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スーパーの閉店メロディを『蛍の光が鳴りだしたよ!』と言う人に蘊蓄を垂れたい件

火曜日は音楽ネタの日。

まずタイトルだけで何を言いたいかが分かる方も多いことでしょうが、さらなる蘊蓄も入れておきます!

今や大型スーパーでは24時間営業が当たり前になってしまいましたが、それでも地場系の中小食品スーパーだと閉店時間が決まっている店もまだ多くあります。
その閉店時間が近づくと、店内放送で耳馴染みのあるメロディが流れ始め、買い物客は『あらら、「蛍の光」が始まっちゃったよ~』とレジに急ぐ光景が見られますね。

結論から言うとあのメロディ、『蛍の光』ではなく『別れのワルツ』という楽曲です。

『蛍の光』は歌詞あり、『別れのワルツ』はインストゥルメンタル。
じゃ、『別れのワルツ』は『蛍の光』のカラオケ?
いや、もっと大きな違いがあって、『蛍の光』は4拍子、『別れのワルツ』は3拍子なんですね。
(というか、3拍子だから『ワルツ』というんだけど…)
じゃあなんで、あんなに似通ったメロディなの?といえば、元々の楽曲が同じだから(笑) 

実際に2曲を続けて聴いてみます?
最初が4拍子の『蛍の光』、00:36から3拍子の『別れのワルツ』です。

『蛍の光』は、スコットランドの民謡『オールド・ラング・サイン(Auld Lang Syne)』のメロディを元に、戦後の学校教育用に稲垣千穎いながきちかい氏が作詞し、『蛍』という題で『小学唱歌集』に収められたもの。
その後、海軍の離任式で演奏されたことから卒業式の定番ソングになっていったとも。

原曲は英語で、旧友との想い出を懐かしむ内容であり、『蛍』は登場しない。日本語歌詞にある『蛍の光』は、中国の車胤という人が燈油も買えない貧しい境遇の中でも蛍の僅かな光で勉強していた、という故事に由来すると思われます。
そういえば、旺文社から『螢雪時代』という受験雑誌が発刊されていますね。なんと1932年創刊!

冒頭に4/4とありますので『蛍の光』ですね。

一方で『別れのワルツ』は、映画『哀愁(Waterloo Bridge)(1940年)』の劇中曲として『オールド・ラング・サイン』がワルツにアレンジされた曲を、かの古関裕而こせきゆうじ氏が採譜、つまり耳コピして、『別れのワルツ』として発表したもの。
即ち、『別れのワルツ』はそもそも歌詞がないインストゥルメンタル楽曲ということです。
これが何故にお店の閉店ソングに採用されたか?というと、映画『哀愁』で酒場の閉店間際にダンスするシーンで使われていたからとか…(諸説あります)。 

冒頭に3/4とありますので『別れのワルツ』です。

因みに『オールド・ラング・サイン』は、スコットランドでは国歌に準ずる歌として親しまれています。
2014年のNHK連続テレビ小説『マッサン』では、スコットランド人の嫁が日本の子供たちに『蛍の光』を歌い、元々はスコットランド民謡なんだよと説明するシーンがありました。

上述のように『蛍の光』は外国の曲でありながら、『日本の歌百選』(文科省)にも選ばれています。
何故、このメロディーが日本人の耳に心地よいかというと、いわゆる『ヨナ抜き』音階だから。
ヨナ=四七抜き、つまりドレミの4番目の音(ファ)と7番目の音(シ)を使わない、ドレミソラで構成されるメロディです。
詳細は省きますが、今でもカラオケで愛され続ける昭和歌謡曲の多くが、この『ヨナ抜き』音階で作曲されています。

あと敢えて付け加えれば、『蛍の光』・『別れのワルツ』ともに、『弱起じゃっきの曲』。
先ほど、『蛍の光』が4拍子で『別れのワルツ』が3拍子と申しましたが、リズムを取るのに慣れていない方は、恐らく両方ともタクトを振るのに難儀されるかと思います。
それは、1音目(ホタルのホ)が小節の最初ではなく最後の1拍だから。
ま、これも詳しくお話しするとキリがありませんが、分かりやすい解説がありましたので興味あればこちらを是非ご覧ください

というわけで、タイトルだけでピンときた人も、初めて知った人も、楽しんでもらえれば嬉しいです。

※確認の為に幾つかのサイトを参照しましたが、特に四国スバル(高知東店)さんのブログ 2020/3/13 から楽譜等を引用させていただきました。

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