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《キリストの受肉と聖人たち》ピエロ・ディ・コジモ

《Incarnazione di Cristo e santi》Piero di Cosimo

P1120770 3のコピー4Incarnazione di Cristo e santi, Piero di Cosimo, 1500-1505, Olio su tavola, 206x172 cm, Galleria degli Uffizi (Sala 28), Firenze

この祭壇画はピエロッツォ・テダルディがフィレンツェのサンティッシマ・アンヌンツィアータ教会内の同家の礼拝堂用に依頼したものです。その後、1670年に枢機卿レオポルド・デ・メディチによって購入され、1804年には、現在のウッフィーツィ美術館に移動されました。

キリストの受肉を表したきわめて稀な主題で、この絵画以前には存在していませんでした。一風変わったことで有名なピエロにとって、この主題を描くという挑戦は、愛おしいものでした。

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天から鳩の姿をした聖霊が降りてきて、神秘の光がこの場を照らし出します。この瞬間、マリアはヨセフとの交わりのないまま、聖霊によってイエスを身ごもりました(処女懐胎)。

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台座にはまさにこの受胎告知の瞬間が浮き彫りで表され、その上に立つ聖母は恍惚としたまなざしで天を仰ぎ、身ごもった腹部に手を置いています。

手前には貞潔を守った2人の聖女がひざまずき、聖母の純潔を暗示します。

聖カタリナは棕櫚の小枝と聖書を持ち、足元には彼女のシンボルである歯のついた車輪の断片が見えます。

聖マルガリタは真珠の数珠と、彼女を呑み込んだ竜を退治した十字架を持っています。

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画面は巧みに構成されており、谷間によって分かたれた2つの岩山に「キリストの降誕」と「エジプトへの逃避」の光景が描かれ、これからイエスとともに歩む苦難の道のりが暗示されています。

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画面の左には福音書記者聖ヨハネが立ち、その背後に彼の象徴であるワシがいます。彼はマリアの子宮を指差し、救世主の到来を暗示しています。また一説によれば、このしぐさは、『ヨハネの黙示録』第12章に記してある「太陽をまとった女」が神の母を象徴する聖母の姿であることを示しています。

ヨハネの後ろの人物は聖フィリッポ・ベニッツィで、剃髪、修道服、そして純潔を象徴するユリの花が持物(アトリビュート)です。彼はマリアの下僕修道会の指導者で、1285年に死去し、17世紀になって列聖されますが、ルネサンス期のフィレンツェではつねに崇敬された聖人でした。

マリアの永遠の処女性は、1243年にモンテ・セナリオ修道院で隠遁生活を始めたこのマリアの下僕修道会士らにとりわけ強く主張され、背景右手に表された建物をこの修道院と見なす説もあります。

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画面右側に天国の鍵を持つ聖ペテロが立っていますが、彼はサンティッシマ・アンヌンツィアータ教会の権威や正統性を示すのに不可欠です。というのも、慎ましい漁師の容貌は、おそらく注文主のピエロッツォ・テダルディの肖像と推測されるからです。

その後ろにいる人物は、フィレンツェの大司教でサン・マルコ修道院長でもあった聖アントニウスです。


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ウッフィーツィ美術館/Gallerie degli Uffizi

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