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たのしい地方創生

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地域活性化の業界で働く筆者の、日常のささい気づきを、まじめ風味でお届け。
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#仕事

#74 『バカヤロー、コノヤロー。』

2024年10月某日 とある地方中核都市で、施設の再整備に関するプロジェクトに関わることになった。そのため、最近は、人口30万人ほどの都市を定期的に訪問している。駅前から広がる商店街・繁華街は世の地方都市らしく、ほどほどに盛り上がっており、昼から夜にかけて賑わいを増す。「酒と肴」の暖簾に惹かれて道草を食いたくなることもしばしばである。嗚呼、仕事をしなければ。 … さて、先日、目的の施設の周辺環境を把握しようと、少し街の中を歩いていたときに、不思議な出来事に直面した。とあ

#70 地方の『コンサル論』

2024年10月某日 地方創生界隈で仕事をしていると、なにかと「コンサル」というキーワードに出会う。そして、多くの場合、「コンサルは何もできない!」「コンサルは実践していない!」「コンサルは悪だ!」という調子で、どちらかというと後ろ向きな議論で登場する。筆者も遠くない業界で仕事をしていたりするので、この点については、少し自分の考えを整理しておきたいと思う。 … さて、地方創生の文脈で、「コンサル批判」が盛んになったのはいつ頃だろうか。筆者の理解では、おそらく、2014年

#64 『読まないと書けない』

2024年5月某日 大型連休明けの通勤電車は、スマホに視線を落とす企業戦士に溢れている。誰しもが現実世界への帰還をためらい、画面に表示されれる「旅行の思い出」でも復習しているのだろうか。今日もがんばりましょう。 … さて、連休などがあると、身の回りを整理したり、読めていなかった積読を斜め読みしたりして、「心の余白」を思い出すことが多い。お盆や年末年始など、一定のサイクルで「間をもつ」機会がカレンダーから自動供給されることなどは、サラリーマンの特権であると言えるかもしれな

#22 『時給』からの脱却

2023年11月某日 筆者は地方で会社員をしながら、副業で個人事業を営んでおり、いくつかの企業と取引している。取引のきっかけは、「知り合いから派生したもの」とか「知人から紹介されたもの」とか「クラウドソーシングで受注したもの」がほとんどであると言える。多くの会社員が副業を始めた最初の受注は、これらのチャネルから獲得することが多いだろう。 視点を変えて、業務内容はどうだろうか。筆者の場合、基本的には「ビジネスに関わる役務提供」が仕事のほとんどである。企画の代行や、資料作成の

#21 『最初の信用』の難しさ

2023年7月某日 近年、様々な企業で副業解禁の動きが加速している。筆者自身も、その流れに乗って、会社に申請をしたうえで、個人事業主としてビジネスサポートを行なったりしている。しかし、周囲の声に耳を傾けてみると、必ずしも全てのサラリーマンが等しく副業ライフをエンジョイしているわけでもない。聞くと、副収入を増やしたい気持ちは多少あるものの、『仕事がない』というのである。どういうことだろうか。 多くのサラリーマンの考える副業のイメージとして『クラウドソーシング』のような受託型

#19 『読み書き』

2023年7月某日 地域活性化の仕事に長らく携わっていると、その仕事のほとんどが『ペーパーワーク』で構成されていることに気づく。このことに対する是非は、別の機会に検討することにしたいが、事実はそうだ。 ペーパーワークがもっとも多い仕事として、自治体からの受託業務や、助成金を活用した事業などが挙げられる。ただ、SNSなどを広く見ていると、こういった仕事に対する不平・不満を多く見かける。『書類作業が煩雑すぎる!』『事務手続きに忙殺されて、事業の内容を検討する時間が無い!』とい

#14 『地方』というファッション

2023年4月某日 最近、『地方創生』や『地域活性化』みたいな営みは、コモディティ化しているのではないかと感じる。決して、当事者としてニヒリズムに陥っているわけではない。おそらく、地方創生やまちづくりに関する営みが、ほんの少しだけ、ファッションとしての『おしゃれさ』を纏いつつある状況に、戸惑っているのだと思う。 筆者は、リーマンショック直後に就職活動し、紆余曲折を経て、現在では地域経済を調べたり、まちづくり事業の企画をしたりすることを仕事にしている。今でこそ、『地域活性化