[2022年3月23日水曜日]古き非国民

　非国民だなんて、古臭い常套句で詠む辞世の句。
　そんな境界線で完全無欠な天国の壁をつくっても。
　穀潰し、国潰しの雀もいない場所にあるは。
　幽霊国家、亡霊主義。
　もう、その名前も覚えていない。

肯定
　最近、古い言葉を見たよ。

　唐の昔に滅びた言葉。
　そう思いきや、時々顔を出す『非国民』という常套句。
　それは、対立や争いの辞世の句。

　あいつは違う、そいつはダメだ、こいつは国民じゃない。
　そんな対立を生み、その対立が歪み争いに変わる。

　そんな辞世の句。

テツガクちゃん
　もう少し、トタン屋根の上で眠っていて欲しい。
　常套句、辞世の句ですね。
　
　誰かを『違う、ダメだ、国民じゃない』と謳う歌手。
　見えない境界線を引き、それを大きな声で喚き叫ぶ。

　あの歌手の名前は……。
　私は忘れてしまいました。
　肯定さんは覚えていますか？

肯定
　たしか、お山の大将、偉大な総統、臆病な書記長。
　あるいは、平和主義の国民だったかもしれない。

　まあ、名前なんてどうでもいいのかもね。
　僕は『Mr.ジョーンズ』だし。
　ガクちゃんもそうでしょう？

テツガクちゃん
　そうですね。
　私も『Mr.ジョーンズ』です。

　名前はわからない。
　だけど、見えているものもあります。
　それは、とても平たく等しく平等に。
　和める大いなる和とは程遠い。

　見えない境界線の先に。
　穀潰しの雀の墓穴を掘っている。
　その雀もいなくなれば。
　誰もいなくなってしまう、幽霊国家、亡霊主義。

　そんな景色が私には見えます。

肯定
　凄い景色を見つけたね。

　国潰しの雀がいない世界か。
　でも、ある意味、その景色は。
　完全無欠な平和な景色なのかもしれないね。

　誰もいないから見れる平和。
　ほんの少しだけ古臭いけどさ。
　完璧鉄壁な天国の壁だ。

　ガクちゃんは、どんな平和が見たい？

テツガクちゃん
　私は、ほんの少しだけ。
　新しい平和を見てみたいですね。
　
　それは、混沌した平和です。
　見えない境界線がなくなり、複雑に混じり合っている。
　それなのに、なぜか。
　とても穏やかな秩序の幻影が見える。

　そんな混沌とした平和の景色です。

　あなたは、どんな平和の景色を見てみたいですか？
　いつまでも、古臭い非国民。
　そんな常套句で詠む、辞世の句でしょうか？

　もし、それが見たいのなら。
　『タイムマシンの在り処』をご紹介しましょうか？

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。

古き非国民