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なぜアンジェマリノスは魅力的なのか

「なぜ◯◯は◯◯なのか」この構文のタイトルを1度使ってみたかったんですよ。内容が薄そうでも、つい読んでみたくなる魔法のタイトル。
うまくハマりそうなストーリーが出来たので、満を持して繰り出します。

アナーキーへの憧れ

厨二病と言うのかもしれない。誰でもどこかにアナーキーな雰囲気への憧れを持っているのではないだろうか。僕は高校生の頃にこの傾向が強かった。流石に大人になった今は(だいぶ)落ち着いたつもりですけどね。

自転車通学していた学校から帰ると、セックスピストルズやラフィンノーズを聴き、マッドマックス2やストリートオブファイヤーの世界にどっぷり引き込まれていました。秩序が固まった狭い世界(=田舎)に住んでいた反動なのかな。

あとは尾崎豊とかブルースブラザーズも同じ系統の趣味だなあ。校則を破ってパーマあててみたり、大学生になって車を手に入れると、夜な夜な峠やゼロヨンや首都高に(見に)行ってました。内なる衝動として、規則を守りたくない、規則を破りたい本能があるのだと思う。

システムからの逃亡

プロレスでも〝掟破りの◯◯!〟というのは定番の煽り文句。Covid-19対策で世界中の人が規則に従って自粛をする中、掟破りの外出をする人も特に海外では多かったようだ。欧米の人たちの方が規則破り本能、不服従の反抗心に忠実なのかな。今アメリカ各地で起きている暴動も、単なる抗議運動を越えて自粛のストレスをアナーキーな騒乱にぶつける輩が多いのだと思う。

以前仕事で来日していたアメリカ人が、週末は都市システムから逃げたいのだがどうしたらいいか?と聞いてきたことがあった。何を言ってるのかと思ってよくよく聞くと、時間通りにきっちり運行する地下鉄が張り巡らされた東京の都市システム内は息が詰まるから、週末は自然のある郊外に出てみたい、という話だった。確かに気持ちはわかる。僕も電車より車が好きだ。

普段は秩序が整った状態の方が安心で効率的だけど、やっぱり誰だって時々は抜け出したくなるものなんですよ、きっと。もちろん、本当の弱肉強食のジャングルに突入する度胸はなくて、雰囲気で十分。規則を破らないように、常に無意識のうちに気を張っている現代人は、その心の息抜きが必要なのだ。(←ただの自分の性癖を普遍の真理かのように置き換えてみた)

掟破りのサッカー戦術

2018年にアンジェマリノスの戦術が明らかになってくると、SBの動きが掟破り、尋常じゃないハイライン、GKの立ち位置がクレージー、と言った話題で持ちきりになった。決して強かったわけじゃなく、最初はむしろ無様な敗戦も多かったが、何故かワクワクさせられたのは〝掟破り〟がポイントだったのだと思う。少なくとも僕にとっては。

従来の戦術セオリーを無視してリスクを取り続けるマリノスは、それを観戦している普段はきっちりルールに従う真面目なファンにとって、大いなる息抜きになる。週末にアナーキーな雰囲気を求める本能を刺激され、いいぞ、もっとやれ!と勇猛果敢に前進する選手を心から喝采していた。

セオリー無視のアナーキーな世界では、力だけが拠り所となるのだ。仲川やチアゴの圧倒的スピード、マルコスの超絶技巧と感情の爆発、エリキの何だか理解不能の破壊力、そしてそんなスーパーパワーを際立たせる仕組みをアンジェ監督が緻密に構成していた。プロフェッショナル!そりゃあ魅力的ですよ。

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でもまあアナーキーと言ったって、サッカーのルールはちゃんと守っているわけで、ちょっと落ち着こう。破っているのは従来のセオリーであり、相手選手や観戦者の固定観念。そういう意味では、サッカーの戦術やマリノスに対する固定観念が強い人ほど感動するのかもしれない。この荒廃した世界の覇者アンジェマリノスは週末の娯楽として最高です。

With コロナ時代のサッカー観戦

世界のJリーグは7月から無観客で再開する。具体的にどんな試合運営になるのか、応援はどうしたら良いのか、そんな懸念を石井さんが論じられています。Withコロナの期間はそれなりに長くなると予想されるから、サポーターも従来の固定観念を捨てることを迫られています。


もうひとつ僕が気になるのは試合そのもの。スタジアムいっぱいの観客の視線や声援がない環境で、選手達は最後の1秒まで走り切る、球際の局面であと1cm足を伸ばす、そんなプレーを見せることができるのか。いや、どうしたって影響ない訳ないだろうという点。それは、アンジェマリノスの魅力の根源である“掟破り感”にどんな影響をもたらすのだろう。もちろん選手は以前と変わらず100%のチカラを出そうとはするでしょう。

これまで読んだマリノスの試合レビューや選手インタビューなんかを総合すると、プレーしている選手達は意外と冷静にロジカルにやっているような気がしています。時々マルコスが沸騰するぐらいじゃないかな。90分間気持ちで守れ!みたいな精神論で、常時限界ギリギリのテンションでプレーしているのではないとするなら、無観客試合の影響は最小限ですむかもしれない。

逆に相手チーム/選手はどうだろう。マリノスのポジショナルプレーにより、次々とプレー選択を迫られ、最後は思考停止になり足が止まってしまう、というマリノス地獄に落とされていく過程で観客の視線やどよめきのプレッシャーがなければ、パニックに陥ることなく落ち着いてマリノス対策を実行できてしまうかもしれない。或いは、味方の観客の後押しがないために、今まで以上に早いタイミングで気持ちが切れて諦めてしまい、足が止まるかもしれない。

“かもしれない…” ばっかりですね、結局のところ始まってみなくてはわからない。無観客試合(ノーピープルマッチ)ならば、ピッチの周囲に有刺鉄線を張り、ゴール裏に爆薬を仕掛けて、有刺鉄線電流爆破マッチにしてほしい、なんてことを無責任に呟いていたけれど、心のどこかでそういう“掟破り”な雰囲気を求めていたんだな。
練習試合のような雰囲気では味気ない。

もし観戦スタイルを選べるとするなら、スタジアムで規則に従っておとなしく観戦するのと、自宅でビールを飲みツバを飛ばしながらDAZN観戦するのと、僕はどっちを選ぶだろう?
今は、たとえどんな条件であってもスタジアムに戻り、芝生の匂いを感じ、観戦仲間に会いたいという気持ちが強い。でも1回行ってみて以前のように気持ちが盛り上がらなかったら、DAZN観戦 with ビール に切り替えるかもしれない。
いずれにしても、試合そのものはプロフェッショナルな選手達が掟破りのパフォーマンスを見せてくれると期待したい。


観客がいなくても、ボスがピッチサイドにいるだけで緊張感を作り出しているから、マリノスの選手は大丈夫でしょう。アンジェマリノスの魅力は維持されるはず。今シーズンの特殊な状況では、より魅力が際立つに違いない。
STAY HOMEしてると思考がループするから、こんなどうでもいい話を長々と書いてしまった。ここまで読んで頂きありがとうございました。

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#応援したいスポーツ


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