Cresteaju(第1話)

第1話 襲撃

クレスフィールド市民「来たぞ!!」
ガゼール「ついに来たか・・・エターナルめ・・・。」
議員「議長、我々に勝算は?」
ガゼール「・・・心配するな。いずれこのときが来るだろうと準備をしてきたのだ。」
ルナン「父さん、わたしも戦うわ!いいでしょ?」
ガゼール「ルナン、無理はするなよ。」
ガゼール「みんな聞いてくれ!ついにエターナルがこの町へ攻め込んできた。知ってのとおりエターナルは大陸統一を企んでいる。今日まで何度も支配下に入るよう迫られたが、無論我々はそれに従うわけにはいかない。やつらが攻めてくることはすでに予想済みだ。準備はできている。故郷クレスフィールドのために、そして故郷の友のために戦おう!!」
市民「おー!!!」

ルナン「・・・でも。」

ガゼール「フォールン、準備はいいか?」
フォールン「はい。」
市民「間もなく、エターナルが町に着きます!」
ガゼール「行くぞ!!」

ルナン「フォールンが・・・」
旅人A「おい、大変だ!!」
旅人B「どうした?」
旅人A「ク、クレスフィールドが・・・やられたらしい・・・。」

ガゼール「エターナル、よくぬけぬけと来られたもんだな。」 
エターナル教徒「あなた達は、私たちの助言に聞く耳を持ちませんでした。」
ルナン「ふざけないで!あなた達に従うことの何が助言なのよ!」
エターナル教徒「よって・・・あなた達には、天罰が下ります。」
ガゼール「エターナルごときには、負けぬ!!」
ガゼール「食らえ!」
エターナル兵A「うわっ」
ガゼール「フォールン、行くぞ!」
ガゼール「うおー!」
エターナル兵B「うっ・・・」
フォールン「パラライズ。」
ガゼール「!!?」
ガゼール「フォールン・・・な、なにを・・・」


ルナン「フォールンが裏切った・・・」


ルナン「パ・・・パラライズ・・・フォールン、何を考えてるの!?」
フォールン「すべては・・・すべては、エターナルのために・・・。」
ガゼール「貴様・・・!!」
フォールン「いいか、町の連中は生かして捕まえろ。しかし、抵抗するようなら殺せ。」
エターナル教徒「はい。」
ルナン「フォールン!あなた、裏切るの・・・?」
フォールン「裏切るもなにも・・・俺は、はじめからエターナルさ。」

ルナン「フォールンの裏切りで、わたし達の町クレスフィールドは・・・あっという間に、不利な状況になってしまった。」


ルナン「父さん、大丈夫!?」
フォールン「・・・ち、パラライズの効かないやつがいたか。」
ガゼール「ルナン・・・いいか、この手紙はもしもの時のために書いておいたものだ。私の親友がアネートの町長をしている。彼にこの手紙を届けるのだ。」
ルナン「私は動けるから、私がフォールンと戦うわ!」
ガゼール「無理だ、お前では歯がたたん。もう一度言う、アネートへ行くのだ・・・。私が道を切り開く、うおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」
フォールン「パラライズをかけられた体で動けるとはな。しかし、ろくなことはできまい。」
ガゼール「行け、ルナン!!」
ルナン「待ってて、必ず戻るから!!」

旅人A「エターナルは”天罰が下った”というが・・・。」
旅人B「バカ言うな、天罰なんかじゃない、エターナルがやったんだろ!で、クレスフィールドは・・・?」
村人A「・・・壊滅だ。」
ルナン「でも私は・・・アネートへ行く。父さんと、町のみんなを助けるから。」
係員「ウェスカ行きのグランドシップ定期便、まもなく出航します。ご乗船の方はお急ぎください。」


私は見知らぬ森の中にいた。
ルナン「ここは・・・?」
ルナン「父さんは・・・どこ・・・?」
ルナン「!」
ルナン「フォールン!」
フォールン「なんだ・・・ルナンか。」
ルナン「なんで・・・なんで、あんなことしたの!?」
フォールン「エターナルのためだ。」
ルナン「私たちは、エターナルなんかに負けない!誰が、エターナルなんかに従うの!」
フォールン「すべての者に、永き幸せを・・・」
ルナン「嘘だわ!!」
フォールン「我々はそのために、クレスフィールドに天罰を下した。」
ルナン「クレスフィールドの人達から幸せを奪って、よくそんなことが言えるわね!絶対に、絶対に許せない!!」
フォールン「・・・」
ルナン「ファイアボール!」                     ルナン「ファイアボール!!」
フォールン「どうした?」
ルナン「うるさい!わたしは、エターナルなんかに負けない!!」
ルナン「やぁああ!!」
ルナン「うあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・」

ルナン「さっきのは・・・」
ルナン「・・・・夢か」
ルナン「この手紙を、アネートに持っていけばきっと・・・」


船員「間もなくウェスカ東船着き場に到着します。」

旅人A「おい、知ってるか?」
旅人B「なんだ?」
旅人A「クレスフィールドに・・・天罰が下ったらしいぞ。」
旅人B「・・・エターナルか?」
旅人A「しっ、エターナルのやつが、いるかもしれないだろ。」
旅人B「怖い話だな、俺らの町も気を付けようぜ。」
マントの少年「エターナルの・・・・ことですか?」
ルナン「え?ええ。」
マントの少年「”すべての者に長き幸せを”でしたっけ、そんなことを言いながら人を集めてる、怪しげな集団ですよね。」
ルナン「そうね・・・」
マントの少年「・・・世の中には、いろんな人がいますからね。そして、彼らが目指すのは。」
ルナン「・・・フィルガルト。」
マントの少年「おそらくは、そうでしょう。千年前に滅んだ大陸全土を支配していた国家、それを再び興したいのでしょうね。そんなのは無理なことだろうと思ってましたが、いつの間にか現実を帯びてきましたね。」
ルナン「・・・。」
マントの少年「あ、ごめんなさい。ついついしゃべって足止めしちゃいましたね。それじゃ。」


若い女がいまだ興奮が覚めやらないように男に話しかけている。
女「グラウンドシップは、船のおなかについている魔導球の力で浮いているのよ。こんなすごいの、誰が考えたのかしら?」
男「さあな。今よりはるか昔はずっと技術が発達してたらしいからその遺産らしいぜ。」

船着き場係員「ここから西へ行けば、すぐウェスカですよ。お気をつけて。」
ウェスカ東船着き場を出ると、春の陽光に包まれながら川沿いを西へ進む。
ほどなくウェスカに着くだろう。


ウェスカ


女「ウェスカにようこそ。」
街の入り口で住民が親しげに挨拶してくれる。
左の通りでは女の子が道端にしゃがみ込んでいる。
女の子「ここにあった木が倒れちゃったんだ。だから、木の赤ちゃんを植えたんだよ。」
中央の商店街には装備や道具が売られている。
後で必要なものを揃えるとしよう。
商店街を抜けると右奥には石造りの建物があり旅人協会と看板がある。
受付「ここは旅人協会ウェスカ支部です。戦闘の仕方や魔法について必要でしたらいつでもレクチャーが受けられますよ。」
ルナン「今日は疲れたのでまた寄りますね。」
受付「はい、お待ちしております。」
旅人協会を出ると女に声を掛けられた。
エターナル教徒「ちょっと、知ってます?エターナルに入れば、幸せになれるんですよ。こりゃもう入るしかありませんよね。」
こんなところにまでエターナル教徒が。
壁のあちこちに貼り紙がしてある。
“すべての者に永き幸せをーーーエターナル“

おばさん「フィルガルト大陸には国がなくて、都市同士で交易を行ってきたから互いに栄えてきたのに・・・・。そこにまた国を作ろうだなんて、エターナルは何を考えてんだろうね。」
おじいさん「うちの息子が、エターナルへ行ってしもうた。あんなバカ息子、わしゃもう知らん!!」
おばさん「そりゃ災難だったね。私らもいずれ同じことにならなきゃいいが。」
この街もエターナルの影響が至る所で見受けられる。


旅人協会でもらったガイドブックにはフィルガルト大陸の案内が載ってある。
大陸の真ん中を東西に縦断しているのが中央山脈。
その南側は湿潤で、北側は乾燥している。
特に大陸北西部はウェストデザートと言われる大砂漠が広がっている。
北東部には大平原イーストプレーン。
大きな都市や炭鉱などフィルガルトの中では一番にぎやかな地方となっている。
大陸から南に突き出た大きな半島。
ここは極寒の地、南部大雪原。
よほどの物好きでない限り近付かないことをお勧めする。
ウェスカがあるこの辺りは中央山脈の南側サウスフィルガルトと呼ばれる地方となっている。


気が付くと徐々に雲行きが怪しくなってきた。
男「旅人かい?一雨来そうだな。ウェスカは中央山地の南側にあるから、海の風をうけて雨が多いんだよ。」
女の子「おねえちゃん、うちのおかーさんはね、おほほほほって笑うんだよ。へーんなの。きゃははははは!じゃあね。」
女の子に手を振りながらどこか雨宿りできる所がないかとすぐ手前の路地を左に曲がる。
雨がパラついてきたので石造りの小さなバーに急いで入った。


カランカラン。
2人組の男「よお。」
マスター「いらっしゃいませ。」
今週新しく入ってきた果実酒がおすすめですよ。いかがですか?」
ルナン「トマトジュースをちょうだい。しぼりたての。」
マスター「ト、トマトですか?お酒が苦手でしたら果物を擦りますよ。」
ルナン「トマトジュース!お客さんの注文よ。」
マスター「・・・わかりました。トマトジュースですね。」
ルナン「あ、塩は入れないでね。」
マスター「・・・はい。」
ルナン「ねぇ、聞きたいことがあるんだけど。」
マスター「なんでしょう?」
ルナン「アネートへはどう行けばいいの?」
マスター「ここから西のセーネを経由して山を越えればアネートです。」
ルナン「近道はないの?」
マスター「うーん、徒歩で行く限りないでしょうね。」
ルナン「そう・・・ありがとう。」
マスター「トマトな方、気を付けて旅を続けてください。」


店を出てすぐに怪しいダミ声が後ろから響いてきた。
男「おい、待てよ。」
男「おい、待てって言ってるんだよ。」
ルナン「なに?」
男「さっき、バーで声をかけたのに無視しただろ。」
ルナン「ちゃんと聞こえてたわよ。」
男「それを無視って言うんだよ!てめえ、かわいい顔してるからってなめたこと言うんじゃないぞ。」
ルナン「人を外見で判断するからよ。」
男「なんだと・・・!!」


別の男「どかっ!」
ルナン「あっ・・・・」


ルナン「・・・?」
バンダナのおばさん「気が付いた?あんた、町の中で盗賊にぶん殴られて倒れたんだよ。」
ルナン「!」
ルナン「荷物は!?」
バンダナのおばさん「あいつらが持って行ったみたいね。でもね、さらわれなかっただけ良かったと思うんだよ。」
ルナン「そ、そんな!取り返さないと!」
ルナン「いたた・・・・」
おばさん「ダメだよ。おっきなたんこぶができてるんだから、休みな。」
ルナン「でも・・・手紙をアネートに届けないと・・・」
おばさん「手紙?」
ルナン「大切な手紙なんです、それがないと・・・」
おばさん「そんなに大切なのかい?わかった、今日はゆっくり休んでおきな。」


ルナン「おはようございます。」
おばさん「おはよう、調子はどうだい?」
ルナン「まだちょっと痛いけど平気です」
おばさん「そうそう、昨日の盗賊だけどシューティングスターっていう一味らしいよ。」
ルナン「しゅ、しゅうてぃんぐすたあ!?・・・ですか??」
おばさん「それほど大したグループじゃないらしいけどね。この町のそばにアジトでもあるかもしれないけど・・・探すのかい?」
ルナン「もちろん、私は必ずアネートへ行くから。」
おばさん「そう、気を付けてね。そうそう昨日行った酒場ならあいつらのこともう少し詳しく知ってるのがいるかもよ。」
ルナン「ありがとうございます。」


バーの常連のおじいさん「この辺で盗賊が住み着きそうなところと言えば北のほうにある森かのう。あそこは薄気味悪いわい。」

他にはなんの手掛かりもない。
ルナンは町で装備を整えると北の森へと向かった。

1話終


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