『コードバン(馬尻革)』の長財布を探している件
久々に、オヤジのファッションについてのアレコレ。
先日、『オヤジのファッションについては現在、仕込み中のプロジェクトがありますので、それが成功したら書かせていただきたいと思います』と書かせていただきましたが、そのプロジェクトは3月末くらいに予定していますので、今回は違うお話しを…
新春に財布を買い替えることは『春財布』と呼ばれていて、昔から縁起が良いと言われています。
『春』と『張る』を掛けて『お財布がパンパンに張る』と言われ、わざわざ『一粒万倍日』を選んで新しい財布を購入したり、購入した財布をその日におろしたりする方も多いようです。
私が今 使っている長財布は、ちょうど10年前に広島から京都に居を移し(自身は単身赴任が始まりましたが…)、自宅を購入した時に新調したものですが、さすがに10年も愛用すると若干くたびれた感じが否めません。
で今回、4月から新しい生活が始まる予感を胸に、長財布を新調しようかと探し始めた次第です。
財布を購入するに際してはブランドやデザインから選ばれる方も多いと思いますが、そこは『男子のレザーアイテム』ですので、しっかり革の素材から詰めていきたいところです。
現在愛用しているのは、『カーフ素材』でバーガンディカラー(ワインレッド系、フランス語ではBourgogne)の長財布です。
『カーフスキン』とは牛革のなかで一番若い生後6ヶ月程度の仔牛の革で、繊維構造が細かく、銀面(革の表面)がツルツルしてとても美しい素材です。
仔牛の月例が6ヶ月から2年に育つと『キップスキン』と呼ばれ、心持ち厚めになります。
因みに、牛革は牛を食用に処理した際の副産物であり、『カーフ』や『キップ』の原皮は仔牛を食用に供する習慣がある欧州で主に産出され、輸入されています。
『カーフ』の財布は軽くて光沢が美しいことが魅力ですが、一方で重厚さや堅牢さを求める場合には、『ブライドルレザー』がお薦めとなります。
『ブライドルレザー』は、分厚くて固い原皮を長時間掛けてタンニンで鞣した後、ワックスを染み込ませた丈夫な革で、鞍等の馬具向けに開発されたものです。
『ブライドルレザー』の財布等を新品で購入すると、表面に白い粉が吹いていることがありますが、これは製造過程で染み込ませた蝋成分が表出して固まったもので、『ブルーム』と呼ばれ、皮革表面を保護する役割も果たします。使用しているうちに『ブルーム』が消えていき、色も馴染んできます。
(ブルームについては葡萄の果皮に見られる白いものと同じで、カビや埃ではありません…)
さて、かように『キップ』と『カーフ』と『ブライドル』の説明を記したうえで、今回どんな財布を探しているのか?というと…
実は『コードバン』一択で品定めを進めております!
『コードバン』は『革のダイアモンド』とも称される、極めて丈夫で美しい革ですが、上に並べた牛革ではなく、馬のお尻の革。
しかも、臀部皮膚組織にある厚さ約2mmの『コードバン層』と呼ばれる部分だけを削り出したものが『コードバン』と呼ばれています。
お尻の皮から『コードバン層』を傷つけずに削り出すには熟練の技が必要であり、その技術を要する業者が世界でも数えるほどしか存在しない為、『コードバン』は極めて希少性が高く、あらゆるバッグメーカーやレザーグッズメーカーは、その数社しかない業者から原皮を調達しています。
さきほど『牛革は食用牛の副産物』と申しましたが、食用に供される馬(農耕馬)は牛に較べて極めて処理数が少ない為、そもそもの原皮供給量が限られています。
さらに、強固な『コードバン層』は草食動物であるウマ類が肉食動物に襲われた時に身体を守るためにできたと言われており、従って、競争用に改良されたサラブレッドや家畜の馬には、外的から尻を守る『コードバン層』が見られないことが知られています。
加えて、『コードバン』として削り出される一枚の面積は大きくても約50cm以下と極めて小さい為、財布や靴等の小物に使われることが多くなります。
バッグ類に使われる大判のものはさらに稀少であり、コードバン製のランドセルなどはクラリーノ製や通常の牛革製に比べて数倍の価格となってしまうのです…
と、さんざん『コードバンの稀少性』を煽った上で『コードバンの長財布』を探そうとしているわけですが、そこでやはりメーカーによってピンキリの幅があることを知らされました。
その価格差はブランド格差というよりも、正味、『コードバン』自体の品質によるものと思われます。
全てがそういうわけではありませんが、メーカーとしてどの購買層を狙うかによって市販価格帯が来まってきますし、やはりリーズナブルなメーカーではそれなりの『コードバン』しか使えないというのは仕方ないかと思います。
とはいえ、リーズナブルと言われるメーカーでも、通常の牛革財布と較べれば充分に高額なのですが…
というわけで、現時点で私が候補に挙げているメーカーと、その代表製品を一挙羅列!
最後の GLENCHECKを除いて、全て日本の皮革メーカーです。
他にも、国内有力メーカー幾多ありますが、省略させていただきます…
【二宮五郎商店】・【新喜皮革】・【二宮五郎商店】・【サンユー】・【万双】・【無二】…
はい、というわけで、どれを買おうかということですが…
一生モノとして良いモノを持ちたい気持ちはヤマヤマなのですが、いずれ10年も使えばそれなりに草臥れてくるかと…
でも、良い革ほど、エイジングというか草臥れ感や変色に味わいがあるんですよね…
今から10年使って68歳、20年使ったら78歳か…(苦笑)
ホンネは大峽製鞄か土屋さん、妥協点はソメスさんなのですが、実際にはCYPRIS あたりに落ち着きそうな気がします。というか、今回は『春財布』買い替えを断念し、還暦祝まであと2年強、待ってしまいそうな気もします…
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