見出し画像

かゆみ学#6 〜様々な慢性掻痒モデルマウス〜

みなさん、こんにちは!
今回はかゆみの研究をするにあたり、実際にどのような研究を行っているのか、用いているマウスについて焦点を当て紹介したいなと思います!


例えば、新規治療薬の開発をしよう!と考えたとします。
慢性掻痒疾患に絞るなら、アトピー性皮膚炎であったり乾癬であったり様々な疾患がありますが、
これらの疾患を模したモデル動物がいなければ、新規治療薬の候補の薬効を確かめることができません。

とは言っても、ヒトとマウスでは違う点がたくさんありますので、モデルマウスを作製することはそうそう容易ではありません。(ヒトとマウスの遺伝子の相同性は約60%しかないと言われている)

ですので、現在用いられているモデルマウスは様々な工夫が凝らされた研究者たちの努力の結晶というわけです。そういう背景を加味しながら読んでいただけると大変幸いです!


1. アトピー性皮膚炎モデルマウス

画像1

(https://mchiro.exblog.jp/20759655/)

まずは、慢性掻痒疾患の中で、おそらく一番メジャーであろう、アトピー性皮膚炎(AD)モデルマウスです。

ADはヒトにおいて発症条件が二つあると言われています。
1つは遺伝的にアトピー素因をもっていること、
1つは皮膚炎を起こしやすい環境要因があること、です。

環境要因の代表的な例として、ダニが考えられています。

そこでダニをマウスにつければADが発症するのではという安易な考えにたどり着くかと思いますが、もちろん発症しません。普通のマウスではアトピー素因を有していないからです。

そこでアトピー素因を有するマウスを作製し、ダニをそのマウスにつけることでADモデルマウスが完成しました。

このモデルマウスは臨床のADと病態が似ているという特徴がある一方、遺伝子的にはそこまで相同性が高くないという弱点もあります。

つまり、新規治療薬の薬効を確かめるのには向いているが、ADメカニズムの解明の研究には向いていないというわけです。


2. 接触性皮膚炎モデルマウス

接触性皮膚炎といっても様々なものがありますが、ここでは身近な接触性皮膚炎のモデルマウスについて紹介します。

主婦の方や美容師のようなよく水場で働く方たちは、手がカサカサになりやすいのをご存じだと思います。

なぜなら界面活性剤が含まれているからです。

よって界面活性剤をマウスに毎日塗布し作製するモデルマウスが存在しております。

ADモデルマウスよりも作製が容易ですが、これもマウス種によって発症率が異なり、理由は未だ不明です。


3. 蚊によるかゆみモデル

みなさん蚊に刺されるともちろんかゆくなりますよね。

これはⅠ型(即時型)アレルギー反応によるものでありますが、
マウスも蚊と一緒に飼育させることでかゆみモデルが作製されます。

しかし、ただ一緒に飼育するだけではいけません。

蚊刺を毎週2回繰り返すことにより、即時型の掻き動作が見られるようになります。

実はこれはヒトでも同じで、ヒトは最初の蚊刺ではあまり痒くならないんですね。

蚊刺が繰り返されることによって遅延型アレルギーが起こるようになり、その状態でさらに蚊刺が繰り返されると即時型アレルギー反応が起こるようになり、かゆくなるわけです。


今回はこんな感じで終わろうかと思います!

本当はもっとたくさんあるのですが、それは追い追い自分の研究内容の紹介をするときに紹介できればなと思います。。。

僕の研究を応援して頂ければ幸いです!