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最恐戦本戦を観た

怪談に出会ったのはいつの事だっただろう。
幼稚園の頃にはお岩さんを知っていたし、小学生の時は怪談レストランシリーズが流行っていた。
ぬ~べ~もアニメ放送されていた。
学校の怪談なんてほぼ新作映画で出ていたように記憶している。
ホラーMやサスペリアもよく読んだ。
高校生の頃にはひとりかくれんぼや八尺様で震え上がったものだ。

今回、私は改めて『怪談に出逢った』と言いたいと思ったので感想を述べたいと思う。
怪談を知らない初心者が主観的に。
お話のネタバレはないのでご安心を。



怪談ライブを実際観るはこれで4回目。
大きい賞レースは初めてだ。
予選を予め配信で観ていたとはいえ、実際見る面々の豪華なこと。
そして、やはり人だった。
人が経験したことを、人が語る。忘れがちなことを思い出させるように、当たり前のように普通の人間だった。
私はここにも恐怖を覚えた。
あのように怪異や霊現象を集めて話す方々が、道ですれ違ってもおかしくない出立ち。
舞台上では緊張や震えが伝わってきた。
本当にこの方々が?と空恐ろしくなった。


そうしているうちに、火蓋が切って落とされた。
ハロウィンからズレて地獄の釜が開いた、と言っても間違いではないかもしれない。


始まるや否やスムーズに準備された。
すでに1番手、青柳マコトこと夏目大一郎さんはスタンバイしている。

Aブロック 青柳マコト、シークエンスはやとも、田中俊行 ※敬称略

映画監督もされている青柳さんは、自分のエピソードをシーンごとコマを割るかのようにテンポよく語る。
芸人でもあるはやともさんは、寝物語を聞かせるようなスっと入る口調とうらはらに恐怖を想像させる。
田中さんは流石といったところで、霊現象自体に個性を忍ばせた内容と洗練された恐怖が楽しめた。

このブロックですでに、
人への執着・オカルト現象・霊現象
と三拍子。
さすが本戦というべきだろうか。

続くブロックも中々の濃さ。

Bブロック 南条、神原リカ、中山功太 ※敬称略

不死鳥戦から勝ち上がってきた南条さん、期待値に期待値以上を添える気味悪さをテンポよく。
神原リカさんはラジオでお馴染みの声色で、女性に突き刺さるような怪談。
存在感が強い中山功太さんは、王道の怪談に様々な手法で恐怖を飾り立てたかのような語り方だった。

個性が強い、というべきブロックなのか。
内容にまぶす恐怖の形がそれぞれ違い、何が怖いのかどうして怖いのかを考える時に思い出したい三つ巴だ。

続いても注目度が高いブロックだ。

Cブロック 女子高生怪談師あみ、夜馬裕、宮代あきら ※敬称略

ハニートラップ梅木さん病欠のため繰り上がり本戦のあみさん、繰り上がるべく繰り上がった演技力と世代独特の怪談が光っていた。
立ち振る舞いの美しい夜馬裕さん、はっきりとした滑舌に乗せる相変わらずの厭な話が鮮やかに頭に入ってくる。
期待の超新星と伺う宮代あきらさん、理解しやすくもしっかりとした怖さを心に置き石していく上手さがある。

内容、表現方法と特徴あるブロックを経て、演技力や滑舌、理解しやすさを重要だと教えてくれる戦いだと思われる。
語りを聞くために必要なものが増えていく感覚を覚えた。

個人的にかなり気になるブロックに続く。

Dブロック ガンジー横須賀、伊山亮吉、匠平 ※敬称略

ガンジー横須賀さんは親しみやすい語り口でカラッとした純粋な恐怖。決めゼリフのピンポインツをうまく繋げてきた。
線の細い伊山亮吉さん、語る怪談は重く声色の変化をつけた後の移行もスムーズでテクニックが光る。
匠平さんは大胆な展開が読めない話を、天賦の才で恐怖を忍ばせて語った。

自分の人間性や個性を操る語り手のプロ根性を見た気がする。
誰とも被らない、唯一だとそれぞれが言えるだろう。



ここでようやく投票になる。
様々な怪談を聞き、印象が薄らいだものがある。
自分の好みは何だったかと考える暇はなかった。
足早に投票は進む。
しかしトラブルがあり2回目の投票になった。
次は熟考しながら票を入れた。
正直に言うと1回目と2回目では票を入れる先が変わった。
思い出しているうちに再度私の中で沸き立つ息を吹き返した話があったからだ。
他にもそういう方がいたのではないだろうか。
怪談師の方々にはこれが吉と出るか凶と出るか。



投票ではドタバタしていたが、何にしろ一気に12人分の話を聞いた。
私は怖さを引きずりながら、ユーロスペースのふかふかな椅子に沈みこんだ。
伊右衛門を飲んで、初めて口の渇きに気づく程に熱中していたことに気付いた。



近日中に準決勝、決勝と感想を書こうと思います。

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