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【理系大学院生デンマーク交換留学】日本と全く違う!授業について

こんにちは、デンマークに交換留学中の田中律羽です。
(化学・バイオ工学科→応用化学専攻修士2年)
留学先であるデンマーク工科大学(DTU)には、東北大学工学部・工学研究科の部局間交換留学で来ています。日本で協定を結んでいる大学は限られているレアな留学先なのです!部局間交換留学の様子を動画とnoteを併用しつつ紹介します。
 動画では伝えきれない留学中のエピソードなどをnoteで紹介することで、よりリアルに留学のイメージを想像してもらえればと思います!

 今回は留学先での授業について紹介します。私はデンマーク工科大に1-5月の春学期と、6.7.8月の夏学期に交換留学しています。春学期私は以下の4コースを履修しました。デンマーク語以外は全て修士学生用の講義です。日本ではそもそも修士学生は講義があまりないのですが、修士の位置づけそのものが違うなという印象です。

  • x-tech - スタートアップ(ここでは技術をベースにした企業)立ち上げ

  • Entrepreneurial leadership - 学生起業家向け講義

  • sustainable freight and transport - 欧州を中心とした運輸網や制度の設計

  • デンマーク語

特に、日本(東北大)の大学・大学院と比較して違いを感じた点について、そのクラスの概要を交えつつ紹介します!

違い① 1コマ4時間?!

 各授業は1コマ4時間です。よって授業は1日2コマ、8-12時と13-17時です。冬の間は日が昇る前に暗い中登校し、授業中に日が昇って暮れて、帰宅時にはすでに暗くなっていました(笑)
 4時間の内前半2時間は講義、後半2時間はグループディスカッションやディベート、グループワーク、プレゼンといった実践的な内容というのが基本構成です。私が履修した授業はいずれもかなり実践活動がメインな授業でした。よって、授業の時間外にもグループで集まって作業をすることが多くあります。

投稿中に日が昇ってきました(2月ごろ)

違い② 授業の中で起業する?! (X-tech)

 x-techは交換留学のうちのメインとなる授業です。Entrepreneurship学科 (主に起業家教育などを行う学科) が開講している特別科目のような授業で、半年間で技術ベースの企業を立ち上げることを作ることを目指しています。チームは修士学生6人で、専攻は物理、化学、コンピューターサイエンスとばらばら、交換留学生は私だけです。
 チームごとに技術テーマが与えられ、顧客の選定や課題特定、どのような技術を用いるのかは自分たちで分析していく必要があります。カギとなる人達に端からインタビューしたり、開発したいデバイスに近い技術を有している企業へ訪問したりしました。
  私たちのチームは全員工学系の学生なこともあり(周囲のビジネススクール等から参加しているチームもあります)どうしても技術を中心に考えしまい、市場のどこにニーズがあるのか?という分析をすることが大変でした。授業でスタートアップのhowtoや先行事例を説明してはくれるのですが、”わかる”と”できる”に大きな違いがあることを感じました。また、自分の感じている課題感や進めるべき方向性を適切な英語で伝えることも難しいので、苦労しました。

FOSSというデンマークのグローバル分析機器メーカーにインタビューに行った際の写真。この向かいは大手日系メーカーの研究所か工場でした。さすが北欧、オフィスのインテリアなどさりげなくおしゃれでした。

違い③  常に学外と密接に関わるオープンな環境 & 評価はプレゼン・ポスター発表! 

 X-techの授業では、最終日に丸一日各チームによるピッチ(起業案の
ショートプレゼンテーション)とポスター発表がありました。各ブースには展示や試作品が並び、学生やデンマーク内外の企業の方やスタートアップへ投資をする方々が集まり、フェスのようなイベントでした。学生チームが計50件程出場しました。年に100件のピッチが学生発で行われているのは、日本からすると比べ物にならないくらい多いのではと思います。実際に入賞したチームは資金がもらえる為、ただの試験やイベントではなく実際にスタートアップが立ち上がる場所として機能している点が、日本ではなかなかないなと感心しました。本授業を通して技術をどうピッチまで構成するかについて学べました。入賞こそできなかったものの、関連メーカーから一度オフィスにきて話したいとのオファーを頂けました。私の英語レベルを受け入れてそのうえで対等に接してくれたチームのメンバーには感謝しかありません。

各スタートアップのポスターブース。並行してピッチコンテストも行われました。会の終わりに会場がバーのようになり、DJも来て、と日本の大学ではなかなか経験できないイベントでした。

 DTUでの活動を通して、技術ベースの事業立ち上げ段階を体験するとともに、工学のバックグラウンドを持つ修士学生がビジネスを行う・立ち上げた際に、彼らにどのような起業家教育をしているのかについて知ることが出来ました。そうした中で、技術ベースのスタートアップが大学などから立ち上がった際にその後はどのような経緯を経て成長していくのか、それにはどのような人たちが寄与しているのかについて興味を持ち、引き続き欧州に残りインターンシップをすることにしました。

違い④ 金曜午後はビール配布?! 先生やTA(サポートしてくれる先輩学生)との距離が近い!

 デンマークはお隣ドイツにも負けないくらいのビール文化です。皆昼から街中でビールを飲んでいます(もちろん平日)。驚いたのは、大学でもビールが無料でもらえることです! 金曜の夕方はFriday barとシラバスにも書いてあり(笑)何だろうかと思っていましたが、本当に講義を受けている建物でオフィシャルにビールが無料配布されているのです。日本ではあり得ないことかと思います。ただ、ビールを片手にすることでより活発な議論が出来たり、距離感を縮めたりすることに役立っていると思います。飲み会と同じですね。それをオフィシャルにやっているところがなんともデンマークらしいです。

たまにサンドイッチまで配られてます

違い⑤ 試験はパソコン&インターネット可能?!

 X-techとleadershipの授業評価は留学あるあるのプレゼンテーション (ピッチ) とポスター発表やレポートでした。ポスターやプレゼンのレベルが非常に高く驚きました。欧州では小学生のころからちょっとした議題でもプレンをしているため慣れているそうです。

 そしてfreight and transportの講義は試験だったのですが、その形態には驚きました。なんと、パソコン持ち込み可能 & インターネット利用可能だったのです! ええええ?! 日本ではありえなそうですが、デンマーク工科大学では割と一般的な形式の試験らしいです。

 では一体どんな試験だったのでしょう?3時間の試験で600wordほどの筆記課題が2テーマ、excelを使うような計算が3つ、長文レポートが1つでした。東北大の試験は基本1時間半ほどですので、3時間はかなり長いと思っていましたが、あっという間でした。時間が長いからか、飲食物の持ち込みも可能でした。横の人はずっとバナナを食べながら受験していました(笑)。その知識を知っているかいないかの確認テストではなく、自分はどう考えているのかを伝える構造だと感じました。日本の試験は前者的ですよね。私も日本では、「数日前から過去問を解いて暗記して」という勉強というより作業的な試験勉強をしていたと思います。知識を得るのはインターネットで可能ですし、実生活でも同じです。知ったうえでどう思うのか、どうするのかを常に考えることを求められていると感じました。

以上、デンマーク工科大学での授業の様子を紹介しました。皆さんの進路・大学生活や留学を考えるきっかけになれば幸いです!引き継き現地より様々な情報をお届けできればと思います!


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