見出し画像

「核のあり方」について考え直すきっかけになった本


おそらく日本の皆さんが安全保障上、
最も頼りにしている
「米国の核の傘」も、
実は幻想にすぎません。
─エマニュエル・トッド『 老人支配国家 日本の危機 』


漠然と、

日本はアメリカに
守られている。


そう思っていた私は、
この一説を読んで
ひどく驚きました。

そして、
「核のあり方」
について考え直す
きっかけとなりました。



考えるきっかけとなった、エマニュエル・トッドさんの本


フランスの、
歴史人類学者、
家族人類学者である
エマニュエル・トッドさんが
日本について述べられた1冊です。

タイトルの通り、
本そのもの大きなテーマは
日本型の家族体系
日本の最も大きな問題とも言える
少子化を進めていることです。

そして、
それらの問題から付随して、
日本と諸外国の関係や、
日本国内の経済の問題に
言及されている1冊です。



本題に戻ります。

「核兵器」のあるべき姿とは

核の保有は、
攻撃的なナショナリズムの表明でも、
パワーゲームの中での力の誇示でもありません。

むしろパワーゲームの埒外に
自らを置くことを
可能にするのが核兵器です。

核とは「戦争の終わり」です。

戦争を不可能にするものなのです。
─エマニュエル・トッド『 老人支配国家 日本の危機 』

私たち日本人は、
幼い頃からの教育や
歴史を知るプロセスから、
自然と、「核兵器=悪
という強いイメージを持っています。

私自身、
何度も広島へ足を運び、
その歴史の重みと深さを
肌で感じようとしていました。

そのため、
エマニュエル・トッドさんの
主張を読んだ時、
「外国人なのに・・・」
と思ってしまいました。

しかし、
何時間も自分の中で
考えていた時、
核兵器を保有すること」と、
日本の昔の歴史を辿ること
は違うのだと理解できました。

解決すべき問題は、
数多く存在しますが、
核兵器を持つことが、
自国を守ること」のようです。



核は「自国を守るため」以外には使わない

なぜ、核兵器を持つことが、
自国を守ことに繋がるのか?

それは、
核兵器は例外的な兵器で、
自国を守こと
以外に使うことはあり得ないためです。

圧倒的な攻撃力を
保持する一方で、
使用する側にも
非常に大きなリスクが
伴います。


冒頭に述べた、
「米国の核の傘」の話に戻ると、

米国が核を持っており、
米国と安全保障条約を
締結しているからといって、

米国が日本を守るために、
諸外国に対し
核を使用することはあり得ないのです。

つまり、
米国の核の傘」は、
実際には存在しないということです。


「世界の警察」であった
米国の影響力の低下、

中国、ロシア、朝鮮をはじめ、
アジア各国との対外関係など、

日本を取り巻く状況は、
決して完全に安全な状況とは
言えません。


解決すべきたくさんの問題、
そして、数多くの人の理解と
そのための論理的な説明が
必要不可欠ですが、

「核のあり方」について
考えるべきフェーズに
日本は入っているのかもしれません。



しかし!「核保有」よりも大事なことは、少子化への対策

「核のあり方」について、
エマニュエル・トッドさんの
主張を紹介しましたが、

彼が声を最も大きくして
主張したかったのは、
安全保障のことでは
なかったですよね。


そうです、
少子化についてです。

子供の数や出生率は
その国の活力のバロメーターです。

ソビエトが崩壊する少し前、
ソビエト国内の
乳幼児死亡率は、
年々上がり続け、
ついに公表されなくなったそうです。

そして、
ソビエトは崩壊しました。


子供の数が
数年後のGDPにも
大きく寄与するのは、
あなたもご存知だと思います。


日本に話を戻すと、
日本では「家族」が
重要視されます。

そして、
出産、育児や介護など、
全てのリスクを
家族内で背負おうとし、
結果、担いきれなくなっています。

高齢化が進んでおり、
高齢者の方が
人数が多いため
当たり前です。

そして、結果として、
結婚しない、
子供を作らない、
という選択肢につながるのです。


日本に活力を
取り戻すために、
早急に解決すべき問題は、

安全保障の問題ではなく、
少子化の問題です。



本に対する個人的な感想

本に対する個人的な感想は、
新しい視野が広がって嬉しい!
です。

とてもシリアスな話で、
決して明るくはないテーマですが、
読んでいる私にとっては、
人口統計からの考察」が、
目から鱗のでした。


例えば、
トランプ前米大統領の
失墜の背景には、
白人中流階級の
自殺率の上昇などが
あったということについて。

トランプ前米大統領は、
アメリカファーストすぎたり、
極端な資本主義者であったりしたため、
アメリカ上流階級や、
エリートの人々の反感が強く
敗戦したのだと思っていました。

しかし、
もっと深いところに
原因はあったようです。

そして、その「深いところ」
を考えるツールとして
「人口統計」を使うことができる。


裏を返せば、
「人口統計」を読み解き、
考察することができれば、
さまざまな問題を
考えることが出来るということですよね。

そりゃあ、
統計学が最強の学問みたいな
名前の本が出るわけだ!
と納得しました。


本のタイトルのテーマとは
異なるところから、
新しい視座を得られること。


これも本の楽しさの1つですね。
よいきっかけとなった1冊でした^^







サポート不要です!応援したい方がいればぜひその方を応援してください!「応援」という貢献があなたをポジティブにします