Nervous Fairy-23"feW hopE"

←←←←←←←←←←←←←←←

 それから先、その日は怒涛だった。
 朝食時に行き先の相談をして車に乗り込み、4人での小旅行が始まった。
 コンビニでちょっとしたお菓子を買い込んで、一箇所目は両親の希望の場所のアスレチックだ。
 久々に体動かしたらもう明日筋肉痛確定的な俺に比べて、意外と活動的な想いにびっくりした。体育会系なのか?昨日のハグでも負けたしな。親父は元々筋肉質だからもうバリバリにやってた。どっかの筋肉自慢アスレチック攻略番組か。って感じ。
 それで午前中が枯れたので、その次は次の目的地を目指す道の途中にあった、親父おすすめのトンカツ屋だった。めっちゃ柔らかい。なんだこれどうやってんだって感じ。隣で食べてる想も満面の笑みだった。お吸い物やら漬物もまたうまい。やっぱ親父味覚いいな。おかんが料理うまいわけだよ。
 そのあとは、地域でも最大級の馬鹿でかいショッピングモールに向かった。最後に食料の買い出しもここで済ませようと言う魂胆らしく、一旦時間を決めて、各々別行動になった。親父はバッグが見たいと言い、母は食器とか雑貨だと言う。想はやっぱり服飾が見たいらしい。
 俺は行きたい場所リストにあげていたアクセサリーショップと告げて、2人で歩き出す両親を見送ってそこを目指す。
 と。
「ちょっと。どこ行くの」
「いや、だからアクセ見てくるって。想は服だろ?行ってらっしゃーい」
「ダメ。一緒に行くの」
「なんでだよ」
「一緒にブランドやるんなら、相手のセンスを知っておくのは勉強になるじゃん。それに…」
「ああ、そっか。それはそうだな。んで、それに?」
「そっちはいいや。行こ」
 と手首を引っ張って歩き出す。
「おい、方向あってるけど店知らんだろ」
「いいの。あたしは特にお店決めてないから、あちこち見るんだ。最近こう言うことしてなかったから、刺激になる。あ、最後手芸屋さんあればよっていい?」
「俺も最後はパーツ屋予定してたし、いいよ」
「じゃ、行こう」
「うん」
 そこからはもう、想の独壇場だった。とにかくあちこちにあ、これ可愛い、だの、これ素敵!、だの、帽子欲しい、だの、もう止まらなくなった。本当に好きなんだなと感心する反面、こんなに子供だったんだとも思う。出会った頃の彼女からは想像のできない、きっと、素直な新刻想ってこうなんだろうな、と思わされる。おそらく一切の遠慮も配慮もない。最初からこうしていればとは思うけど、それは無理な相談だとも同時に感じる。けれど特に決定打はまだないらしく、手元にショッパーはない。俺もだけど。
 と、俺が一番行きたかったアクセサリーショップの前に差し掛かった。
「あ、ここ寄る」
「ん、いいよー」
 そこは女性向けから始まって、最近メンズブランドも作り始めた急成長中のブランドだった。
「んー」
 と店内に入り物色していると、想は別行動を取る。邪魔になるとか思ってんのかな。都合いいけど。
 そこで、俺はあるイヤリングに目が止まった。
「あ、すいません」
 と、店員を呼び止めて説明を聞く。
 モチーフもさりげなさもちょうどいい、小ぶりなそいつは大した金額もしなかったけど、とりあえずそれは買うことに決めた。
 それから男性用も2点ほど購入して、想に声をかけつつその店を出る。
「なんか買ったの?」
「ん?ああ、そうだ」
 3点入っているショッパーから、小分けにしてもらった一点だけの小袋を取り出して、差し出す。
「ほい。これ、やる」
「ん?なんで?」
 と言いつつも恐る恐ると言った感じで受け取る。
「似合いそうかなって思ったから」
「……どんなのだろう」
「開けていいよ」
 そんなことを話しながら、通路の待合用のソファに腰掛けた。
「…んしょ…っと…おお。イヤリングだ……あれこれしかも…」
「ん?」
 天井の光にかざしながらじっくり観察する想。
「……ネモフィラかな?モチーフ」
「……なんで速攻でバレるんだよ」
「一応花をモチーフにして染め柄作ってるんで」
「……そうだった…ちくしょう…花言葉とか知ってんのか?」
「ネモフィラはまだ知らない。今調べる」
 と言ってポーチの中のスマホに手を伸ばしそうになる想。
「いや!まずは片耳でいいからつけてみ」
「あ、うん」
 と言って、ラベルから片耳分だけ取り外して左耳につけた。
 なんで左耳なんだよ。
「どう?」
「ああ、うん。想定通り。似合ってるわ。よし、行こうか」
「待って、花言葉今調べ「いいけどそれは後でよくない?」
 食いかかるように言う俺。
「う、うん。どうしたの?」
「いいから。行こう。まだ見たいところあんだろ?調べるのは後からでもできる」
「確かに」
「よし」
 それからも怒涛。
 とにかくあらゆるところに寄っては可愛い素敵の大乱舞。途中で、お礼と言ってシャツを一枚プレゼントされた。これは素直に嬉しかった。ありがとう。しっかしそれでわかったけど、全然違っても楽しそうなセンスしてるよ、新刻さん。
 それから、新刻が言って聞かないので、両親に泊めてくれているお礼として何か買いたいと言うので、インタビューを受けた。
「え?そんないる?」
「いるよ!決まってるじゃん。何がいいかな」
「……そういえばこの前、ペアだった箸折れたっつってたな」
「よし、箸屋さん行こう。でも母食器って」
「あ、そか。買ってるかもか。うーん。他になんかない?」
「んー。おとんバッグ見に行ったろー。なんだろう……サイズがあるのはむずいよなぁ」
「そうだねぇ」
「んー……あ、ペアグラスとかは?マグカップはあるけどグラス確かなかった」
「それだ!行こう」
「OK。また食器だけどな」
 その後、場所を確認して向かった食器屋さんで、ペアのワイングラスを2人で買う。俺も出資するのにしぶられたけど、俺のわがままでもあるからと言って押し切る。流石に今日これは買ってないだろうからかぶらんだろう。そのあとで手芸屋とパーツショップで各々創作に必要なものを購入して、待ち合わせ時間も近くなったこともあり食料品売り場に向かっていると。

基本的に物語を作ることしか考えていないしがないアマチュアの文章書きです。(自分で小説書きとか作家とか言えません怖くて)どう届けたいという気持ちはもちろんありますけど、皆さんの受け取りたい形にフィットしてればいいなと。yogiboみたいにw