キミに伝うきっかけの、爪先。-1st Act.Ver.2.9.5


=1st Act.Ver.2.9.5========================

 それから話を進めて、どうにか創部届はまとまって、あたしがキッチンに立とうとした頃に、空衣が部屋から降りてきた。
「あ、終わりました?」
「うん。空衣君は課題どう?」
 秋海が返した。
「土日もあるし、なんとなく余裕持って終われそうです」
 冷蔵庫から炭酸水を取り出しながら、空衣は答えると、リビングに戻った。
「あ、いてもいいですか?邪魔じゃなければ」
「もっちろーん!もう準備できたしお話ししよー!」
「課題、よかったね。なんならお姉ちゃんに教えて貰えばいいのに」
「あー……姉ちゃんきっついんですよ。最初は頼ったこともあったんですけど、キツすぎてもうやめました。1ヶ月でリタイヤです」
「あっはっは。そんなにきついんだ」
「そうなんですよ。学年主席は伊達じゃないっす」
 と、あたしがソースの長身を確認してから、仕込んでおいたハンバーグを冷蔵庫から出した時に空衣が口にした途端。
「……ええ!?」
「はぁ!?」
「「首席!?」」
 その驚嘆を
「あれ?お二人知らないんですか?姉、2年生の主席なんですよ。あれ、姉ちゃん確か入学式もスピーチしてたよね?」
「空衣、恥ずかしいことを勝手に暴露しない」
「いや、だってこれから一緒に部活始めるんだったら絶対どこかでわかるでしょ」
「自然と発覚するのは平気。でもわざわざ自己紹介みたいに言って、それで引いて欲しくなかったからあえて言わなかったの。それなのにまったくあっさりと」
「……ごめん」
 殊勝に謝る空衣。流石に気が引ける。
「いやもういいけどさ?なんとなく、問題はなさそうだし」
「っていうかっていうか!空衣君よりこっちに勉強教えてほしい!」
 浬が騒ぎ出した。食いつかれてしまった。
「……あーなんか思い出した……ひのと……」
 と、無関係なようにつぶやく秋海。
「……インパクトある苗字だし。覚えてる人はいるかもね」
「しかしそれにしても部長が主席ってめっちゃ強かろう!」
「強かろうって。別になんのアドバンテージでもないよう」
「……いや、なんか頼もしい。さっきの話だと、結可はプロデューサーじゃん。そんな人が首席なんてねぇ。こんなことあるんだ」
「ぬおー!俄然燃えてきたーー!書くぞー!」
「私も。もっとちゃんと作る」
 どうやら指揮は高まったらしい。
「……まあ、なんかプラスになったならいいけど。ありがと、空衣」
「…姉ちゃん」
 血今日はそこに落ち着いてしまった。
「なんだかんだ、いい姉弟やねぇ」
「うん。まさか今日こんな話になろうとは……でもなんで関西弁……」
 やっぱりそこは突っ込むんだ。
「さあ、あと30分?40分くらいでできるから、なんかあるなら近くのコンビニで買い出ししてきてもいいよ」
「お!女子会か!」
「今度は4人でね」
「僕もいいの?」
「もちのろんじゃし」
「いいよね、結可お姉ちゃん?」
「……いいよ別にー」
「じゃあお菓子買ってこよー!」
「あ、私は結可の手伝いするわ。空衣君と浬で行ってきて」
「あーい!!」
「はーい!」
 と、言い残して、2人でコンビニに出かけて行った。

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基本的に物語を作ることしか考えていないしがないアマチュアの文章書きです。(自分で小説書きとか作家とか言えません怖くて)どう届けたいという気持ちはもちろんありますけど、皆さんの受け取りたい形にフィットしてればいいなと。yogiboみたいにw