見出し画像

染料について

草木染めの衣服や雑貨を作っています。その中でも採取する染料について。

染料を探し集めるに当たって、当然良い色であることは前提。たくさん集められること、集めるのが困難すぎないことがある。

数年前から黄色を出す染料を探していた。草木の中で黄色を出す植物は無数にある。その中でも良い色を出すのがカリヤスとコブナグサだ。家のそばには2つとも見かけない。

画像2

毎年我が家では醤油を作っている。春に仕込み、天地返しなどを繰り返していく。最後にはしぼり師さんに来てもらって搾り、塩分濃度などを調整してもらう。去年そのしぼり師さんから電話があった。「うちの田んぼのそばにコブナグサが沢山生えてるよ。よかったら持って行って。」という。「明日行きます。」と答え、現地に行くと100坪以上のコブナグサだった。草刈機で片っ端から狩り、ガサガサと箱に詰め込み軽トラに積んだ。

採りきれず、この場所はどうするのかと尋ねると焼いてしまうという。

それならと片付けしやすいように、周りから刈っていき、中に集めるように草刈機をふっていった。また来年もどうぞ、と言ってくれた。

画像2







家のそばで他の染料を集める時も、いろいろな人たちとの関わりがある。

耕作放棄地に生えるマツヨイグサ、夏の終わりグレーに染まる。近所の方にこの畑はどなたのですか?と尋ねる。

画像5

画像10


家の庭斜面にも裏にも生える赤麻。 柔らかなピンク色が染まる。黄色を含む優しい色。染めるのは夏の終わり。日光をたくさん浴びて大きく育った赤麻の茎が赤みを増した頃。 だからなのか、纏うのは秋にちょうどいい。ほんのりピンクながら少し切ないような色。春に身につけると少し暗く感じるから、そんなことなのかな。オーガニックコットンのカディストールを通年つけていつも夏の終わりを想う。

画像6

画像9



そしてノイバラ。採取には棘があるので注意。これでグレーを染めている。ややくすんだベージュも染まる。

画像7




育てて染めているのはマリーゴールド。

画像8


変化球では大根の葉で染めたこちらのカーディガンの色。タスマニアウール100%の贅沢なウールは爽やかさのあるグリーンに染まった。染料としての鮮度と素材の掛け合わせのなせる技。いつもこの色に染まるとは思えない。

画像12



里山の斜面にはソヨゴがある。

ソヨゴは冬に採取し染めると赤みを増す。ある人によると水を吸い上げている時期とで色が変わるのではないか、ということだった。

冬青は冬の青と書いてソヨゴと読む。豪雪地帯である、大町市美麻にアトリエを構える私たちの地域は、冬は真っ白な雪で覆われる。木々の葉はもちろん真っ裸なのだが、常緑樹の冬青だけは、青々とした葉をつけ、ここだよ、と教えてくれる。つやのある綺麗な葉は、雪の季節に希望をくれる。


画像11

ヤシャブシはゲレンデのリフトに乗っているとよく見かける。スキー場の方に確認し、スノーボードをする時、ゲレンデわきに滑り降りる。板を外してリュックサックに詰める。

最近は沢のそばで群生しているところを見つけた。主に冬、雪の上を歩き、実や枝を集める。

画像5

数年そばで暮らしているとここからここまでが誰の山でここからが誰のとわかってくる。山菜やきのこと同じで、自分の中での染料マップができてくる。これもまた染めの楽しみなんだと言える。

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?