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《春》サンドロ・ボッティチェッリ

《Primavera》Sandro Botticelli

『美術家列伝』でヴァザーリは、ボッティチェッリの《春》は《ヴィーナスの誕生》とともに、カステッロの別荘にあると伝えています。

画像3Primavera, Sandro Botticelli, 1482 circa, Tempera grassa su tavola, 207×319 cm, Galleria degli Uffizi (Sala 10-14), Firenze

しかし、この絵のもともとの設置場所は、ピエルフランチェスコの息子に当たるロレンツォとジョヴァンニの兄弟が1476年に購入した、ラルガ通りの(コジモ・イル・ヴェッキオが建設した館に隣接する)屋敷でした。そして、ロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコが亡くなると、絵はカステッロの別荘とともに甥のジョヴァンニ・ダッレ・バンデ・ネーレの所有となりました。1815年、《春》はウッフィツィに移されました。ですが1853年にはアッカデーミア(美術学校)に移送され、再度ウフィツィに設置されたのはようやく1919年になってからでした。

この複雑な寓意画に対してはさまざまな解釈がなされてきましたが、この絵を構成している9人の人物が誰であるかについては、長い間にかなり意見の一致を見るようになりました。

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右の月桂樹の林から姿を表している、翼を生やした精霊は、西風のゼフュロスです。彼はニンフのクロリスに、花を生み出す力を与えながら、自分の花嫁にしようと彼女を捕まえています。実際、彼女の口からはニチニチソウやバラ、ヤグルマソウがあふれ出ています。

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この瞬間、クロリスは変身し、フローラに姿を変えます。フローラはヤグルマソウやナデシコ、そしてバラを散らした衣装を身につけた、微笑む女性です。伝統的に「春」と見なされるのが、髪の毛にマーガレットやイチゴの花、ヤグルマソウ、キンボウゲ、スミレ、それからケシなどを差し、バラの花を撒いているこのフローラです。ボッティチェッリが描いたこのイメージは、おそらく古代の手本に、つまりローマ時代の彫刻に由来するのでしょう。

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画面中央ではヴィーナスが彼女に捧げられた樹木であるミルトの前にくっきり姿を表し、衣装には、ロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコの紋章である下に向けられた金色の松明が、襟ぐりと胸の下の断片を飾っています。そして彼女の上では、目隠しをしたキューピッドがオレンジの林を飛び回りながら、愛の矢を放つところです。一方、柔らかなヴェールで覆われた「三美神」は、古代の手本に基づいて描かれています。

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左端には、翼の生えた靴をはいたメルクリウスがいます。彼は赤い布をまとっているだけですが、そこにはロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコの紋章である下向きの松明が飾りとして散らされています。メルクリウスはおよそ二百種類もの花や植物で彩られた、この庭の上空にある雲を、杖で払っています。


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ウッフィーツィ美術館/Gallerie degli Uffizi

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