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自動車の『ドアノブ』が『フラップ式』から『グリップ式』に取って代わられた件

木曜日はオヤジのクルマ談義。

先日、街中で『初代セルシオ』を見掛けました。
バブル華やかなりし1989年に投入された、当時のパーソナル向け最高級車ですね。今のレクサス(LS400)の元祖に当たるクルマです。
重厚感あるスタイルですが、今のクルマと較べるとやはり古さを感じます。それが何かを考えながら眺めていた時に目についたのが、ヘッドライトドアノブでした。

ヘッドライトは、当時主流だった『ハロゲン』から『キセノン(HID・ディスチャージ)』、そして現在は『LED』へと進化しているので、セルシオの四角い『ハロゲンライト』は懐かしささえ覚えるわけですが、では『ドアノブ』は何が違和感あるのだろう…?
セルシオのそれは『フラップ型』と言われるタイプのアウタードアハンドルでした。

1980年代は Cd値(空気抵抗係数)向上が開発競争課題の1つで、燃費改善の為には『フラッシュサーフェイス(フラッシュサーフェス)化』と称してボディの凸凹をなるべく平滑にデザインすることも有効で、その一環として『フラップ型』のドアノブがメインになったのだと思います。

かたや現在のドアノブは、『グリップ型』が主流となっています。
当初は欧州の高級車から導入され始めた『グリップ型』ですが、ほんの数年間で国産高級車から大衆車に伝播し、昨今は軽自動車でも多くの車種で『グリップ型』のドアハンドルが採用されています。

カーオークション.jpさん記事より借用

単純に考えれば、ボディのフラッシュサーフェイス化から生まれた『フラップ型』に較べて出っ張りが大きく、空力面で不利なわけですが、『グリップ型』にはそれを補って余りあるメリットがあるということです。

それは、『安全性』と『利便性』と言われています。

安全性』については、例えば横転や滑落事故など人命に関わる大事故に際して、レスキュー隊がドアをこじ開けて乗員を救出しようとする時に、『フラップ型』だと充分な力でドアを開けられず、救出が難航することもあったとか。
一方で『グリップ型』であればその握りやすさから比較的大きな力で作業ができることと、ウインチ等で引き揚げる際にもワイヤーが掛けやすいという利点もあるようです。

もう1つは『利便性』というか UD=Universal Design と言い換えても良いかと思います。
即ち、『フラップ型』では掌を上に向けて『フラップ』の下部から手前に引く形になるのに対して、『グリップ型』では掌を下に向けて握り締める形になるので、非力な女性や子供でも『フラップ型』よりは力が入りやすく開けやすいというわけです。
背の低い子供は、高い位置にある『フラップ型』を開けるのに苦労していましたので、この『上から握り締める』形状は、身長の高低に対しても汎用性があります。

空力的にはデメリットになりそうな形状ではありますが、そもそもボディ形状が以前と較べて流線形になり、『整流』のシミュレーションも精度が高まったことで、ドアハンドル程度の空気抵抗は問題なくなったのでしょう。かくして2010年以降、世界中の多くの乗用車のアウタードアハンドルが『グリップ型』に移行しています。

面白いのは移行期の各社のカタログで、ドイツ高級車の場合は『万一の事故救助の際、外からでも開けやすい』とアピールされていますが、日本のメーカーでは『女性のネイルが傷つきません!』と書かれてあったそうです(苦笑)

一方で今でも、頑なに『フラップ型』のドアノブを継続して採用している車種が幾つもあります。

1つは、デザイン重視でドアハンドルをボディに一体化させたパターン。
TOYOTA C-HR、SUZUKI SWIFT、HONDA VESEL、MAZDA RX-8等の、特にリアドア部分に見られる造形です。コンパクトカーだとレンタカーでも多い車種ですが、慣れるまでリアドアを開ける時に慌てます。

もう1つは、いわゆるスーパーカーですね。Ferrari や Lamborghini のドアに大型のアウタードアグリップが出っ張っていたら、ちょっと興ざめです(苦笑)
こういった車種では、エアインテークと呼ばれる凹みやドアパネルのちょっとした段差に『開閉ボタン』を隠して、オーナーか詳しい人でないとドアすら簡単に開けられないように『敷居を高めている』場合も多いですね(笑)

特に、前にいろいろご説明した『シザーズドア』の類は、開閉の角度すら分からずに四苦八苦するので、未経験の方は一度正規ディーラーで教えてもらって練習してみてはいかがでしょうか(笑)

※トップの初代セルシオの画像は、gazoo.comさんから借用しました。

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