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吉本新喜劇が『ルッキズム』に折り合いつけながら頑張っている件
気が付けば2月、
去年は毎日更新していたブログが、今年はこれがまだ5本目…
サボってるわけではないんですよ。
分かっていたことですが日次更新に疲れてしまって、2023年は年初から充電かたがた週次更新にさせてもらっています。
で、毎月第1週目のテーマは『キャリア』関係と決めていたのですが、『キャリア』から派生して『多様性』へという流れで、自分が大好きで去年も何度も書いてきた『吉本新喜劇』ネタのお話しです。
池乃めだかさんが、今年80歳を迎えられます。
それに関するインタビュー記事で少し心が動きましたので、紹介させてください。
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池乃めだかさんは1943年生まれ。桑原和男さん(1936年生まれ)や やなぎ浩二さん(1943年生まれ)と並んで、吉本新喜劇の現役俳優の最高齢層の1人です。
桑原さんが実質休演中、やなぎさんもチョイ役が殆どであることを考えると、めだかさんはレギュラー出演どころか昨年夏には3日間の『座長公演』も果たしておられ、最も元気な最高齢役者と言えるかと思います。
その次の世代が、島田一の介さんや帯谷孝史さん(いずれも1950年生まれ)かと思いますので、やはり間違いなく最古参ですね。
その池乃めだかさんの最大の武器は、低身長。
公称149cmとなっていますが実際には144cmで、首から外したネクタイの長さとほぼ同じであることを持ちネタにもしています。
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愛称は『小さいおっさん』。
上記のネクタイネタの他にも、入口の暖簾に全く背が届かないのに、わざわざ両手で払い除ける仕草をするとか、背の高い役者がひざまづいてようやく目線の高さが合うとか、とかく低身長をフィーチャーした自虐ネタのオンパレードです。
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私は47年来の吉本新喜劇ファンで、マンネリの極致とも言える定番ギャグを見続けてきましたが、一番の懸念はやはり昨今の『コンプライアンス』の風潮です。
昭和の中期まで日本映画やドラマで普通に使われていた幾多の言葉が、差別を助長する!という大義名分のもと、P音に上塗りされてきました。
吉本新喜劇では、さすがに放送禁止とされるセリフは避けながらも、今でも『チビ』・『ブス』・『ハゲ』の3つを代表的なイジリネタとして使い倒しています。
そして3つのキャラクターそれぞれに俳優を当てはめ、その俳優が登場すると執拗なまでに『チビ』・『ブス』・『ハゲ』と罵り続けて、観客の笑いを得ています。
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具体的には、浅香あき恵さんが登場すると舞台上全員で『ブッサイクやなぁ~』と叫ぶ。
言われた浅香あき恵さんが島田珠代さんや山田花子さんに、『アナタにだけは言われたくないわ』と言うと、島田珠代さんや山田花子さんは『アナタだから言えるのよ』と返す…
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また、前述の島田一之介さんは30代40代とチョイ役ばかりで全く芽が出なかったものが、50代後半に毛髪が薄くなってハゲを弄られてからブレイクし、遅咲きの大御所とも言われています。
そうした吉本新喜劇の笑わせ方は、『炎上』とは表裏一体でもあり現代では非常にリスクの高い演芸だと思うのです。
その点について、最初に述べた池乃めだかさんのインタビューでは、このように述べられています。
自分の体もですけど、ここ何年かで世の中も変わったなとは思います。若い女性としゃべってても「結婚してるの?」とかサラッと聞いてもセクハラになるし、ものすごいスピードで変わっているなと痛感します。
あと、ルッキズムというんですかね。見た目に関することも、いろいろ変わってきました。ハゲをハゲと言わない。チビをチビと言わない。そんな世の中になりました。
ただね、こんなん言うのが良いのかは分かりませんけど、僕自身はそこまで感じていないというか、あまりナーバスになっていないのが正味のところです。
これもね、いろいろ難しい部分もあるし、安易に言い切れることではないですけど、一般の生活でのことと、新喜劇の舞台でのことは違いますからね。
日常生活で本人が嫌がってるのに、身体的な特徴を繰り返し言ったりしたら、それこそパワハラなり、いじめです。ただ、僕なんかは完全にそうですけど、この世界に入ったということは自分の《人とは違うところ》を受け入れているということです。さらに、それが武器になる世界ですから僕なんかは救われました。
なので、そこを世の中と同じ《ものさし》で「アカン!」と言われるのは、僕としては正直分からんところですし、当事者としてホンマの話を言うと「こっちにまで余計なこと、せんといてぇな…」という思いもあります。これはリアルな僕の思いとして。
ここで私が驚いたのは、80歳になろうかという高齢で、こうした社会の変化や『ルッキズム』という問題をちゃんと理解し、ご自身なりの考えを表現されているということです。
『80歳だからこんな感覚は持ち合わせていないだろう』というのは、私のアンコンシャスバイアス、愚かな思い込みであるとは思いますが、これまで半世紀以上に亘って自身の低身長を武器に闘ってこられた身として、現代の行き過ぎたルッキズムやコンプライアンスの風潮に一石を投じておられると感じた次第です。
ちなみに、同じ吉本新喜劇で4年前から初の女性座長を務める酒井藍さんも、『ルッキズム』についてはこのように語っています。
・幼いころから新喜劇を見慣れている人にはふつうでも、初めての人には過激に感じるシーンもある。多様性やハラスメントなど時代の変化はあるが、今のところ、新喜劇の内容自体にクレームはあまりない。
・もともと新喜劇では、座員個人の身体的特徴や動き・話し方をネタにすることも多い。でも、すっちーさん、川畑泰史さん、私の座長3人とも、時代の変化を気にしており、たしかにいじり方や表現が難しくなってきていると認識している。時代やお客さんの意識の変化に応じて、私たちも変わっていかなければならないし、うまく調整してやっていきたい。
・変な自主規制でおもしろさが半減すると残念。あれは芝居の中だけ、と理解して観てもらえればと思う。
・何よりも大切なのは、人を傷つけないこと。多少過激な台詞もあるが、何か言われても、必ず言われたほうが逆手にとって言い返す展開にしている。
・行きすぎもダメだけど、やられっぱなし、ほったらかしには絶対しない。相手への“愛”をもって会話して、悪口はその場で必ず回収する感じ。
・一方的に攻撃するのは“いじめ”、不公平や意地悪な雰囲気は絶対ダメ。
・スパイスとしての笑いには、バランス感覚が問われる。これからも向き合っていくべきテーマ。
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かつて『ミゼットプロレス』といって、小人症の人たちがリング上をチョコマカと動き回るショウビジネスがありましたが、『身体に異常がある人を見世物にするとは如何なものか』という論調にテレビ局も興行側も抗えず、一座は解散を余儀なくされました。
彼らは誇りにしていた職を失い、『身体が大きい人は相撲取りや格闘家やモデルとしてその大きさを売りにできるのに、身体の小さい人は何故いけないのか!』と泣いていたと聞きます。
そんな悲しいことがあったんや!と落ち込んでいたら、こんなニュースを目にしました。
一般社団法人Get in touch「まぜこぜ一座」による公演『月夜のからくりハウス「歌雪姫と七人のこびとーず」』(3月5日公演)の記者発表会が2日、都内で開催された。代表を務める東ちづるや、出演者のダンプ松本、三ツ矢雄二らが出席した。
「まぜこぜ一座」は全盲のシンガーソングライター、義足のダンサー、ドラァグクイーンなど、多様な個性をもつパフォーマーが集結した劇団。今回、「障がい者を見世物にするな」という“善意の声”によって活躍の場を奪われたこともあった、こびとパフォーマーをフィーチャーした新作舞台『歌雪姫と七人のこびとーず』を公演する。
(中略)
「障がい者を見世物にするな」という声を受けてきた東だが、「今でも『見世物にしているのではないか?』と言われるのですが、見世物です!」ときっぱり。
その理由は「私の仕事は見世物なんですね。見てもらってナンボなんです。でも、過去の見世物小屋とは違います。私たちは魅惑の“魅世物”と思っています。最初の時はいろんな声があったのですが、舞台を観終えた人からは『人間ってすごい!』『生きるってすごい!』『表現ってすごい!』という声に変わっていきました。そこで私たちも自信を持ちました」と打ち明けた。
(中略)
義足のダンサー・大前光一が「舞台やアートの世界って“障がい”という言葉はない。障がいがあるとすれば日常生活とか。舞台でなぜ障がいがないかというと、演出がうまくいっていたら、作品の魅力のひとつとして魅せられる。舞台の上では『障がいはない』ということが、当たり前になってほしい。演出を間違えなければ」と説明すると、東も「そうですね、逆にその特性を生かす感覚ですね」と同調していた。
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池乃めだかさんのインタビュー記事から、また話しが膨らんでいきました。
いずれにせよ吉本新喜劇が、役者さんの代替わりはあっても今のまま継続され、自分の孫たちと一緒にテレビの前でゲラゲラ笑えてたらいいなと、切に願っています…
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