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持続可能な未来のためのヒント~映画『できる-セ・ポシブル』を観て


Zoomを使ったオンラインシネマで『できる-セ・ポシブル』という映画を観ました。

フランス人カップルが、ヒッチハイクをしながら日本各地のエコロジカルな暮らしを送る人々を訪ねる8カ月をまとめたドキュメンタリー映画。

この映画で紹介されるのはパーマカルチャーゼロ・ウェイストの取り組み、エコを徹底したライフスタイル。

自分は社会の循環にどのように関わっているのだろうか、はたして貢献できているだろうか、理解できているだろうか、この映画を観ることで改めて考えさせられます。


Actcoinと肥後橋rita-cinema

今回参加したのは、個人の社会貢献活動をログとして蓄積・見える化するアプリActcoinを通したイベント。


ZOOMで映画を配信するのはリタワークス株式会社。肥後橋rita-cinemaという社会的な映画をオフィスで鑑賞できる上映会を定期的に開催していました。普段の会場は大阪府のオフィスですが、昨今のコロナ情勢を受け今回はオンラインにて開催。

以前から気になっていた映画イベントだったので、関東にいる人間としてオンラインでの開催はとても嬉しいです。


映画『できる・セ・ポシブル』とは

フランス人のマチルダとジョナサンは、エコボランティアに参加するため日本へ。最初は簡単なムービーを撮るつもりでいましたが、持続可能な社会のため暮らしを変革させる人々との出会い、そこからつながる環境活動家・アーティスト等との出会いを通して旅は8カ月にも渡る長旅に、そして映画になっていきます。

映画に登場する日本人の取り組みは、私が今まで知らなかったものばかり。少し紹介させてください。


各地で実践される持続可能な未来のためのヒント

屋久島 アペルイは、ゴミという概念が無いのではというくらい、全てのモノの循環を徹底したライフスタイル。島の飲食店から回収した使用済み油を車の燃料に利用し、生ごみは家畜(ニワトリ)のエサに。トイレはもちろんエコトイレでトイレットペーパーは発火材として再利用。ガスは使わずマキで火をおこし、廃材を使って住居も手作り、子どものおむつは布おむつというスタイルで、これが持続可能な生活かと圧倒されてしまいました。

土のうで作られたサンドバックハウスの紹介から始まる三角エコビレッジ サイハテは「お好きにどうぞ」が合言葉。型やルールに頼らずとも、協調を築いていける日本人スピリットを尊重した暮らしを展開しています。体験プランや宿泊プランも豊富で、落ち着いたら熊本県に行きたいなぁと思いました。公式サイトの動画からも、わくわく感が伝わってきます。


トラジション藤野では、地域の中でモノやサービスをぐるぐる回す仕組みとして地域通貨『よろづ屋』を発効されています。ただ紙幣を発行するのではなく通帳型というスタイルです。登録者が地域の中で、誰とどのようなやりとりをしているのかをログで蓄積。それが地域内の安心・信用形成にも繋がっているそうです。

トラジション藤野の最新情報はfacebookページでチェックすることができます。

ちなみにトラジションタウンとはイギリスで始まった持続可能な社会をつくる市民運動がルーツだそう。


フォレストガーデンパーマカルチャーという手法を取り入れ、持続可能な社会を目指す浜松の紹介では、ある女性のお話が印象に残りました。

「自分は自然界にとっては邪魔者ではないか、という思いがあった。それがここでの生活を通して、地球の仲間と思ってもらえるようになった気がする。」

自分たちが地球を壊しているという気持ちに素直に向き合い、かつ実際に生活を変えていく姿勢が本当に素晴らしいと感じました。

フォレストガーデンとは自然の中にある若い森をモデルに、暮らしの為に必要な食べものや、暮らしに利用できる様々な実りを持続可能な方法でより多く手に入れる為の森のデザイン手法です。 私たちの目的はフォレストガーデンの手法を通して、浜松で持続可能で自然も生き物も安心に暮らせるための場づくりをしていくことです。
パーマカルチャーとは、パーマネント(永続的な)とカルチャー(文化)を組み合わせた造語で、1978年オーストラリアで生まれた持続可能な暮らしを可能にするためのデザイン体系のこと。自然のシステムをよく観察し、伝統的な生活の知恵を学びながら、そこに現代の適正技術(自然資源を破壊しない技術)を融合させる。植物、動物、建築、水、エネルギー、教育、コミュニティなど、生活に関わるすべてに持続可能性を持たせる為のデザインの対象としています。
トラジションタウン浜松HPより引用させていただきました。


徳島県・上勝町で生まれたゼロ・ウェイストアカデミーでは、埋め立て・焼却・なんでもリサイクル、という現代では当たり前となったごみに対する人々の姿勢に警笛を鳴らしています。

地域のゴミ集積所では、空き缶やペットボトルを分別して終わりではありません。その資源をリサイクルするのに要する経費や工程がわかるようにポスター等でビジュアル化されています。

リサイクルしてるから大丈夫と思っている自分を恥ずかしく感じてしまいました。自分の出すゴミについて考えてみる、ゴミをゴミでなくす、ゴミになるようなものを所有しない・選ばないという行動をとっていく必要があります。

上勝町では、不要になった家電・家具は一か所に集められ、それを必要とする別の市民が、自由に引き取れる仕組みも作られているそう。人が変わればゴミはゴミじゃなくなるというメッセージが強く頭に残りました。


現在は休業中のようですが、大分県・湯布院にある原っぱカフェでは地元の食材・オーガニック食材を使った安心な料理をバイキング形式で提供しています。

ユニークな点(その1)は従業員がいないこと。世界中のボランティアによて料理が提供されています。そのため多国籍料理が堪能できるそうです。ボランティアは厨房で働く代わりに宿・まかない料理を利用できる仕組みになっています。

ユニークな点(その2)はお客さんが言い値で支払いをすること。

ちょうどいい分食べて、食べた分だけお支払いいただく「いいね!(言い値)食堂」ビュッフェ
バイキング形式で並んでいるお料理からお好きなものを取っていただき、お支払いは食事の後に、前に置いてある箱の中にこのぐらいが「このくらいかな」と思う額をご自分で入れていただきます。あまり食欲のない日は「ちょっとだけ食べてちょっとだけ払う」、とか、「給料日前なので、いつもよりちょっと少なめに払うけど、給料日の後は、少し多めに払う」など、お客様にとって使い勝手のいい食堂をめざしています。
食べログページ お店のPRより引用しております。

お財布の状況に関係なく、安心して「食」を楽しんでほしいというメッセージから温かさを感じます。


多くの方に観てほしい映画

このnoteでは紹介しきれないのですが、他にもさまざまな活動をされている方が映画に登場します。アーティストや活動家の紡ぐ言葉はこんなにも刺さるものなのだなと実感するシーンが、いくつも散りばめられている素敵な映画。

2011年の震災をきっかけとして、地域社会のあり方やエコについての関心のムーブメントが起こったという事実があります。そして2020年、感染症という大きな波に揉まれる私たちに対し、あらためて持続可能な社会について考えるきっかけを与える映画だと感じました。

映画を観るだけで何かが変わるわけではない、と言う人もいるかもしれません。でも私は、映画を通じて人の心の中には、確実に変化が生まれると思っています。

普段は何気なくごみを分別しているだけであっても、リサイクルってどれほどの経費や労力が掛っているのかな、調べてみようかな、と思うきっかけになるかもしれません。

ちょっとエコに配慮された商品詰替シリーズも扱う化粧品を買ってみようかな、という人が一人でも増えれば良いのではと思います。

映画を通して自分以外の人や地球のことを考えられるって、とても尊いこと。ハリウッド映画やアクション映画もいいけれど、ときどき社会的な映像に触れる時間もつくっていきたいなと思います。


そして次回の肥後橋rita-cinemaは6月16日(火)、上映作品は教育に関する課題をテーマとした『バベルの学校』です。

次回も楽しみにしています。


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