ソーシャルスキルトレーニングの実践!~発達段階と特性を踏まえた支援に向けて~

皆さま、こんにちは!

児童発達支援、放課後等デイサービス事業所で作業療法士(特別支援教育士)をしているさぎょうくんです!

今日は”ソーシャルスキルトレーニング”についてお伝えしていきたいと思います。ただ、正直ソーシャルスキルトレーニングは実践していて難しいです、、、

今回の記事で書かれているソーシャルスキルとは”自分以外の他者と関わる際により上手く付き合っていくために必要なスキル”として紹介いたします。(厳密なソーシャルスキルには、身辺自立であったり地域生活を送る上で必要な能力(バスに乗ったり、お店で注文したりなど)も含まれているため)

なぜソーシャルスキルトレーニングは難しいのでしょうか??

私が考えるところでは、お子さんの発達段階や特性を十分評価しないと形だけのトレーニングになってしまいます。この記事を見られている皆様も「ソーシャルスキルトレーニングをやってみたけど(ソーシャルスキルトレーニングを受けてみたけど)うまく行かないな、、、」と思った方も多いのではないでしょうか?(練習場面では上手く出来るけど日常の中で使用することが中々出来ないお子さんをよくお見かけします)

今回の記事を読んだからといって、全てのお子さんにソーシャルスキルトレーニングを実施しないでください!

前述したようにお子さんの発達段階や特性を十分に把握する必要があります。お子さんによってはソーシャルスキルトレーニングよりも効果的な関わりが他にある可能性は十分あります。

例えば、相手の気持ちがまだ分からないお子さんで他のお子さんに意地悪をしてしまうケースに対して、ソーシャルスキルトレーングを行い相手の気持ちに気づくように関わったとしても効果が出るまでにある程度の年月がかかります。(お子さんが低年齢・知的発達がゆっくりだとするとより長い時間がかかると思います)それよりは、応用行動分析の考えを使って”いじわるをする”ことに対して明確な対応を決めて行う・良い行動をした際には好子(いわゆるご褒美)を使っていく方が効果がある場合があります。

~今回の記事で伝えたい事~

①お子さんの発達段階を見極める(次回の記事で詳しく説明します)
②ソーシャルスキルトレーニングを行う前にどの評価が必要なのか知る
③基本的なトレーニングの方法を知る

の3つを説明していきたいと思います。

この記事を読まれた方は、

・ソーシャルスキル(他の人とうまく関わる際のスキル)の発達段階を知ることが出来る(詳しくは次回以降説明します)
・どのお子さんにソーシャルスキルトレーニングが必要なのか考えることが出来る
・特性に合わせた大まかな指導方法を立てることが出来る

ようになります。ぜひとも、日々のご支援(保護者様・支援者様問わず)のご参考になればと思います。

この記事を読んで分からない部分や相談したいことがある方はお気軽にご連絡ください!(Twitterもやっていますので、見て頂ければ幸いです)

お子さんの発達段階を見極める

そもそもですが、ソーシャルスキルトレーニングでよく見られるのが「相手の気持ちを理解して行動できるようになってほしい」、「相手が嫌がることをした時に自分でごめんなさいを言えるようになってほしい」など”相手の気持ちに気づいて、適切な行動をする”系のデマンド(保護者様からの要望)を聞きます。

実際に”相手の気持ちに気づく”ことを重点に支援を行っている支援員の方に「相手の気持ちに気づける”のは何歳くらいからですか」と聞いてみると「うーん、年長さん?年中さんくらいかな?いや、小学生くらいかな?」など正直よくわかっていないことが多いです。

(お子様がソーシャルスキルトレーニングを行っている保護者様、ぜひ担当支援者に聞いてみてください!支援者がきちんと答えられたら、恐らく効果のある取り組みを行っていると思います)

何事にも発達段階はあります。
そして、ソーシャルスキルにも当然発達段階はあります

まずは、皆さん一緒にこの発達段階を押えましょう!

以前作成したソーシャルスキルの発達段階☑シートです。このシートは現在検査で用いられている様々な評価法から必要な部分を集めたり、私自身が重要である部分を加えて作成しました。(その為、他の方から見たら不要な部分も記載されているかもしれません。あくまで私個人が臨床用に必要な物として作成しています。)

このシートを参考にしながら大まかなソーシャルスキルの発達段階について押さえて頂ければと思います。

各発達段階へ進むためにどのようなことを行えばいいのかは今後の記事で紹介していきたいと思います。(なるべく早めにとは思いますが、お待たせして申し訳ありません、、、)

この☑シートをみてお気づきの方もいると思いますが、以前の記事で対人面の発達についての記事を出した際に使った、”対人面の☑シート”と最初の段階生後~1,2歳程度までが酷似していると思います。

つまり、対人面のソーシャルスキルの基盤には他者に対する意識(対人意識)が大きく関わっています!(よくよく考えたら「そりゃそうだ」と思いますよね!)

対人面の発達についてもっと知りたい方は、ぜひ前回の記事

をご参考下さい!

さて、ソーシャルスキルの発達段階については次号で述べますが、最初の疑問「相手の気持ちに気づけるのは何歳くらいから?」を見ていきましょう!

無題

☑シートの一部です。真ん中の段が各年齢の発達段階の流れとなっています。もう少し詳しく見てみましょう。

無題1

見えづらいですが赤枠で囲っている部分が「相手の気持ちなど抽象的な概念にも推測できるようになる」という部分です。この発達段階がくるのはなんと”8歳代”!

もちろんすべてのお子さんがという訳ではありませんし、個々人で発達の速さは異なります。しかしながら、正常発達でも8歳代になるまでは相手の気持ちを理解して、自分の行動に対してどう思うかを推測するのは難しいと言えます。もちろん、「相手の表情をみてどう思っているかを何となく感じる」などその段階に至るまでのステップが存在しますので、いきなり8歳代になったからと言って気持ちが分かるようになるわけではありません。

更に知的な発達の遅れがあるお子さんや対人との交流が希薄だったお子さんはもっと遅れての習得になることが考えられますね。

皆さまも☑シートを見ながら、今お子さんに行ってもらいたい事と実際の発達段階にずれがないのか(ずれが大きいならば目標を変える必要があります。)をチェックして見ましょう!

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発達障害のあるなしに関わらず、お子さんに関わる方皆さんと一緒にお子さんの成長に向け楽しくサポートが出来るように頑張りましょう!