COVID-19の分析 その2 【Tableau日記】

前回の反省点

前回作成したダッシュボードでは、インサイトを得ることやアクションにつなげるという観点を考えずに作成していた。KTさんおよび師匠の助言を元に、改めて取り組みを見直してみた。

データ分析をなぜ行うのか?

KTさんがおっしゃっていたデータ分析を行う理由は、
「自分or誰かが最も適切だと思われる行動を選ぶ判断材料を得るため」
であった。これはまさしくその通りであり、データを可視化して終わりでは誰の役にも立っていない。(コンサルティングを行う上では特に)そのデータを元にして、どのような行動を選択することが合理的であるかまで踏み込んで考えられる必要がある。
今回は、
・今の課題(Who/What)
・Vizを通して行えるアクション(How)
を予め考えてから作成を行った。

COVID-19による今の課題

先日のTECH PLAYでのセミナーで、問題としては次のようなものが挙げられていた。
感染者の増加、マスク不足、医療崩壊、フードロス、在宅による精神的苦痛、自粛する人としない人の温度差・・・
ここに挙げられていないもので、自分が気になっていたのは景気である。なんとなく株価が下がり続けているのだろうというイメージだけ持っていたが、果たして全業種そうなのか、COVIDの事象に対してどのような反応を示しているかを理解することは、今後の日本の景気を考えていく上でも非常に重要なヒントを与えてくれると考えた。まとめると次のようになる。
Who→「自分(のように、日本の景気をなんとなくしか見られていない人)」
What→「景気はどう動いており、業種ごとにどのような変動があるか」

起こせるアクション

まずは自分が適切な知識を身につけ、見やすい形で多くの人に現状を把握してもらうこと。そして、次に同じような天災が起きた際に予め適切な策を打てるようになること。
また、アクションに関連して、ここから見出すことができるインサイト・仮説を見ていきたい。

インサイト

今回作成したダッシュボードは以下。

株価で見るCOVID-19の影響


ここから得られるインサイト、および仮説をいくつか考えてみたい。
(※株価=景気と考えることは早計かもしれないが、一旦景気の良し悪しと同等の指標として考えてみる)

1. 3月上旬から株価の大幅な下落が開始
日本国内初の感染者、そして2月に初の死亡者が出るまでは下落傾向は見られるものの、大きな株価変動は起こっていない。(自分も含めて)そこまでの危機意識を持てておらず、小中一斉休校を安倍総理が決定した辺りから全国的にCOVID-19への意識が一気に高まった印象がある。現に、感染者数の増加自体はあまり変わらないものの、休校措置が取られた直後辺りから大きく株価の下落が見られている。

2. 金融緩和に一定の効果はあったが…
日銀は3/18に行う予定であった金融政策決定会合を3/16に前倒しし、新型コロナウイルス対応の追加緩和を決定している。そこからある程度回復の兆しは見えたものの、後述のように3/25の段階で大きく株価が二分する動き見せ始める。これに関して、「新型肺炎による経済、金融への影響は思ったより深刻であるといった市場の疑心暗鬼を逆に強めてしまったから」と捉える意見もある。

3. 感染者数が対前日比100人を超えたときに、平均株価が大きく二つに分離
空運業は元々大きく下降線を辿っていたため除外するとし、3/25に感染者数が大きく増え始めた段階から、回復傾向のグループと悪化傾向のグループに分かれ始めていることがわかる。
回復:パルプ・紙、食料品、情報通信業、医薬品
悪化:石油・石炭、輸送用機械、電気機器、サービス業(、空運業)

・回復グループ
情報通信業を除き、COVID-19の影響で食料品や医薬品への需要が高まったことが推測される。一時期はオイルショック(経験していない世代だが…)のように紙すらも無くなった時期もあり、食料品よりも株価を大きく戻していることがわかる。
情報通信業については、元々テレワークが行いやすいこともあってか、コロナ影響ではそこまで変動しにくいものである上に、自宅待機する人が増えたことからWebコンテンツなどの需要が高まっていることが背景にあるのではないかと推察できる。

・悪化グループ
電気機器、輸送用機械といった製造業は生産能力の削減を打ち出している企業もあり、大幅ではないものの日経平均株価と同程度の下落となっている。
石油・石炭に関しては、世界的な経済活動の停滞や産油国の増産によって原油価格が下落したことが背景にあると考えられている。
サービス業は、外出自粛の影響で人が外に出なくなったことから、売上を大きく下げている。基本的には「三密」となってしまうようなコンテンツが多いため、今後もしばらくは冷え込むことが予想される。どのような巻き返しを行ってくるのか、注目したい分野である。

終わりに

恥ずかしながら株価や景気などには未熟ではあるが、Tableauを用いて視覚化をするだけで一定のインサイト、学びを得ることができた。特に株価が二分しているのは興味深いインサイトであったし、感染者数の推移と対比することでより理解しやすいものになった。ダッシュボードで縦に重ねて簡単に見やすいグラフが作成できることは、Tableauの大きな強みであるし、これから私のように手軽にデータ分析を行える人がどんどん増えていけば、より色々なインサイトを手に入れられるようになると感じた、そんな分析の機会であった。

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