一目惚れ

高校1年生の1学期
とても素敵な人を見つけた。





ほとんどの生徒が
自転車通学時に学校指定のヘルメットを
しっかりと着用して登校するような
田舎の中学に通っていた私は

ほんの少し都会に出たくて
大半の同級生が行く
自転車で通える近くの高校ではなく
電車を乗り継いでいく
少し離れた高校に進学を決めた。

私の中学から同じ高校に行ったのは
ほとんど話したことがないような
まじめな同級生1人だけだった。

特にいじめられたりしていたわけではない

ただ、当時から
年頃の女子同士がよくやる
一緒にトイレに行く文化を
理解できないところがまあったので
友人と同じ高校に通うという選択肢は
まったく頭になく、
只々、自分の行きたいと思った高校を
進学先に選んだ。






入学して友達もでき
高校生活が楽しくなり始めた頃
文化祭があった




自由時間に
軽音学部に所属する友達に
一緒に体育館で行われている
軽音楽部のライブを見に行こうと誘われた

私は実は大きな音が苦手で
アーティストのライブには
行ったことがなかったし
花火大会ですら
音が苦手で終始両手で耳を抑えながら
花火を観戦するようなタイプだったので
あまり気乗りはしなかったが

せっかくできた友達の誘いを
断るのもが悪いかなと思い
一緒に体育館へ向かった。




ステージ上では
同級生や年上の軽音楽部の先輩が
楽器を演奏しながら歌っていて

元田舎の中学生の私は
イケイケの人たちだなと思いながら
少し離れてステージを眺めていた。




後半、やたらと
盛り上がりをみせるバンドが登場した

どうやら3年生のようだった




その真ん中にその人はいた。

誰が見ても小柄で細身なその人は
小さな体で大声で歌いながら
ステージを飛び跳ねて
ギャラリーをあおったりしていて
高校1年生の私は
その姿に釘付けになった。


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