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《サンタ・トリニタのマエスタ》チマブーエ

《Maestà di Santa Trinita》Cimabue

この大きな板絵は、おそらくヴァッロンブローサ修道会によってフィレンツェのサンタ・トリニタ教会の主祭壇のために注文されました。チマブーエの作としたのはヴァザーリが最初です。

画像1Madonna col Bambino in trono e profeti (Maestà di Santa Trinita), Cimabue, 1290-1295 circa, Tempera su tavola, 385×223 cm, Galleria degli Uffizi (Sala 2), Firenze

この作品はトスカーナ絵画において引き続いて制作される《マエスタ》(Maestà 荘厳の聖母)のモデルとなり、ジョットやドゥッチョ・ディ・ブオンセーニャに道を示しました。

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玉座の聖母は右手で幼児キリストを指し示し、人類の救い主として信者に紹介しています。キリストの頭部は、十字架を形作る宝石が散りばめられた光輪に囲まれています。この十字架は死という究極の犠牲を通して、罪に勝利することを表しています。赤のチュニカと紫紅のパリウムは王としての権威と力を強調していますが、これは古代の皇帝が象徴的に用いたのを引き継いでいます。キリストはラテン教会のやり方に従って、右の人差し指と中指を立てて祝福の仕草をし、左手には神の律法を象徴する巻物を握っています。

8人の天使が、聖母マリアを取り囲んで讃えています。マリアは伝統に従って濃青色のヴェールに包まれて、慎ましく悲しげな様子で首をキリストの方にやや傾けています。これは、ビザンティンのイコンに見られるステレオタイプから離れようとする早い時期の試みの一つです。もっとも、依然として聖母子の像は仰々しく、背景や衣服の襞には金がふんだんに使われています。衣服の襞は、同じ頃に描かれたルーヴル美術館の《聖母子》よりもゆったりしています。

画像2Maestà del Louvre, Cimabue, 1280 circa, Tempera su tavola, 424×276 cm, Museo del Louvre, Parigi

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聖母子が座る玉座は彫り込みや象嵌細工が施され、複合的に構成されています。これはアッシージにも見られたチマブーエ作品特有のものでしたが、ここでは玉座の基台を高くし、3つのアーチを開ける工夫を加えています。そこには4人の預言者と族長たち(エレミア、アブラハム、ダビデ、イサヤ)によって占められており、それぞれマリアとキリストの受肉を暗示する聖書の言葉が記された巻物を手にしています。


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ウッフィーツィ美術館/Gallerie degli Uffizi

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