the HELL」と「TANNEL」と「AKANEKO」を続けている理由は、「音楽をきっかけに、大分県を訪れる人を増やすため」です。「あの店に行きたいから、大分へ行く」「あのLIVEが観たいから、大分へ行く」そんな人を1人でも増やして、大分の魅力に気づいて欲しいと思っています。

そのために、日々お店を開けるし、レコードを磨くし、氷を削るし、店の掃除もします。どこ見て仕事するのかという話なのですが、「たまに遠く見て、たまに近く見て」の、この繰り返しを続けることが、仕事を長く続ける秘訣なのかもしれないなと、改めて思ったお話でした。

the HELLの売上は、3月から黒字化しました。リーダーを中心に、スタッフ全員本当によく頑張ってくれています。たった2ヶ月で、黒字に立て直したのは、素直に尊敬です。お恥ずかしながら、Googleのレビューも、僕が中心に営業していた時よりも、上がっています。

そんな頼もしいスタッフたちと、少し遠くの、楽しい話をしながら、来年も再来年も、the HELLがこの街で輝き続けられるよう、日々懸命に仕事に向き合いたいと思います。

僕がいないthe HELLも楽しいので、ぜひ行ってみてください。

5年目のthe HELLも、どうぞよろしくお願い致します。

the HELL 代表 深川謙蔵

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