河合塾 本郷校について(文系・不合格者より)

 河合塾本郷校で1年浪人して不合格(→1年宅浪して合格)した際の経験から、講師やテキストなどについて所感を記します。
 本郷校に通った1年では結局ほとんど成績が伸びなかったためやや批判的な内容が多いほか、1年経って記憶も変質しているので、事実誤認があると思います。
 筆者の身の上に関しては、ひとつ前の記事をご覧ください。


 また、以下は2020年度の情報ですので、現在は異なる可能性があります。
 特に新型コロナウイルス感染症によって使えない設備があったほか、私は添削もフェローも自習室もほぼ利用しなかったので、その辺は他の方の記事で補完してください。すみません。
 基礎シリーズ→夏休み→完成シリーズ→…………です。

 

クラスについて

 クラスは特にこだわりがなければ東大文類アドバンスコースがおすすめです。出来のいい仲間に囲まれモチベーションが上がる、らしいです。認定テストは簡単なのでたぶん大丈夫です。
 2020年度時点では文アドは3クラスあり、サクセスクリニックなるクラス分けテストで振り分けられます。レベルはLM>LU=LZだと聞きました。LU>LZだと書いているブログもありますが、少なくともスタッフの方に聞く限りはそうだとのこと。
 自分は(ただの言い訳ですが、サククリが受けられなかったこともあり)LZだったのですが、LZは後から増えたクラスであるためなのか、講師が他と違います。合格率がLUと有意に異なったりはしないようなので、講師の質がどうとかいうことはないと思いますが、正直ちょっとひどいと思う。
 そもそも、LZってまだあるのかな?


 

現代文(トップレベル現代文)

 テキストは難関大の入試問題や模試の過去問など?をまとめたもの。東大志望以外も使うので、東大に特化した構成ではない。東大対策に終始せず読解力を高めてほしいとかということだったと思う。
 某塾の有名講師が、東大志望なら現代文は東大の過去問だけやっておけばいいとか言っていた気がするが、これは人によると思う。読解に問題があるのか、答案作成に問題があるのか、は人によって違うだろうし、後者なら過去問やっておけばいいだろうけど、前者の自覚があるなら授業もしっかり出たほうがいいと思う(が、前者の人は自分は読めてると思い込んでる場合があるので、出来が悪いなら出たほうがいいと思う)
 ただ、テキストがどうのというより、講師との相性の問題が大きそう。

益満重虎先生
 問題文の全体と設問部分に関して、黒板を全面使って構造化していく方式で授業なさる。
 東大オープンの現代文を作っているっぽい?
 東大の過去問の自己採点用採点基準をまとめたプリントを刷らせてくださる。各予備校の解答を並べて比較できるようになっているが、そもそも現代文の解答例は予備校同士批判し合ったりしているものなうえ、河合塾の解答もあまり評判のいいものでもないので、先生の弁を絶対視するのは危険かなと思う。
 個人的にはかなり合った。冬期講習も取った。答案作成に難があったので、要素の引き出し方を学べたのはありがたかった(それでも一浪目の国語は38点でしたが……)


 

古文(トップレベル古文)

 講義テキストは入試問題っぽいものが並んでいる感じ。出典はわからず、東大の過去問は少ない。一回につき授業で扱う問題と自習用的な問題のセットになっている。
 別で文法や古文常識をまとめたサブテキストがあり、有用。

宮崎昌喜先生
 扱った文章に関して、重要な文法事項や単語、品詞分解や古文常識、採点基準などをまとめたプリントを配り、文章を頭から読んでいく。プリントが非常にありがたかった。板書は補足的。
 雑談に毒があることがあった。個人的には面白くて好き。寝てると怒られる。


 

漢文(トップレベル漢文)

 基礎シリーズの講義テキストは印象が薄い。完成シリーズは東大の過去問が中心(東大志望くらいしか使わないため?)。一回あたり二題あり、両方を授業で扱う。
 レベル的には易しめのものから難しい部類のものまで広く載せてあり、過去問演習も最悪これだけでもいい可能性がある。
 別で語法や注意すべき漢字をまとめたサブテキストがあり、有用。

西川正洋先生
 扱った文章の現代日本語訳と問題の解答などを載せたプリントを配って文章を頭から読んでいき、適宜語法などを板書していく。
 個人的には雑談がかなり好きだった。辛そうに話されることがありました……。冬期講習ではお菓子を配ってくれた。


 

数学

 週あたり計4コマある。完成シリーズからテストゼミ方式(授業中に問題を解き解説する)の回が出現する。
 基礎シリーズのテキスト(①T〜③T)をやりこんでおくと良さそう。
 完成シリーズをどうするかは他の科目との兼ね合いでいいと思うが、2020年度のテキストには2021年文系数学の大問1を的中させたような問題が載っていた。後悔しないためには最低限、発想を使えるようにしておくくらいはしておくと良いのかもしれない(宅浪期にやりました)
 講師は印象が薄いので省略します。すみません。数学に関しては解答プリントさえあれば自習できるのにわざわざ板書写さないといけないなんて無駄でしょと思っているふしがあり……。


 

英文法・語法

 サブテキストが有用です!!ただ、検索性が悪すぎるのはいただけない。見たこともないような事項も載っている(そういうのが狙われる可能性もあるため、ないよりはあったほうがいいのですが)
 授業テキストはドリルみたいなもの。サブテキを読み込んだうえでやっておくと良い。

細川修一先生
 英語に関してはかなり詳しい方(かた)だと思う。早く終わった回は誤文指摘の練習問題なんかを持ってきてくださったりした。


 

英作文(英語表現)

 テキストは和文英訳が中心であるほか、巻末に付録として例文集などがついている。
 例文集は有用だったが、演習問題の和文英訳は重箱の隅をつつくようなものが多く感じられ、あまり好ましくは感じられなかった。LM・LUの墺先生も差し替えるらしいほか、LZの林先生も差し替えしていた。
 本郷校では毎回、その回の問題を書いてきて提出すると添削を受けることができた。

林愼市先生
 授業の最初に小テストがある。
 結構変わってて面白そうな人生を送ってきたらしい。
 読みやすい英語を書く技術も教えてくれたが、今のところ役に立ったと思うタイミングはない。すでに書ける人なら役に立てられると感じる。


 

英文解釈・日本語訳(英文解釈→英文読解演習)

 テキストはさまざまな長さの文章が載ったもの。英文解釈はともかく、英文読解演習と言うとどういうものかわかりづらいが、要は下線部日本語訳の授業。日本語訳を通じて、解釈・読解の力を伸ばす感じか。

丹羽裕子先生
 文章のコピーと、師の思う重要事項、日本語訳、単語集など情報が詰め込まれたプリントを配り、そのうえで文章を頭から解説していく。
 河合塾の添削システムから外れた独自のシステムで添削をしてくださる。
 が、個人的には合わなかった。和訳もこれはどうなんだと思うことがたびたびあり、そのため添削を出す気にもならなかった。熱心な方だとは思う。

※玉置全人先生
 基礎シリーズの映像授業担当講師。
 英文解釈の透視図というレジェンド参考書の著者のひとり。
 本郷校のレビューとしては適合しないですが、玉置先生のおかげで英文がクリアに読めるようになった。
 私は持ってないですが、透視図もおすすめしときます。
 ただ、単語帳は何冊もやれ!っていうのは同意できない。自分は中学〜浪人期を通して鉄壁しかやっていないが、東大志望のうえで不自由を感じたことはない。場合によるだろうと思う。


 

英語長文(長文総合英語→東大英語)

 基礎シリーズは切っていいと思う。なんのためにあるのかわからない。忘れない程度に過去問をしばくくらいで替えられると思う。
 完成シリーズになると東大専用のテキストに切り替わる。東大の読解系の設問(4B以外)を模した問題を扱う。

奥脇健一先生
 めったに板書せず、淡々と文章を頭から解説なさる。
 変わった口癖がある。人柄がいいらしい。
 情報量としては十分で、適宜ノートなり書き込みなりしていけば良いんですが、LM・LUの高沢先生は加えてプリントも配ってくれるんですよね……と思ってしまう。


 

ネイティブの授業

(Comprehensive English→東大リスニング/東大英作文)
 ちょっとコンセプトがわからない枠。東大対策にしては問題形式が古かったりで謎。特に英作文は日本人に習ったほうがいいと思う。この授業が完全にわかるならそもそも必要ないでしょうし、何これ?
 今考えると、大学のオールイングリッシュの講義と似たようなところがあるのかも。して予備校で時間を取る意義とは。

ジョナサンマクフィ先生
 面白い人です。やる気があれば真剣に応えてくれると思う。


 

理科基礎

 テキストは有用なのでできるまでやるといいです、と言いたいところだが、悪問じみたものが紛れている気がする。
 週一で2科目交互にあったが、文系理科は時期が迫ってから詰め込むのが最適だろうと考えているため、すべて切っていた。
 講師については省略しますが、ネットで強めの思想を垂れ流している方の担当があるみたいです?


 

日本史(日本史講義論述)

 テキストは講義編と論述編に分かれ、それぞれ基礎シリーズ(古代〜元禄期)と完成シリーズ(享保期〜現代)とがあり、12月までかけて通史を扱う。
 講義編の情報量は中途半端に感じるので、どう使うかは人によると思う。
 東大志望ならあまり知識が多く要求されるような問題は出ないので、論述編をやり込む意義は薄いと感じる。
 講師はクラス問わずランダムらしい。
 二回に一回添削課題が出る。

坂本勝義先生
 テキストを順番に確認していき、たまに頻出論点のまとめを板書なさる。また、演習問題プリントを配り、授業中に解かせて解説する。
 また、自著のコピーを配り、テキストの補足として参照することもある。ただ、これは難関私大志望向けに執筆されたものっぽく、東大志望には余計ではないかと思う。
 東大志望は早慶や上智を併願していることが多いことを踏まえて、細々とした事項まで触れてくださるのだが、これが日本史を東大でしか使わない生徒にはかなり邪魔になっているのではと感じる。
 人気講師らしいのだが、個人的にはあまり合わなかった。
 東大オープンの作問もしており、平均点が低すぎると始末書を書かされるらしい(?)。私は東大オープンの日本史は質が(特に採点基準の)悪いと感じているので、元凶やないか、自業自得やないか、と思う。


 

世界史(世界史講義論述)

 日本史同様、テキストは講義編と論述編に分かれ、それぞれ基礎シリーズ(古代〜フランス革命)と完成シリーズ(ナポレオン〜現代)とがあり、12月までかけて通史を扱う。
 講義編がかなり優秀で、ここに書き込んでいくことで最強のテキストになる(ただし東大志望としては些末にすぎる情報もあるため、私は教科書に記述があるかなどを基準に重要度の目印をつけていました)
 論述編の中小論述部分が優秀で、書けるようにしておく価値があると思う。

坂本新一先生
 超人気講師。モグリが多いらしい。
 物腰の柔らかい感じだが、寝てる生徒などへは厳しい。そもそも寝るな。
 世界史の感覚ができていないまま受けたので、通期の授業は全然わからなかった。そのためあまり覚えていない。初学者向けではないという評価があったが、そう思う。
 反面、多少やり込んできている生徒だと効果は凄まじいもの。二浪目の冬期講習で受けた際は感動した。おすすめです。

※井上徳子先生
 映像授業担当の先生。近畿所属。
 坂本先生の授業がわからなかったので、同時提供の映像授業を観て、こちらをもとにテキストに書き込みをした。
 どうも京大受験者向け?の授業を収録して配信しているらしく、東大向けではなかったが、ゆえにニュートラルで、わかりやすかった。どちらが上ということはないです。
(両先生が執筆に関わっている「判る!解ける!書ける!世界史論述」を二浪目で使いましたが、すごく良かったです)


 

アドバンス英語演習ゼミ

 東大風の問題を解くテストゼミ。文類アドバンス特有のもの。
 基礎シリーズは映像の提供がなく受けられなかったほか、完成シリーズでも休みがちだったため、受けた回数が少なく、ありがたみを感じられなかった。
 単純に演習量が増えるため、やり込んでおくと良さそう。
 本郷校英語科二大巨頭(?)の高沢師と墺師が交代で担当する。LZだと普段受けられない講師の授業を受けられるということ。

高沢節子先生(LM・LUの東大英語を担当)
 超人気講師らしい。完成シリーズ東大英語の映像授業担当だったほか、冬期講習も受けた。
 情報量の多いプリントを配り、そのうえで文章を上から解説していくスタイル。
 確かに丁寧ではあるのだが、特別良かったなとは思わなかった。何がそんなに人気にしているのかちょっとわからない。

墺タカユキ先生(LM・LUの英語表現を担当)
 アドゼミでは英作文以外も扱う。
 奇抜な風体。
 なんかよく覚えていないがたいへんためになった。


 

おわりに

 なんか他にもあります。校舎に電話で聞いてください……。
 もう3月末なので、今年これを読んで予備校を決める人はいないと思いますが、質問も受けます。

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