テキスパートを運営する㈱アナザーパスがクラウドソーシング事業から撤退した理由
こんにちは!テキスパート編集部の今野です。
今回は少し昔話をさせてください。
文章制作プロダクション・テキスパートを運営する株式会社アナザーパスは、2021年4月にライティングに特化したクラウドソーシング「アナザーパス」をローンチしました。
しかし、わずか1年足らずでサービスを終了させることにしました。
(社名とサービス名が同じで紛らわしくてすみません・・・)
その後、アナザーパスから生まれ変わったのが現在の文章制作プロダクション・テキスパートです。
今回は、私たちがライティング特化型のクラウドソーシングを始め、それを1年足らずで終了させた理由と反省、そこから得たものについて紹介します。
ライティング特化型のクラウドソーシングを始めたきっかけ
私たちが記事制作をする上でも、大手のクラウドソーシングサイトを使う場面は多々ありました。
しかし、多くのサイトでは登録しているライターさんの実力を正しく把握できないことに使いにくさを感じていました。
プロフィールに実績豊富と書いているけれどいざ依頼すると文章力が低い
依頼後に連絡が取れなくなる方が多数いる
言葉遣いなどのビジネスマナーの部分に不安がある
などなど、コツを掴むまで安心して取引できる方を見つけるのに非常に苦労しました。(継続的な取引をしている方も多数いらっしゃいます!)
「クラウドソーシングを利用する上で同様の悩みを持つ企業は多いはず」
そう思い始めたのがきっかけで、
「だったら自社でライティングに特化したクラウドソーシングを作ろう!」となりました。
多くのライターさんと協力して記事を作り続ける中で培ったノウハウが、ここで活かせると思ったのです。
制作期間1年を費やし満を持してオープンするもその後1年でクローズ
コンセプトは「ワンランク上のWEBライタークラウドソーシング」。
案件の受注者であるライターは誰でも登録できるのではなく、審査性としました。
私たちが独自に制作したWEBライティングテストを登録希望者には受けていただき、確かな文章力を持つと判断した方のみ登録できる仕組みにしました。
ここに一番のこだわりたかったので、かなり登録者を厳選させていただきました。
これにより、「登録ライターの文章力が分からず安心して依頼できない」という発注者側の悩みを解消できます。
また、従来のクラウドソーシングと同じく、サイト内に
発注者による案件募集機能
決済機能
メッセージ機能
ライター/発注者の相互評価機能
などを搭載し、サイト内で全ての取引が完結できる仕様にしました。
機能に関しては、かなり満足のいくものが出来上がったと今でも思っています。
しかし、結果は前述のとおりです。
アナザーパスをクローズするに至った理由について、順番に紹介していきます。
正直、当時の私たちの未熟さをこの場で晒すのはかなり恥ずかしいです。
しかし、ここでの経験が現在のテキスパートに繋がっているのと、今後新たなサービスを始めるであろう企業さんが同様の失敗をしないよう、赤裸々に語っていくことにします!
サイト制作に注力するあまり広告戦力が十分に練られていなかった
「どうすればライターと発注者の双方がハッピーに取引できるだろう」
そればかり考え、サービスローンチまでの大半の期間をサイト設計に費やしました。
結果、サイト自体は満足できるものができました。
しかし、それをどう人々に認知してもらうかの、広報戦略の策定を疎かにしてしまったことは否めません。
どこかで「良いプロダクトさえ作れば勝手に認知されるはず」
という慢心もありました。
結果的にプレスリリースの発行、SNS広告の出稿など、見様見真似で最低限のことはしましたが、臨んだような認知は獲得できなかったのが正直なところです。
当たり前過ぎて言うのも恥ずかしいのですが、プロダクト制作と同時進行で広報戦略も考えておくべき、というのが1つ目の反省点でした。
会社としての強みを発揮できないサービス設計だった
これも今振り返ると、なぜその時気づけなかったのか本当に悔やまれるのですが・・・
株式会社アナザーパスの最大の強みは
「自社で自ら良質な記事コンテンツを作ること」
でしたが、クラウドソーシングサイトの運営ではそれを発揮できませんでした。
クラウドソーシングの運営はあくまで受注者と発注者が取引する場の創出です。
自社でのコンテンツ制作力が高い私たちにとっては、ほぼ未知の領域だったのです。
サービスを運営していくうちに、私たちとしての価値はプラットフォーマーとしてではなく、プレイヤーとして初めて発揮されることを再認識しました。
自社がこれまで提供してきたサービスから派生した新サービスを始める際は、自社が持つ強みや資産を改めて棚卸しし、どこで価値提供できるかをよく考える必要がある、というのが2つ目の反省です。
「自ら世の中の文章を美しくしたい」という想いが強くなった
私たちにはこのクラウドソーシングを通じて
「世の中の文章をもっと綺麗にしたい」
という想いがありました。
高い文章力を持つと私たちが認めたライター達(受注者)と発注者がマッチングすれば、良質なコンテンツが次々と世に送り出されると思っていました。
しかし冷静に考えてみれば、プラットフォーマーである私たちの役目はあくまで取引の場の創出のみであり、その後のコンテンツ制作には一切関与できません。
ライターと発注者のマッチングによって、どれほどのクオリティのコンテンツが生み出されているのか、疑問に思う瞬間がありました。
また、クラウドソーシングサイトの運営と並行して、引き続き私たちが自社で記事を制作するサービスも提供していましたが、後者への問い合わせの方が多かったのも事実です。
社内で協議を重ね、「やはりプラットフォーマーとしてではなく、もう一度プレイヤーとして記事コンテンツを作っていこう」
となり、クラウドソーシングサイト・アナザーパスのクローズと、新たな記事制作サービスのローンチに舵を切りました。
そして、文章制作プロダクション・テキスパートが誕生
クラウドソーシングの閉鎖を決め、新たな記事制作サービスの開始に向けて一からスタートしました。
「今、世の中にも求められている文章コンテンツとは何だろう」
を社内で考え抜き、専門家と編集者がタッグを組んでコンテンツを作る仕組みが生まれました。
今、社会が求めているのは「信頼できる」コンテンツです。
書いてあることが”それっぽく”ても、どこの誰が書いたか分からない記事は読者の信頼を得られず、読まれることもありません。
各分野に精通した専門家と、卓越したSEOの知識と文章力を持つ編集者が互いに協力し一つのコンテンツを作ることで、専門性・権威性・信頼性を担保できるようにしました。
テキスパート誕生の瞬間です。
大変ありがたいことにこのコンセプトは多くの企業様の共感を得られ、多数のコンテンツ制作をご依頼いただいています。
その後はコラム記事だけでなく、取材記事やホワイトペーパー、チラシなど多数の文章コンテンツをご依頼いただくようになったため、記事制作改め「文章制作プロダクション」テキスパートに名を変えました。
結果として、クラウドソーシングサイトの運営は事業単体で見れば失敗であったと認めざるを得ません。
しかし、
私たちの強みは何なのか
私たちが社会に提供したい価値は何なのか
を見つめ直すきっかけとなり、それが今のテキスパートに繋がっていることを考えれば、「成功までの過程」と定義することもできます。
(もちろん、まだまだテキスパートも道半ばですが!)
それに私たちは挑戦をやめたわけではありません。
引き続き、文章のプロ・テキスパートとして良質な文章コンテンツを自ら生み出しつつ、ここで培ったものを他の形で社会に還元していく方法も模索していきます。
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