キミに伝うきっかけの、爪先。-2nd Act.Ver.1.2.3


=2nd Act.Ver.1.2.3========================
 
 放課後になると、楽しみなのか責任を感じてか、帰り支度を終えた時には廊下で本を読みながら結可が待っていた。
「結可お疲れ。今日は早いね」
 と、私が声をかけると、本から視線を上げて、
「ああ、秋海。お疲れ。そうなの。なんかホームルームが異様に短かったから」
「そっか。浬待ちかな」
「うん。一回揃ったら部室行って、そしたら企画書持って吹部行こう」
「おーけー」
 と、そんな話をしているとすぐに浬もホームルームを終えて合流してきた。
「おっつーん!部室いくんだの?」
「うん。そしたら、あたしと秋海は一旦出るね」
 といいながら、私たちは部室への歩みを進めていく。
「あ、例の計画?」
「そう。あ、浬に説明してから行こっか」
「そだね」
 結可の提案に私は同意する。
「ふえー。どんな内容かなぁ。たのしみー」
「そんな大掛かりなものでもないし、これから各所相談しなきゃいけないしね。あ!最初に青月先生に出さなきゃか」
「そうだった。まずそこからだね」
 話していて気づいた。危ない危ない。顧問をすっ飛ばすところだった。
 部室につくと結可がカバンから取り出した企画書を浬に展開し説明を始めた。
「簡単に説明できちゃうから、さらっと。この部活で秋海がやっていくのは音楽でしょ?」
「うん」
 私はその間に各説明先に持っていくCDを確認する。念のため5枚作ってあるから大丈夫そうだ。
「この学校には音楽系の部活がすでに2つにあるよね。吹奏楽部と、軽音楽部」
「うん」
「大きな違いがあって、秋海は1人でDTMやってるけど、この2つの部活には人数という武器があります。今から4ヶ月後の文化祭目掛けて、そこに楽曲提供とかコラボレーションとか、なんか幅広げる活動できないかな、っと思って。もちろん同じく1人で音楽やってる生徒がいれば、そう言う人との協業でもいいし、ネット上で繋がってのいいかなと思ったんだけど、文化祭みたいなところで披露することはできないじゃん?できれば2年のうちに可能性を試しておこうということで」
「ニャルホロ。うむわかった!部室の留守は任せたまえ。いってらっしゃい!」
「浬、戻るまでいる?多分1時間くらいだけど」
「いるいるー!書いてる!」
「よし、じゃあ、秋海、行こうか。まずは職員室!」
「うん!」
 CDを収納したバッグを持って、結可と2人で部室を出る。
 すぐにある階段を降って職員室へ入ると、青月先生は今ホームルームから戻ったばかりのようだった。
 その先生を捕まえて、企画書を渡して、先程の浬と同様の説明をすると、あっさり許可が降りた。
「いいじゃん。文化祭は別に競技大会じゃないしな。こう言う交流みたいなもんがあっても。実際運動部とかやってるしな……そういや文化部ってあまりそう言うのないな」
「そうなんですよね。少しあってもいいかなって思ったこともあります」
「おう。このまま進めていいぞ。もしかしてこれから各部活に?」
「はい。直接行こうかと」
「了解。顧問の方には時間見て俺からも話しとくわ」
「ありがとうございます」
 一旦相談はひと段落したと見て、私はバッグから差し込んだ。
「あ、これ、自分の曲です。一応5曲入っているので、もしよければ」
「おう。もうそんなに作ってんのか。すげーな」
「作ってる曲数はまだまだあるんですけど、初期の頃のは未熟すぎて恥ずかしくて……誰かに紹介できるのはこれくらいで」
「まあ、成長過程はあるからな。うん。ありがと。聞いとくわ。これ、各部の顧問にも共有してOK?」
「もちろんです」
「了解。あ、これから職員会議だから。お前らも部活回るんだろ?」
「はい。ありがとうございました」
「おう。ガンバー」
 軽いノリで送り出してくれる青月先生、そうだった。職員会議ということは各部室も顧問は同席していないのだろう。やりやすいのかどうなのか。
「それじゃあ、吹部から行こうか」
「うん」
 さてと、ここから色々始まるといいなぁ。

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基本的に物語を作ることしか考えていないしがないアマチュアの文章書きです。(自分で小説書きとか作家とか言えません怖くて)どう届けたいという気持ちはもちろんありますけど、皆さんの受け取りたい形にフィットしてればいいなと。yogiboみたいにw