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【金融論】 コーポレート・ファイナンス 〜資本に制約がある場合の資本投資の選択〜

企業はプラスの純現在価値(NPV)を持つ全てのプロジェクトに投資できるわけではない。資本に制約が存在し、その制約内(資本割当)で最適な投資パッケージを選択しなければならない

ソフトな資本割当

  • 財務上のコントロールを目的に, 経営陣によって採用される一時的な制約がある

  • 具体的には、各部門に対して支出(投資)上限を設け、プロジェクトの優先順位を決めることが効果的な場合がある

  • そのような上限は、バイアスのある無秩序なキャッシュフロー予測を削減する効率的な手段であると認識されている

  • また、投資による急速な成長が組織に大きな負担をもたらす場合、その制約を予算(投資)の上限として採用することもある

  • 資本以外にも、投資に必要な人材、設備、技術などの有無が制約となる場合もある

ハードな資本割当

  • 企業が高いNPVを生むプロジェクトに出会った場合でも、その必要資金を調達できない状況に直面することがある

  • 市場の不完全性が顕在化した場合、プラスのNPVに投資すべきという純現在価値ルールが影響を受ける

  • 例えば、情報の非対称性が発生すると、投資する企業以外はその投資の将来展望に懐疑的で、その企業の株価を大幅に低く評価する可能性がある

  • そのような場合、資本市場を活用できないという事実上の状況となり、市場の資本の機会費用でキャッシュフローを割り引くことが無意味になる

資本割当における投資基準

  • 資本割当が存在する場合、純現在価値(NPV)だけでは投資判断は難しい

  • 特に資本に制約がある状況では、初期投資1円ごとに最大の純現在価値を得られるプロジェクトを選択する収益性インデックスを活用する

  • しかし、収益性インデックスによるプロジェクトランキングには限界がある。複数年や複数の資源を割り当てる場合、この方法は適していない

  • そうした問題に対応する方法の一つは、全ての可能なプロジェクトの組み合わせを考察することだ

  • 具体的には、線形計画法(LP)が有用な手法となる場合がある

  • しかし、線形計画法に必要な正確なデータ(長期的な投資計画やNPV)を得ることは難しい

  • その結果、理論的な面でも実務的な面でも、この方法が用いられることは少ない

  • ハードな資本割当が必要なケースを除けば、NPVの最大化を目指すことが株主価値の最大化に繋がると考えられる


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