映画レビュー:LUCKY

filmarksで映画レビューを書いています。

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偏屈だけどチャーミングな90歳、ラッキーじいさんの日常。
数々のルーティンに彼のこだわりが詰まっています。
毎日のヨガ(ヨガだったのかアレ、と思ったけど)、お散歩、馴染みのダイナーでのお喋りと甘いコーヒー、クロスワードパズル、牛乳を買うマーケットでの女性との会話、行きつけのバーでの悪口の言い合い。

誰もがラッキーの偏屈さをめんどくさそうにしながらも、どこか優しくてあたたかい。
彼の言葉に耳を傾け、心配してくれる友人に囲まれている。
ほんとだね、孤独なんかじゃない。

ラッキーが自分の死を悟る様子の中に、生を感じました。
歩く速度は結構早くて、まっすぐ前を見ていて、人との衝突・友達をつくること、どちらからも逃げてない。
毎日の過ごし方は決して変えず、終活してる友人に苛立ちすら覚える。

ラッキーにとっては、死んだら無だから。遺された者のために何かをすることを無駄だと思っている。

「だって、そんなことをしてもお前はもう死んでるじゃないか」

ちなみに、終活中且つ、失踪したリクガメを恋しがるお洒落な老紳士は映画監督のデイビッドリンチ。
彼もとてもチャーミングでした。

毎日誰かと関わり、自分の在り方を見つめ、死を受け入れる姿がカッコいい。

最後のシーンでは、しっかりとした足取りで道を歩いていくラッキーの背中。
「向かっている」と思わせる、清々しい背中だった。

あの微笑みを見たら、誰もが釣られて微笑んでしまうんじゃないかしら。

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