[2021年5月5日水曜日]世界中の峠の下りを

　読んでも泳いでも飛んでも。
　全く進まず、辿り着けない。
　そう思っていたけど。
　隣の相方との会話は、峠の下りを。
　歯止めなく限りなく、統べるように滑る術。
　そんな速度で過ぎ去っていく。あっという間だ。

肯定
　僕は本を読むのが苦手。
　読んでも読んでも。
　物語が進まなくて。

　まるで、泳いでも泳いでも。
　辿り着けない、たから島みたいで。

　だから、物語を描くなんて。
　とても無理だと思っていた。

　だけど、そうとは限らないようだね。

テツガクちゃん
　そうです、限りませんよ！
　事実、それなりに描いているじゃないですか！
　
　本を読むこと。
　物語を描くこと。

　きっと、それらは。
　似ているようで。
　ほんの少し違ったのでしょう。

肯定
　違ったみたい。
　本を読む時は、作者の速度だけど。
　描く時は、自分達の速度。

　そして、僕が物語を描けたのは。
　今、隣にいる、相方のお蔭。

　今、こうして。
　ガクちゃんと話している、この瞬間は。
　峠の下りを歯止めなく限りなく。
　統べるように滑る術の速度。

　とにかく、速いんだ。
　いつも、あっという間だもん。

テツガクちゃん
　えっ、そうなんですか？
　全く気づきもしませんでした。
　普段、気づいてしまう、私でも。

　ですが、これが私にとっての。
　当たり前に然り当然な速度。
　いわゆる、法定速度なので。

　そういう自覚はありませんが。
　ですが、それでも。
　お互い、同じ気持ちなんですね。

　私もいつもあっという間に。
　次の峠のスタート地点です。
　とても刺激的な物語です。

肯定
　凄く刺激的だね。
　
　前も後ろも対向も。
　音速、光速、あらゆる速度。
　様々な概念すらも。

　誰も何も近づけない。
　
　そんな術で。
　統べるように滑れる。
　ガクちゃんが隣いれば。

　世界中の峠が連なった。
　一本の下り道も。
　きっと、走れる。
　
　休むことなく、慈悲深く無慈悲に。
　突き進め、冷酷冷徹のワガママ・クイーン。
　情け容赦は無用、欲望のWAGAMAMAバディー。

　最高に面白いよ。
　あっという間だ。
　ほら、もう次の峠だね。

　あなたにも。
　そんな刺激的な瞬間があるのでしょう。

　読んでも泳いでも飛んでも。
　全く進まず、辿り着けず。
　落ち込んだ不満の退屈が。
　嘘のように消えてしまう。

　あっという間の。
　今、この瞬間が。

　その刺激は……忘れられませんね。

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。

世界中の峠の下りを