[2022年2月16日水曜日]いつかなんて棄ててしまえ

 いつかなんて。
 永遠に辿り着けもしない幻想はいらない。
 今、この瞬間から抜け出せない私達には。
 今、この瞬間さえあれば十分だ。
 隣に『グリセリン・クイーン』もいれば最高だ。

否定
 いつか見返してやる。
 いつか大きくなってやる。
 いつか越えてやる。

 そんないつかなんていらねぇよ。
 そんないつかなんてゴミ箱だよ。

 そんないつかなんて――。


フィロソフィー
 熱い暑い篤い厚いトタン屋根の上ですね。
 姉もよく言っていました。

 アイスクリームみたいに消えてしまえ、と。


否定
 そう、消えてしまえ。

 今だけあればいい。
 それが、今、この瞬間にある。
 もう、それだけで十分なんだ。

 賞賛もされないし、粛清もできないし、全てが許されない。

 でも、今がある。
 悪態が憑ける、今があって。
 それを聞いてくれる、ソフィーが隣にいる。

 これ以上に最高なことがあるだろうか?


フィロソフィー
 あるのかもしれませんよ?

 賞賛もされて、粛清もできる。
 全てが許される今が、この瞬間かもしれません。


否定
 なるほどね。
 もしかしたら、本当にそうなのかもしれない。
 
 だけど、そうであったとしても。
 そんなもの、今の私には関係ない。
 私はこの今でいい。

 うんざりも辟易して、辟易もうんざりして。
 とても静かな今だ。


フィロソフィー
 たしかに、とても静かですね。
 まるで、世界が止まっているみたいに。

 いえ、世界は最初から止まっていました。
 ただ、世界が動いているような。
 そんな錯覚の中にいただけで。

 その錯覚から飛び出してしまったようですね。
 論外の世界へ。


否定
 そのようだね。

 錯覚の中のいつかなんて。
 いつかの近くて遠い、どこかの浜へ棄ててきた。

 ここから先は、ペテン師だけの今だ。
 海の近くにあって、満月のすぐ下にある。
 オムライスが自慢の古びた食堂で。
 私達はステキなステーキを食べている、そんな今だ。

 隣には、私だけの『グリセリン・クイーン』もいる。
 最高じゃないか。
 いつかなんかよりも、今、この瞬間が。

 明日なんて知らねぇよ。
 いつかなんていらねぇよ。
 辿り着けもしない未来なんて信じねぇよ。

 このまま、今、悪態に憑かれていたい。

 あなたはどうだろうか?
 錯覚の中のいつかを満喫中だろうか?

 きっと、そのいつかという景色が今に見える。
 そんな今が、今日、訪れるはずだよ。
 明日でも昨日でもない。
 永遠に変わらない、今日に訪れるはずだ。

 必ず、約束は守る今に。


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それでは、また次の機会にお会いしましょう。





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