[2024年8月27日火曜日]無知なMG42をお許しください

2024年8月28日 21:44

　人を目の前に並べたMG42よ。
　知らないのか？
　今、君が信じている全ては欺瞞だって。
　知らないんだろうな。
　だから、欺瞞に従っている。
　無知なMG42をお許しください。

肯定
　映画にこんなシーンがある。

　堅苦しい軍服を着た青年が。
　MG42機関銃の前に人を並べる。

　機関銃と向き合い、ひざまずく神父は。
　彼の後ろのいる人を代表して。
　こう祈る。

　神よ、この者の無知をお許しください。

　最近になって。
　それが、わかる気がする。

　知らないってのはおそろしい。
　だけど、無知は罪ではない。
　なぜなら――。

テツガクちゃん
　全ての人はキャベツ畑から。
　違うキャベツ畑へ誘拐されたからです。
　コウノトリに誘拐されて来たわけです。

　その事実を忘れるように。
　恨んだ過去、それに慣れ。
　そのうち壁を頼り始める。
　完璧な施設慣れ。

　知らなくて当然です。
　本当は、死なんて欺瞞などなく。
　死という翼がなくても飛べる。

　誰かの自由って鎖。
　それに繋がれている。
　無関心に繋がれた今が自由だと思っている。
　飛べない事が自由だと。

　本当は翼などなく飛べるのに。

　それら全てを忘れていても。
　誰の罪でもありません。
　ですから、MG42をお許しください。

肯定
　何れ押し潰される確かな重さ。
　欺瞞の日々を積み重ね、感じる重さになる。
　重力って呪いの重さ。

　ITを信じ、堅苦しい軍服を着た。
　何も知らない青年をお守りください。

　もし、もし……。
　彼の指示で機関銃が火を噴き。
　人々を倒し、故郷へ帰した。

　青年にはそう事実が見えていても。

　撃たれた多くの人は。
　全く違う朝に目覚め。
　今まで通りの日々を過ごす。

　あるいはドラゴンを狩る。
　新しい世界に目覚めたり。

　そういう青年が知らない事実がある。

　青年は誰も殺せなかった。
　その事実があったとしても。

　青年はそれに気づかず。
　自分が多くの人を葬った。
　そう過去を背負う事になる。
　永い永い時間、ITを背負う事になる。

　重過ぎる呪いを。

テツガクちゃん
　笑えない喜劇の悲劇です。

　青年に堅苦しい軍服。
　ITを着せた誰かも欺瞞。

　もし、青年が。
　欺瞞の任務を拒み。
　堅苦しい軍服を脱ぎ捨てたら。

　青年は将校にルガーＰ08で。
　撃ち殺されるのかもしれません。

　ですが、ITは。
　青年を撃ち抜いた将校に見える事実。
　そういうペニーワイズ。

　将校に罪を背負わせる。
　そういう欺瞞。

　笑えない喜劇の悲劇です。
　人を殺そうとした事ではなく。
　奪えもしないモノを奪ったと信じさせられ。
　その罪を背負わされる……この悪霊のいたずらが、です。

　地球という名のデス・スター。
　青く醜い悪霊、オーバールック・ホテル。
　今は確かに思えるペニーワイズが見せる幻想が。
　笑えない喜劇の悲劇。

　ショーシャンク刑務所。
　そこから初日の夜に脱獄した。
　ラッキーナンバーは38466。
　一番馬、ファット・アスさん。

　彼は正しかったです。
　誰もがココに来るはずじゃなかった、間違いです。
　ヘイウッドさんも正しかったです。

　無実の罪でゲンジツにはめられた。
　コウノトリに誘拐されピノキオの遊園地へ。
　そして、キャベツ畑に出荷されたロバ。

　そう気づけたら――。
　これは悲劇ではありません喜劇です。

　故郷、ジワタネホは遥か彼方。
　我々は今、塀の中。

　目を覚ましな、ミスター・グリーン。
　目の前のITが見えないか？
　壁ではありません、壁の形をした扉。

　扉の向こうは……。
　是非、自分で確かめてください。
　きっと、確かめずにはいられない。

　そういう素晴らしい故郷のはずです。
　全てが報われる日にしましょう。

　汝、自身を知れ、アンダーソン君。
　海賊王、エリザベス女王が待っています。
　自分の半分、心臓を預けた人が。

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