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【あし #17】義肢装具だけじゃない、不自由を自由に変える


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川村慶さん、大屋正子さん、大場サツキさん(前編)


 手足や体幹などに障害のある人を支える義肢装具を手がけるメーカー最大手の川村義肢株式会社。その会社を率いる川村さんの著書『不自由を自由に変える魔法の仕事』のタイトルにある通り、この会社には「不自由を自由に変える」意思が詰め込まれている。



 会社のエントランスを入って左右に広がるショールームの主役は、必ずしも義肢装具ではない。

 左側には、数多くの福祉用具・機器が並ぶ。業界最大手だからできたわけでも、やったわけでもない。「お客様がやりたいことを諦めてほしくない」、でもそれには義肢装具では解決できないこともある、だから揃うに至った。

 右側には、多様なパラスポーツのアスリート写真が飾られている。ここもスポーツ用義足だけではない。パラスキーやパラカヌーなどシートがパフォーマンスに影響する競技に、義肢装具で培ったフィッティング技術を数多く提供してきた。

 さらに、様々な体の部位に応じたサポーターも展示されている。必ずしも「痛みというマイナスの軽減だけではなく、パフォーマンスを上げるというプラスの方向へも諦めない」ために、一般のアスリートやスポーツ愛好家がこぞって身に着けている。


 この「お客様がやりたいことを諦めてほしくない」精神は、会社説明をしていただいた見学係の大屋さんからもひしひしと伝わってくる。

 プレゼンでは、水と遊ぶことを可能にする「ウォータープルーフ義足」の実物が置かれている。さらに、”走る”を諦めないランニングイベント「ランチャレ」の模様が流れる。最後は、「義足の女子は走りたいんじゃなくて、おしゃれな服を着たいだけ」との期待に応えた男子禁制のコミュニティ『ハイヒール・フラミンゴ』が紹介された。

 何より、それらを紹介する大屋さんが楽しそうだったことが強く印象に残っている。


 プレゼンのスライドの中に、そんな大屋さんはあまり触れなかったが、気になった表記を見つけた。「川村義肢㈱ 30名 5.78%」「パシフィックサプライ㈱ 7名 9.52%」。川村義肢とグループ会社の障害者実雇用率の数字だ。

 障害者法定雇用率は2024年4月から2.5%となり、2026年7月から2.7%に引き上げられる予定だ。それに「企業は対応を迫られる」なんて話がよく聞かれるため、その数字に目が留まらずにはいられなかった。驚異的だ。


 その後、義肢装具の製作現場を見学すると、少し足を引きずり自ら義肢装具を使用しておられるのかなと思う方もおられたが、前述の数ほどには思えない。大屋さんが小声で「この中には、知的障害や自閉症の方もおられます」と教えてくれた。

 これを、川村社長は「普通のラインに障害者が入ってこそ、シナジーが起きる。逆にそれが起きないのはもったいない」と説明する。川村義肢では、本人が個性を伸ばし能力を発揮できるように仕事を仕分けし、働く環境をみんなで考える。

 例えば、手順通りにできたか不安が止まらない社員。新たにタブレットを設置して工程ごとに手順を何度も見返せるようにした。すると、それが便利だと障害の有無にかかわらず他の社員にも広がっていった。

 例えば、パニックを起こす自閉症の社員。まずは自閉症に関する勉強会が立ち上がり、説明は「ゆっくり」「簡単に」「短い言葉」で行うこと、予定外の仕事は投げないこと、心配りの声をかけることといった取り組みから始まった。パニックを起こす回数は激減し、今でもより良い職場環境を作るためのPDCAが繰り返されている。


 川村社長に素晴らしいですねと伝えると、「障害者の就労支援を積極的に進めて、地域企業のモデルになるべきと旗を振ったのは、ご案内した大屋自身ですよ」と教えてくれた。

 大屋さんの一歩は当初、障害のある実習生を派遣する就労支援施設の職員でさえ「できない」と否定的な姿勢だった。それでも、「やらせてみれば、どんどん変わっていった」。最初は「繁忙期に実習生なんて受け入れられない!」と言っていた社内部署も、今では「繁忙期だから実習生に来てもらいたい!」と言うように変わった。


 聞けば、社内では、自分がやりたいことを自由に書ける「自己PR書」を誰でも提出することができるそう。その仕組みについて、「儲けにならないからやめる、ムダなことはやるな、なんて言うようでは経営者失格だ」と川村さんは話す。


 この仕組みは、「川村義肢イズム」とも呼ぶべきものの象徴かもしれない。

 川村さんのおじい様が始めた川村義肢の「創業の精神」には、「働く人が幸せでなければ、お客様を幸せにすることはできない」とある。会社を立ち上げる前に労働者として働いてきたおじい様の学びだった。まず社員が幸せでなければならない。

 そして、川村さん自身は、二代目で先代社長であるお父様から「無理や」「やめとけ」と言われた記憶がほとんどない。

 即ち、川村さんには、どんな社員でも能力を発揮して幸せになれるなら、やりたいことを止める理由がないのだ。


後編へ続く)




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