【医師の幼稚園<119>読書】

【ストーリーとしての競争戦略① 楠木 健】

この書籍は それぞれ単独で見ると これまで様々な書籍で語られてきたことの集合体です。 しかし、それはそのパーツを集めてなるほどなと思わせる順番に配置しています。そういった意味で 非常に読みやすくておすすめです

沢山響いたところがあったので二部に分けますね

【個人的に響いたところ】
【組み合わせ】
P13 違いを作ってつなげる  ひとことで言うとこれが戦略の本質です。

【ストーリ-】
P52 戦略の実行にとって大切なのは 数字よりも筋の良いストーリーです 過去を問題にしている場合であれば 数字には純然たる事実としての迫力があります しかし未来のことになりと数字はある前提をおいたうえでの予測に過ぎません。 戦略は常に未来に関わっています。 だから戦略には数字よりも筋が求められるのです。

P65 自分が面白いと思っていないのであれば 自分以外の様々な人々が関わる組織で実現できるわけがありません。 まして会社の外にいる顧客が喜ぶわけがありません。

【安いから買う?】
P74 顧客が喜ぶ顔が当社にとってはすべてです。 ですから思い切った値下げに踏み切りました 御覧ください 顧客の皆さんは喜んでおります。 ニコニコしております!  しかしこれは詭弁です 裏を返せば値下げをしなければだれも欲しくないようなロクでもない商品なのかもしれません。

【頑張れ!?】
P102  いけ! おもいっきりやってこい 以上!!  しかしどうやって進んでいくのか 目標地点にたどり着くまでの道筋が全くわかりません 目標を示して隊列を整え 後は 行って来い! うまくやれ! 骨は拾ってやる! で終わってしまえば経営とはなんとも楽な仕事です

P108 【北極の住人】
気合と根性が大切だということは勿論否定しません 会社にとって一番大切なことかも知れません。しかし、 大切にする と 依存する ではまるで違います 気合と根性に寄りかかったリーダーからは戦略は出てきません 顧客は自分の言いなり供給業者も頭を下げてくる 新規参入はありそうにない といった ハワイの住人にとっては戦略はそれほど必要ありません 戦略とは ある意味では 北極の住人の発想です 最後はなんとかなるではなくて むしろ放っておいたら絶対になんともならない というのが戦略的な思考です

【医療文脈】
P94 医薬品の買い手は誰でしょうか 一つには病院のお医者さんです お医者さんは医薬品メーカに対して優位にあって MRがやたらと頭を下げているイメージです しかし 薬価についての規制はどこの国でも多かれ少なかれあるのでお医者さんには肝心の交渉力はありません しかもお医者さんは買い手の一部ではありますが より正確にいうとどの薬を使うべきかを+決める意思決定者です エンドユーザーは患者さんですが 彼らには専門知識はありませんので お医者さんの意思決定に従順です その通りにしないとひどいことになるリスクがあります 製薬業界の買い手にはもう一つの支払者がいます エンドユーザーは患者さんですが実際に大半の費用を負担するのは政府もしくは保険会社です。 つまり 普通の業界とは違って 意思決定者と使用者と支払い者の3者が分かれているということが買い手の交渉力を小さくして 製薬業界を儲かりやすくしているわけです

【医療はある程度利益出ていませんか?】
競争というものの本来の性質を考えると競争があるにも関わらず利益が出ているというのは 実はとても不自然で脆い状態です

競争がある状態では放っておけば違いはどんどんなくなってきます 違いがなくなってしまえば あとに残るのは単純な価格競争で こうなってしまえば利益が出ないのが理屈です

NYAUW!


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