Nervous Fairy-25"nIghT maliciouS"


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「なっ……」
 腹部に感じたことのないほどの強烈な痛み。
「……妹に何をした」
 なんの温度もない、最悪な声色。
「……は。あんたあいつの兄貴か。フードで顔が見えねぇ」
「え?!兄さん!?」
 と、部屋から出てこようとする気配がする
「くんな!警察と救急車頼む」
 言いながら、包丁を俺の腹に突き立てる兄貴の腕を握り返す。
「え……」
 気づいたか。足元の血に。
「な、なに、これ……なんの?なんなの!?」
「想!!」
「……あ……」
「頼む。まだ俺が動けるうちに」
「あ、あ、は、はい!」
 どうやら電話をかけてくれたらしい。いっときでもドライに生きてきたやつはこう言うときに冷静のスイッチを入れるのが上手い。体験談な。
「離さねえぞ。ぜってえ離さねえし、逃がさねぇ。今度こそ終わりに……してやる」
 そう言いながら、自分の血だらけの手でそのフードを剥がしてやる。これで奴の頭部にも血はついた。
「は、はは。瀕死で何言ってんだよ。って言うか、僕からあいつを奪っておいて何言ってんだ」
「あいつはそれでも、お前みたいなクソ人間守ろうとしてたんだよ!」
 と、握っている、相手の手の方が震えているのを確認し思い切りヘッドバッドをお見舞いすると、包丁を握ったままそいつは後ろに倒れた。
「兄も被害者だからっつって!知らねえだろ!!」
 刃物が抜け、出血が本格的になる。本当は抜いちゃいけなかったんだよな。急に膝から力が抜けて、腕を握っていることもできなくなりその場に崩れてしまった。包丁が抜けたせいで、出血が少し加速する。深いのかなぁ。
 するとゆっくりと起きあがろうと上半身を起こすそいつに、
「……こっの!」
 と、言う掛け声とともに、俺の頭上を椅子が飛んでいってそいつにもろにヒットした。
「痛っ」
 と、再度転倒するそいつ。想か。思ったより意識ははっきりしてるからか、ちょっと笑えた。
 頭でも打ったのか、動かないぞ?
「結城!!」
「触るな……せっかく似合ってるワンピに血がついちゃったら台無しだろ……」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!止血……えっと……止血……ああ、もうどうやればいいんだ!?」
 警察も消防署も近いせいか、サイレンがぼんやり聞こえてきた。ああ、なら大丈夫か。
「とりあえず……タオルとかあったらそれで傷口押さえといて…多分大したことないけど、痛ってぇ…」
「……わ、わかった!!」
 と、そこで俺の意識は、痛みに押しつぶされるようにして途切れてしまった。

基本的に物語を作ることしか考えていないしがないアマチュアの文章書きです。(自分で小説書きとか作家とか言えません怖くて)どう届けたいという気持ちはもちろんありますけど、皆さんの受け取りたい形にフィットしてればいいなと。yogiboみたいにw